第四十五話 初顔合わせ
こんにちわ。
エリカのデビュー戦開幕です。
チェリー&ベリーによる連続軍施設襲撃を受けて次の襲撃場所が横須賀と予想したウインメタル達は、基地の上層部を説得し、施設の警備及びターゲット捕獲に向けて目を光らせていた。まずはアメリカ海軍のデービス総官を説得し、そのあと一部施設を共有している海上自衛隊の横須賀駐屯地にも通達をし、警戒をするように要請。はじめは驚いていた自衛官達だったが、朝霞駐屯地が襲撃されていたこともあってウインメタル達の提案を受け入れた。
「上手く説得で出来てよかったですね、ウインメタル。」
「ああ、全くだよ。後はやつらが現れてそれを捕まえるだけだね。」
その日の夕方、二人は手分けしてあたりを警戒しながら基地内を監視していた。ちなみにエリカは人間体に戻って地上を、ウインメタルはアーマーを光学迷彩で隠しつつ空中からあたりを監視していた。海に面した基地周辺を赤い夕焼けが美しく幻想的に照らしている。すると、上空から監視していたウインメタルに別の通信が入った。
「ウインメタル、聞こえるか?」
「デービスさん。はい、聞こえますよ。」
通信はデービスからだった。デービスは心配しつつも少し上機嫌な様子で話を続けた。
「どうだ?異常はあるか?」
「いえ、今のところは無いです。」
「そうか、ならよかった。」
「でもまだ夕方ですし、いつどこから現われるか分かりません。引き続き警戒を続けます。」
「分かった。頼んだぞ。」
「了解!」
そう言ってウインメタルは通信を切った。その後も二人は夕焼けに照らされた基地内の監視に当たったのだった。
その夜。
「エリカ、そっちの様子は?」
「異常ありません。でも油断できないので引き続き警備を続けます。」
日が沈み、辺りがすっかり暗くなった後も二人は警備を続けた。ほとんどの部隊が既にこの日の訓練を終えており、掛け声が響いていた日中と比べて施設内は静かになっている。チェリー&ベリーの襲撃時間はいずれも夜である。なので二人は普段以上に目を光らせていた。
「気をつけて。もしかしたらもうやつらは近くにいる…いや、もう忍び込んでいるかもしれない。」
「分かりました。もう暗いですし、サーチ機能を最大レベルまで上げましょう。」
こうして二人は夜の横須賀基地内でチェリー&ベリーが来るのを待っていた。
一方…。
「姐さん、今日も一丁やっちゃいましょうよ。」
「分かってるわ。ここの重要機密も頂いちゃいましょう。」
基地に面する海中から怪しげな二人が海坊主のように顔を出した。そう、この二人こそチェリー&ベリーである。二人は警備の目が一番届きづらい海中から潜入することを選んでいたのだった。
「さ、上陸するわ。ちゃっちゃと片づけちゃいましょう。」
「まかせて、姐さん。」
二人は水中眼鏡とシュノーケルを外し、持っていたかぎ縄を船次場に投げて登って上陸、そしてついに横須賀基地へと侵入したのだった。
「うふふ、厚木の次はこの横須賀でやつらをひと泡吹かせましょう。」
「そうね。何人掛かってきたって大丈夫。あたし達にかなう者はいないわ。」
チェリー&ベリーは物陰に身を隠しながら目的の場所まで向かっていた。辺りには監視役の軍人もうろついているが、彼女達がうまく隠れていることもあるのか気づいている様子はない。こうしている間に二人はあっという間に基地内をすばやく移動し、目当ての格納庫まで到着した。
「着いたわ。」
「うふふ、厚木の件で少しは警戒していると思ったら肝心の重要機密の前に警備の一人も置かないなんて…。」
「無警戒過ぎてつまらないわ。私達もなめられたものね。」
前回の厚木での事件では倉庫前に二人の警備兵がいたのだが、二人の目当ての格納庫の前にはなぜかだれにもいなかった。周囲にも誰かがうろついている気配はない。
「とにかく中に入って物を頂いちゃいましょう。」
「ええ。」
二人は素早く倉庫の扉の前に移動し、鍵がかかっている扉を七つ道具でこじ開けようとした。その時だった。
「そこまでだ!軍事品強盗め!」
後ろから声がしたので二人が驚いて振り向く。するとそこには月夜に照らされた銀色のボディーを持つ者…ウインメタルがマキシムダガーを片手にたたずんでいた。
「き、貴様は…。」
「ウインメタル!」
二人は何が起こったのか分からず、思わず声を漏らしていた。ウインメタルは冷静に続ける。
「貴様らがここに来るのは予想していた。後、目当てがこの倉庫の中にあることもな。だから僕は基地内に潜伏しつつ、お前達を誘い出すためにこの周囲の警戒を解いていたのさ。」
彼女達が簡単にここまで来れたのはそう言うことだった。ウインメタルは最初からそのつもりで二人がどこから入ってくるかを予想する意味合いで基地内を監視していたのだった。
「こ、こうなったら…!」
「お前を殺してお宝を頂戴してやる!」
二人は隠し持っていた小型拳銃でウインメタルに発砲。しかし、案の定メタリックアーマーには傷一つ付いていない。
「そんな…。」
「馬鹿な…。」
驚いた二人にさらに追い打ちをかける出来事が起こる。
「な…」
「何だこれは…」
二人が持っていた拳銃がいきなり取り上げられてしまった。その手は上から伸びていたので二人が上を見上げると…。
「観念しなさい!あなた達の盗みは私が止めます!」
腕を伸ばしたエリカ(アンドロイドモード)が拳銃を握り締めて屋根の上に立っていた。エリカはそのまま持っていた拳銃を握りつぶしてしまった。
「こ、こんなの…。」
「聞いてないわ!何なのよあの化け物は?!」
二人は完全に腰を抜かしてしまった。その隙を見てエリカは伸ばした手で二人の顔面に拳を叩きこんだ。
「さあ、勘弁しなさい!あなた達にもう逃げ場はないわ!」
「今までは上手くいったかもしれないけど、僕達が現れた以上そうはいかないよ。」
上下から挟みうちにされたチェリー&ベリーは焦りの色を見せている。だが、このくらいで諦める彼女たちではなく、隙を窺っていたのだった。
こんにちわ!
エリカちゃん容赦ないですね。
あと、久々にウインメタルの戦闘シーンがかけたので良かったです。
さあ、次回はもっと激しい戦闘になる予定です!
お楽しみに!




