第四十話 帰ってきた男達
こんばんわ!
美男子狩り編、最終回です!
ウインメタルの活躍により、ナノ・ゴーレムは倒され、今回の事件の首謀者である小佐谷総一郎は逮捕された。その後、奥多摩にあるこのアジトには地元の警察が集結し、色々と捜査が行われた。
「しかし、お前ってやつはとんでもないことを考えるよな。」
「これしか方法がなかったんだからしょうがないでしょう。」
広人は呆れつつウインメタルとそう話していた。
「お前、普段はあんなに重いスーツ着て戦ってたんだな。感心したわ。」
「あれはただの鉄板を貼り合わせたレプリカだからね。僕が使ってる本物のメタリックスーツは機敏性と頑丈さを併せ持っているから普段と遜色なく動けるんだよ。ごめんね重いスーツ着せて。」
「お前ふざけんなよ!いくらなんでもセコすぎるわ!今度学食のかつ丼奢れよ!」
あーだこうだ言い合う広人とウインメタルをアーニャと田中は笑顔で見ていた。
「ウインメタルの行動力には毎度驚かされますよね、田中さん。」
「まったくだ。だが、彼の行動力もウインメタルという戦士の能力を最大限に引き出しているのかもしれないな。」
「そうですね。彼がウインメタルでよかったと思いますか?」
「良かったと思うこともあれば、悪かったと思うこともあるさ。」
アーニャに対し、少し意味ありげに田中は答えた。そんな時、拉致されていた男性達がウインメタルのもとに集まってきた。
「ありがとうウインメタル!」
「助かった!」
「もう、捕まるのはごめんだ。」
「いいよ気にしないで!平和を乱すものを倒す。それがこの僕、ウインメタルの使命なんだから。」
ウインメタルはそう言った。彼はウインメタルのメタリックアーマーに選ばれて以降、数多くの強敵と戦ってきた。少々強引で周りを巻き込んでしまうこともあるが、裏を返せばそれだけ平和な世界への強い思いた言うことである。
「さあ、みんな帰ろう。もうこんないやな事件は忘れていつもの日常に戻ろう。」
ウインメタルは広人、アーニャ、田中や誘拐された男達にそう言い、事後処理を続けたのだった。
数日後。
「先日、若い男性ばかりを狙った連続誘拐事件の首謀者が逮捕されました。犯人は同性愛者正統派団体の会長、小佐谷総一郎氏です。調べによると小佐谷容疑者は、若い男性ばかりを集中的に拉致した後に、ナノマシンによって洗脳をかけて自身に奉仕させていた模様。その後、ウインメタルによってアジトを突き止められ、拉致された男性は全員解放され、容疑者は逮捕されました。取り調べに対し小佐谷容疑者は『女性に好きな人を取られ、腹が立っていた。女性に好きな人を取られた苦しみを味あわせたかった』と語っており、警察では誘拐、監禁、傷害の罪で起訴する予定です。」
「ふう、これで事件は終わりだ。後は清水刑事達に任せて大丈夫そうだな。」
朝食を食べながら朝のワイドショーを見ている隼人は涼しい顔でそう語った。その後、拉致された男性達は地元に戻り、元の生活を送っている。男女トラブルがあった者の中には復縁したものや結局状況が変らなかった者など結果は様々だったが、普段の日常が戻ってきたので特に不満はないようだった。また、小佐谷のアジトは解体、ナノマシンも回収及び破棄が決定したのだった。
「さてと、大学行くか。」
隼人はそう言うと荷物を持って大学へと向かったのだった。この日は天気が良く、アパートから出た隼人にはまぶしい日光とさわやかな微風が当たっていた。そんな道の下、大学へ向かって歩き出した隼人を意外な人物が出迎えていた。
「鈴木さん。」
「あ、おはよう。白金君!」
その人物は交際中の中村翔太を拉致された鈴木英恵だった。彼女は少し隼人に近づくと、心にたまっていたものを吐き出すように言った。
「翔太を助けてくれてありがとう。それと、ひどいこと言ってごめん。」
「いいよ別に。気にしてない。犯人も捕まえたし。」
隼人は相変わらず感情のない声でそう答えると、英恵に聞き返した。
「その後、翔太君とはどうなったの?」
「ちゃんと謝って仲直りしたわ。向こうも謝ってくれて…とにかくありがとう。」
「礼には及ばないよ。それが僕の仕事なんだから。じゃあ。」
隼人はそれだけ言って立ち去って行った。ヒーローと大学生。この世に悪がある限り、二つの顔を持つ白金隼人=ウインメタルの戦いはまだまだ続くのだ。
こんばんわ!
ようやく美男子狩り編が終わりました!
次回から新章です!
お楽しみに!




