第四十六話 抵抗
こんばんわ!
チェリー&ベリーとの対決の続きです!
軍事機密や最新兵器などばかり狙う神出鬼没の二人組軍事品強盗、チェリー&ベリー。彼女達は今までの犯行をすべて成功させてきたが、この横須賀基地ではウインメタルとエリカの罠にはまり、挟み撃ちにされて追い込まれている。
「観念しろ。お前たちじゃ僕に勝てない。」
「あなた達にもう武器はありません、おとなしく投降しなさい!」
ウインメタルはマキシムダガーを構えながらじりじりと近付き、エリカも腕を伸ばしながら二人に牽制をかける。だが、このくらいで二人が引き下がるわけもなく…。
「フン、生意気言ってんじゃないわよ!」
「そうよ、盗みを阻止した所で私達を捕まえるなんて不可能なんだから!」
二人はポケットから小さいスプレー状のものを取り出すと、それを足元にころがす。すると、そこからピンク色の煙が出て辺りの視界が一気に悪くなった。
「催涙ガスとはずいぶん古臭い手を使うね。エリカ、追え!10時方向だ!」
「了解です!」
ウインメタルはハイパーサーチがあるので視界を遮るような武器は効かない。なので今回もそれを利用して二人の動きを捕捉し、屋根の上にいるエリカに追うように指示。そしてエリカも急いで逃走した二人を追跡した。ついでにウインメタルは基地本部に通信を入れる。
「こちらウインメタル。チェリー&ベリーが基地内に侵入。南方の演習場方面に向かったんで手が空いている方は援護をお願いします。」
それだけ言って通信を切ったウインメタルは、メタルウイングを広げながら呟いた。
「僕から逃げられると思うなよ。チェリー&ベリー。」
そう言って二人を追ったエリカのもとへ飛び去って行った。
「ふう、何とか巻いたか?」
「そのようね。」
二人は物陰に隠れながら話しあっていた。冷静さを保ってはいるものの、始めて盗みを失敗したことに関しては動揺しているようだ。
「まさか、ウインメタルが現れるなんて。」
「ええ、しかも仲間を連れてくるなんて予想外だったわ。」
「結局目当ての物も手に入らなかったし。」
「仕方ないわ。今度は座間で頑張りましょう。」
二人は次の計画を話しながら脱出の機会をうかがっていた。しかし、そう上手くはいかなかった。
「見つけました。逃げても無駄です!」
そう声が聞こえた。二人が声の方向を振り向くとそこにはエリカがいた。
「軍事品を盗み、人々を不安にさせる悪党を私は許しません!」
「うるさい!あんたみたいな金ピカ木偶人形に言われたくないわ!」
「盗みは諦めてあげる!でも私達は逃げさせてもらうわ。」
そう言うと二人は置いてあった木箱を蹴り上げてエリカの視界を遮るとそのまま逃げだした。
「待ちなさい!」
エリカも箱を振り払って二人に狙いを定める。エリカの目も敵の動きをサーチする機能が搭載されているので周囲は暗かったが見逃さなかった。
「はぁっ!」
エリカは両腕を伸ばして二人を捕獲しようとした。腕の射程距離は30メートルなので少し走った程度だと簡単に逃げることはできない。
「うわっ!」
「!!ベリー!」
チェリーと呼ばれた長髪の女性はかろうじて腕を避けたものの、ベリーと呼ばれたショートカットの女性は足首をつかまれて動けなくなっていた。
「私はいいから先に逃げて!」
「でも…!」
「二人とも捕まったら元も子もないわ!あんただけでも…。」
ベリーは状況を悟り、チェリーに逃げるよう促した。そしてエリカは腕を縮めながら近づき、ベリーを確保した。
「さあ、あなたを捕獲しました。あなたもすぐに捕まえてあげるわ!」
「ふん、お前なんかに捕まる私ではない!」
「本当にそう思う?」
後ろから男性の声が聞こえた。ウインメタルである。ウインメタルはメタリックガンを構えながらチェリーに近づく。そして周りにはウインメタルの通信を受けた兵士たちが応援に駆け付けていた。
「袋の鼠だ、チェリー&べリー。勘弁して罪を償え!」
「くっ!初めから何もかも計算済みってことね。はいはい分かりました。」
チェリーは両手を広げながら降参するようにウインメタルの方につかづいてきた。彼女も大人しく捕まるのかと思いきや…。
「とでも言うと思ったか?!」
チェリーはそう言うといきなりウインメタルのバイサーに赤い塗料の様なものを吹きかけた。そして、周りにいた支援の兵士たちを押しのけて一人闇へと消えてしまった。
「くっ!待て!」
「ウインメタル!おのれ…逃がしません!」
メインカメラを使用不能にされて怯んだウインメタルは、急いでハイパーサーチを使う。エリカが腕を伸ばし、チェリーを捕まえようとしたが、逃げ足の速い彼女は既にエリカの手の届かない闇の中へと消えてしまったのだった。
こんばんわ!
エリカの初仕事でしたが、お世辞にも成功とは言い難い結果になりました。
チェリー&ベリーの正体とは?
逃げたチェリーの方はどう動いてくるのか?
答えはまた次回です!




