第三十四話 決行
こんばんわ!
9月最後の投稿です!
とある晴れた日曜日。ここ、東京都江戸川区にある葛西臨海公園は休日とあって多くの人で賑わっていた。しかし、いつもと少し様子が違った。近頃頻発している若い男性の連続誘拐事件は連日ニュースで報道されている。警察やマスコミはメディアを通して注意を呼びかけているが、誘拐されているのが全て女性と揉めた、或いは女性と交際中の若い男性である事が影響し、若い男女が外でデートをしなくなってしまったのだ。今葛西臨海公園に来ている人々は大体が親子連れか老夫婦ばかりで、若い男女二人で来ている者はいない…と思われたが、一組だけ現れたのだった。
「着いたよ!それじゃあ行こうか、伽倻子。」
男性は伽倻子と言う女性に声を掛けた。女性の方も男性に微笑みながら声を掛ける。
「うん、ここ来るの初めてだからしっかり案内してよね、隼也。」
伽倻子が隼也にそう言うと、二人は手を繋いでガラス張りの水族館に入っていった。チケットを買い、入り口にいるイワシの群れに出迎えられた二人は、海水魚、淡水魚、ペンギン等の様々な生き物を見て回った。館内に彼ら以外に若いカップルはいないこともあって、二人はとても目立っていた。そして、周りの人はそんな二人を見てヒソヒソと話し始める。
「おい、若いカップルだぞ。」
「こんな時によくデートする気になったよね。」
「あの男、後で連れ去られるぞ。」
「ご愁傷様だな。」
周りからは散々な言われようだったが、二人は全く気にせずにデートを続けた。そして、二人が全て見終えたときにはもう夕方になっていた。
「いやぁ、楽しかったわね!」
「そうだな。」
「また来ようね!」
「ああ!」
水族館のすぐ近くにある海岸で二人はそんなことを話していた。ここからの海景色は中々の見応えがあるが、今は彼ら以外に誰もいない。すると、突然二人は声を掛けられた。
「仲睦まじいようだね、お二人さん!」
二人が驚いて振り向くと、巷で話題になっている黒ずくめの人物がいた。
「なんだお前は?」
「いきなり声かけないでよ!」
二人は黒ずくめに詰め寄った。しかし、黒ずくめは不敵に笑いながら言い放った。
「私は楽園から迎えに来た。ただし、男性限定だけどな。お前たち、やってしまいな!」
そして、黒ずくめの背後から手下と思われる四人の黒ずくめが現れて、隼也と伽倻子をそれぞれ羽交い締めにした。
「フフフ、これでお前は私のものだ。」
「待てっ!」
すぐ近くで声がしたので黒ずくめが振り返ると、銀色に輝く何かがそこにいた。
「これ以上の悪事は許さん!」
「来たか、ウインメタル。」
それはウインメタルだった。ウインメタルはマキシムダガーを手に持ち、先を黒ずくめに向けながら言った。
「おとなしく誘拐した人たちを解放するんだ!」
「そうはいかない。お前たち、ウインメタルをやっつけるのだ。」
黒ずくめがそう言うと、伽倻子を拘束していた手下の二人が彼女を放り投げてウインメタルに襲い掛かる。ウインメタルもマキシムダガーで応戦するが、攻撃を躱されてしまった。
「くそっ!」
「止めを刺してやる!」
黒ずくめがそう言うと、二人も特殊警棒のような物を出してきた。一人の特殊警棒がマキシムダガーを弾き飛ばす。そして武器を失ったスキを見逃さず、もう一人の特殊警棒がウインメタルを叩き飛ばし、ウインメタルは近くの海へと落ち、そのまま沈んでしまった。
「ハッハッハ!この間の勢いはどこへ行った?よし、もういいだろう。この男は私がもらう。」
黒ずくめはそう言うと隼也の首にナノマシンを打ち込み、隼也が大人しくなったのを見てそのまま走り去り、姿を消してしまったのだった。
「隼也ー!」
伽倻子は悲痛な叫びを上げた。しかし、その直後に立ち上がって…。
「なんてね!」
あっさり開き直った。するとそこに男達数人が現れた。
「大博打でしたが、うまくいったみたいですね。」
「ああ。全く、とんでもない事を思いつきましたね。」
現れたのは清水と田中だった。そして、海からウインメタルがよろめきながら上がってきた。
「二人共、中々の演技力だったよ。さあ、やつを追いかけに行くぞ!」
田中は伽倻子とウインメタルにそう声を掛け、黒ずくめの男=小佐谷総一朗を追いかけに行ったのだった。
こんばんわ!
明日からもう10月です!
段々寒くなってきましたね!
今回、ウインメタルが手も足も出ないままやられてしまいましたが、どうやら1芝居打っていたみたいですね。
一体隼人が考えた作戦は何なのか?
次回もお楽しみ!




