第五十話 逆襲
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エリカからベリーことベリンダ・ローが脱獄したと聞き、ウインメタルは沖縄の嘉手納から大急ぎで神奈川の横須賀に戻ってきた。
「ウインメタル!」
「エリカ、アンダーソンさん!」
地上に降り立ったウインメタルは二人の元に駆け寄る。
「すまん、ウインメタル!私がいながらこんな不甲斐ない…。」
「私こそ申し訳ありません!もっと、監視モードを強化していればこんなことに…。」
「今は謝ってる時間なんて無いよ。とりあえず、脱獄した跡って言うのを見せてくれないかな。」
ウインメタルはそう言うと留置場の中に入って行った。
「おお、ウインメタル!いい所に来た!」
「川島刑事。」
中に入ったウインメタルを川島刑事が動揺した様子で縋りつくように迎え入れた。
「すまん、実は…。」
「話は二人から聞いています。とにかく現場を見せてください。」
「ああ、勿論だ!」
川島は急いでウインメタルをべリンダが入れられていた独房へと案内した。
「これは…。」
現場を見たウインメタルは息を飲んだ。地上3階にあるこの独房の窓側にある壁の1.5メートル四方だけが綺麗に無くなっていたのだ。そこから下を見下ろすと、破壊されたであろう壁の破片が地面に落ちている。それは独房の床も同様だった。
「爆破されたことに間違いないみたいだね。しかも他を巻き込むどころかこうも綺麗に壁の一部だけを破壊するなんて。」
「ええ、突然爆発音がしたと思ったら既に彼女の姿はありませんでした。」
エリカが説明をする。ウインメタルはそれを聞いて独房の中にハイパーサーチをかけた。
「うん。無くなっている壁の周辺にはわずかながら硝煙反応があるね。しかし、既存の爆薬でここまで被害を抑えつつ確実に破壊できるものがあるのかな?」
「私も調べてみます。」
そう言ってエリカの方も爆薬の分析を始める。そして、その口から出たのは意外な答えだった。
「これはどうやら…ライトX-45型という特殊な爆薬ですね。液体型の爆薬で塗った所が空気に触れて一定の温度に達するとそこだけが爆発するタイプです。でも、これが出回っているという情報は入ってません。何でそんなものを…。」
「ライトX-45だと…?」
エリカの説明に耳を疑ったのはアンダーソンだった。
「これは本国で開発されたばかりの爆薬で、日本には入間基地で試験的に導入されたと聞いている。まさかやつらも持っているなんて…。」
「恐らく入間基地を襲撃した際に盗んだんでしょう。奴らの狙いは主に極秘の軍事品です。どうやって情報を仕入れたのかは知らないが、奴らなら間違いなく狙いをつける。」
アンダーソンに対し、ウインメタルはそう答える。すると、川島がふと気になることを言った。
「しかし、独房に入れる前にボディチェックや持ち物検査はしたぞ。全く問題なかったし、一体どうしてこうなったんだ?」
「チェリーに間違いないでしょう。逃げたふりをして密かに様子をうかがっていたに違いありません。僕達も甘かったみたいだ…。」
ウインメタルのその言葉にその場にいた全員が唇をかみしめた。沈黙の後、エリカが口を開いた。
「そう言えばウインメタル。田中さんから話は伺っていますが、チェリー&ベリーの両親が分かったみたいですね。なんでも写真をお持ちだとか。」
「うん、ここにあるよ。」
ウインメタルはアパートの空き部屋で拾った写真を取り出し、みんなに見せる。
「これが…。」
「そう。母親の方は波照間妙子さんて言う日本人女性で父親の方は嘉手納基地にいたってこと以外何も分からない。だけど、離婚したときに娘二人をアメリカに無理やり連れて帰ったって言うのは聞いた。」
全員がその話を聞いて少し神妙な顔をしている。ウインメタルは続けてアンダーソンに聞いた。
「どうですかアンダーソンさん。この男に見覚えはありますか?」
「いや、すまない。私は日本の基地にはもう3年いるが沖縄に関しては分からん。」
アンダーソンは申し訳なさそうに答えた。ウインメタルはそれを聞くと少し悩みながら口を開く。
「今アメリカ本国まで行って調べてる時間はないから何とか身近な手掛かりが欲しい。」
「だったら私に任せてください!えーっと子の髪の毛がそうかな?」
エリカは落ちていた長い髪の毛を拾い上げて分析を始める。
「うん、間違いありません。べリンダ・ローの物と一致しております。母親は日本人女性の波照間妙子、父親は…アイリッシュ系アメリカ人ですね。名前はスティーブン・ローというみたいです。」
「君は一体何をしたの?」
ウインメタルが不思議そうに聞いた。
「私にはDNA分析装置が搭載されているのでこれで両親をはじめとしたその生物のルーツを辿ることが出来るのです。」
「僕のハイパーサーチの発展型か。田中さん、凄いものを作ったね。あ、そうだ。田中さんに連絡入れなきゃ。」
ウインメタルは感心しつつ、田中にコンタクトをとる。
「どうした、ウインメタル?」
「すみません。奴に脱獄されました。」
「ああ、それは聞いている。こっちも全力で調査中だ。」
「そのさなか悪いんだけど…。」
「何だ?」
「スティーブン・ローという男に関して調べてくれないかな。僕達はやつらを追うから。」
「分かった。」
田中がそう言うとウインメタルは端末を切る。そして、再びチェリー&ベリーを捕まえるために全員で飛び出していったのだ。
一方ここは神奈川県郊外にある森林。
「はぁ、はぁ…姐さんありがとう。」
「どうってことはない。肉親であるお前を見捨てるわけがないだろう。」
人気のない木々の間を二人の女性が駆け足で移動していた。その二人とはもちろんチェリー&ベリーである。
「おのれ、ウインメタルめ…許さないわ!」
「ええ、私達に歯向かとどうなるか教えてあげましょう。」
そう言って二人は不敵な笑みを浮かべ、次に向けて動き出そうとしていた。
こんばんわ。
エリカちゃん、予想以上に高性能だなって自分で書いているうちに思いました。
さあ、脱獄に成功し、二人はどう動きだすか?
また次回でお会いしましょう!




