第四十三話 初仕事
こんばんわ!
2週間ぶりの投稿です!
神奈川県厚木市。東京のベッドタウンとなっているこの街には在日米軍の厚木基地がある。まさに日本の中のアメリカと言うべきこの場所は、今日も駐在中の隊員の訓練や戦闘機のメンテナンスを終え、特に何事もなく終わる…はずだった。ある日の夜、戦闘機や重火器の格納庫があるエリアで二人の隊員が監視をしていた。
「今日もなにもなさそうだな。」
「ああ、もうすぐ交代が来るはずだ。」
「は~あ、早く帰ってうまい酒が飲みたいぜ。」
「ホントだな、ハハハ。」
静まり返った基地内でそんな話をする若い男性兵隊二人。そろそろ交代が来るであろう時に異変が起こった。バァン!
「な…」
「何なんだ?」
突如重火器の格納庫の裏から爆発音が響き、それと同時に基地内に警報が鳴り響く。
「くそっ!何なんだよ一体?!」
「とにかく応援を呼ぶぞ!格納庫から爆発音、至急応援を頼む!」
男性兵士二人は中を確認するために格納庫に入った。銃を構え、ライトを照らし、中に誰かいないか探りながらゆっくりとあたりを見回す。すると、奥の方に二人の人影が見えた。
「誰だ?」
「そこで何をしている?!」
兵士たちは銃を構えながら去ろうとした二人に問い詰める。アタッシュケースを持った二人は兵士の方向を振り返った。
「お…」
「女だと?」
顔の上半分は仮面で隠されて分からなかったが、フィットしたスーツを着た二人は紛れもなく女性だった。
「何をしている?」
「理由によっては射殺するぞ!」
二人はそう脅したが、片方の女性は不敵な笑みを浮かべながら言った。
「あなた達にやられるほど、私はヤワな女じゃないの。これでも食らいなさい!」
そう言うと女は黒くて丸いものを二人に投げつけた。それは兵士の足元に転がった後、突然ピンク色の煙を噴きだした。
「ギヤァァ!」
「さ、催涙ガスだ!」
二人の兵士は目を押さえながらもがき苦しんだ。その隙をついて女性二人は素早く格納庫から出た。
「あいつらだ!」
「追え!絶対に逃がすな!」
応援に駆け付けた他の兵士達も追いかけながら女性二人組に発砲。しかし、女性二人は華麗な身のこなしで簡単にかわすと、軽々とフェンスを登り、暗闇に姿を消した。
「くそう、逃げられた。」
「ボス、何か落ちています。」
若い兵士は地面に落ちていた銀色の物を拾い上げる。そこにはこう書かれていた。
『本日も華麗に登場。そしてさようなら。チェリー&ベリー』
翌日。
「昨日午後10時ごろ、神奈川県の在日米軍厚木基地に二人組の女性が基地内に侵入し、銃火器の一部と弾薬、新型戦闘機の設計図を奪って逃走しました。女は二人とも20代前半で、全身スーツと仮面を着けており、チェリー&ベリーと名乗っております。先日から陸上自衛隊府中駐屯所や在日米軍の入間基地にも同様の事件が起こっており、警察では窃盗及び建造物不法侵入の容疑で二人の行方を追っています。」
「狙われたのは自衛隊と米軍基地か。一体何なんだろうね、田中さん。」
「分からん。もしかしたら、武器の違法ブローカーなのかもしれないな。」
「じゃあ、何で設計図なんて盗んだんだろう?」
「他国のスパイか…もしくはテロリストか…。」
二人は頭を悩ませた。普通盗賊と言えば高価な美術品や宝石などを狙うイメージが強い。それが女性ならなおさらである。しかし、なぜ自衛隊や米軍基地ばかり狙うのか全く見当がつかなかった。
「次はどこに行くんだろう?」
「このペースだと、横須賀基地かな。」
田中は隼人にそう言った。そして、後ろにいるロールアウトされたばかりの新型アンドロイドのエリカ(人間体)に話しかける。
「おーい、エリカ!」
「はい。」
「お前の初仕事だ。大変かもしれないが、頑張ってくれ。」
「具体的にはどうすればよいのですか?」
「ウインメタルともにチェリー&ベリーを捕獲するんだ。」
「かしこまりました。博士!」
ぺこりと頭を下げたエリカに今度は隼人が声をかける。
「よろしくね、エリカ。」
「はい、足を引っ張らないように頑張ります。」
エリカは笑顔でそう言い、隼人と共に横須賀へと向かったのだった。
「ここが横須賀ですか。綺麗な街ですね。」
「海沿いの町だしね。」
横須賀に到着した二人は街中を歩きながら基地を目指していた。横須賀にはアメリカ海軍基地と海上自衛隊の駐屯地があり、一部を共同で使っている。今回二人は両方狙われる可能性もあるので相互で警戒をすることになっているのだ。
「さあ行こうか。君の初仕事へ!」
「ええ、参りましょう!」
アメリカ海軍のメインゲートに到着した二人は自信満々に中へと入って言ったのだった。
こんばんわ!
以前横須賀に言ったことがあるので、題材にできたらなと思いました。
さあ、軍事品ばかり盗む二人組の女盗賊とはまた凄いのが出てきたなって思った人もいるかもしれません。
今回はそんな彼女たちとの激闘を書くつもりですのでこうご期待です!
それではまた次回!




