第五十七話 イポー到着
こんにちは!
久々に更新します!
マレーシアに到着し、クアラルンプールではハプニングに巻き込まれながらもウインメタル達は無事にイポーへと到着した。
「着きましたね。」
「うん。予定より少し遅れたけど。」
ウインメタルはエリカにそう返した。イポーは首都クアラルンプールよりも北にある街で、クアラルンプール、コタキナバルに次ぐ街である。住民は客家系華人が多く、街ではあちこちに漢字の看板が見られた。
「取り敢えず、イポー警察署に向かおうか。」
「畏まりました。」
そう言って二人は警察署に向けて歩きだす。町中はクアラルンプールほどではないが活気があり、中心部の交通量は多い。警察署が近づいてきた時、ウインメタルとエリカは一人の老人に話しかけられた。
「あんた達、この辺の人じゃないね。」
「そうです。」
「僕達日本からしました。」
話しかけた老人は小柄で痩せているものの、杖は使っておらず、血色も良かった。おおよそ70〜80歳くらいだろうか。
「ほう、外国からわざわざこんなところに何しにきたんだい?」
「この辺で牙が生えた人間が出現していると聞いたんで、確かめに来ました。」
ウインメタルは正直に説明した。すると老人は顔を少し険しくして口を開く。
「ああ、それか。確かにここんとこよく出てくるのう。街ではその話題ばかりじゃ。」
「お爺さん、何かご存知ですか?」
今度はエリカが質問する。老人は変わらず険しい顔で言った。
「ずっとここに住んでるが、儂も詳しいことは分からん。ただ、これだけは言える。アイツらに関わらんほうが身のためじゃと。きっと祟りがあるぞ。」
老人はそれだけ言って去っていった。
「祟りか。そんなものがあるのかな?」
「私のデータに祟りの存在を裏付けるものはありません。」
「とにかく急ごうか。」
「はい!」
二人は足早に警察署へと向かった。
「待っていたよ。君達がウインメタルとエリカだね。クアラルンプール警察署から話は聞いているから。僕はイポー警察地域安全課のジョニー・リンだよ。」
「ウインメタルです。この度はどうぞよろしくお願いします。」
「私はエリカと申します。私達で良ければ是非協力させて下さい!」
警察署に着いたウインメタルとエリカを出迎えたのは、色黒に短髪、メガネをかけた男性警官だった。その警官=ジョニー・リンは二人を対策チームの部屋に案内しつつ状況を説明した。
「正直に僕らの捜査も難航しているんだよね。住民の方からは何とかしてくれって声が上がってるんだけど正体もわからないし、さっぱりだ。」
「僕たちが来たからもう大丈夫。住民の生活を脅かす奴らは許せませんから。」
ウインメタルはそう言った。だが、リンは思い表情で首をかしげながら続けた。
「確かに怖がっている人は多いけど、一つ引っかかることがあってね。」
「何ですか?」
「今の所、牙人間による直接的な危害は出てないんだ。驚いたショックで転んで怪我したっていうのはよく聞くんだけど。」
「そうですか。理由は分かりませんがまだ油断は出来ません。しっかりと調査しましょう。」
リンに対しウインメタルはそう返す。そしてリンは二人を対策本部の部屋へと案内し、前の方へ出た。
「みんな揃ったみたいなので、牙人間の対策会議を始めたいと思います!」
リンは力強くそう言った。ウインメタル達の牙人間調査の火蓋が切って落とされたのだった。
ごめんなさい!
更新だいぶ遅れました。
次回からは牙人間についてもう少し掘り下げたいと思います。
お楽しみに!




