第三十三話 策略
おはようございます!
今週はサボらずにちゃんと書きます。
隼人は若い男性の連続誘拐事件の解決のために日々奮闘していた。捜査を進める上で犯人は小佐谷総一郎という同性愛者の男であることと、彼がナノマシンを使って若い男性を洗脳していたであろうということが分かった。ただし、まだ分からないことも多い。動機が何なのかさっぱりだった。そしてもう一つ、事件とはあまり関係がないが、彼の目の前で理解不能な事態が起こっていた。
「何でアーニャがここにいるの?」
かつてサハリンでのバイオビースト事件の際に知り合った少女、アーニャ・スルツカヤが何故か田中の研究所の前に立っていた。
「相変わらず不愛想ね。折角久しぶりにサハリンからここまで来たのよ。もっと喜んでよ。」
相変わらずマイペースで行動力が高い人だなと隼人は思った。そして、隼人は肝心の理由を聞いた。
「日本に来た理由を教えてよ。」
そう聞くと、アーニャは快く教えてくれた。
「なんか、日本で変な事件が頻発してるって言うじゃない?若い男ばかりが誘拐されるっていう。ロシアでも話題になってるわよ。あまりにも変な事件だからジャーナリストの卵として事件の真相をつかみたいと思って私は日本に来たのよ。」
どうやら彼女も一連の連続誘拐事件に興味を持っていたようだった。とりあえずアーニャに悪意はないだろうと判断した隼人は端末を取り出し、田中に連絡を入れた。
「もしもし田中さん?」
「おう、隼人。着いたか?」
「うん。それと僕達にお客さんだよ。」
「何?」
隼人はアーニャに代わる。
「田中さんお久しぶりです。アーニャ・スルツカヤです。」
「おお、サハリンにいた女子大生の子だね。久しぶり!ようこそ日本へ!」
田中は嬉しそうにそう言った。
「バイオビーストの件は本当にお世話になりました。感謝してます!」
「いえいえ、それよりどうして日本へ?」
「なんか、男ばかり攫われる変な事件がロシアでも話題になっていて。ウインメタルなら何か知っていると思って真相を確かめるために来ました。」
「そうだったのか。分かった。隼人、入れてあげな。」
「了解。」
そう言って隼人は研究所のセキュリティをアーニャと一緒に通り、彼女とともに研究所の中に入って行ったのだった。
「へぇ、ここがウインメタルの拠点なんだ。ずいぶん立派な研究所ね。」
「田中さんすごい人だからね。それにしてもアーニャ、よくここが分かったね。」
「うん、日本で何か特殊なことを研究している施設をいろいろ調べて何件か当ってみたの。ここは7件目よ。」
「偶然当たったわけか。ご苦労様。」
隼人はもう一つ疑問に思っていたことをアーニャから聞き出しながら、研究所の廊下を歩いていた。そして、田中がいる研究室にたどり着いた。
「田中さん、来たよ。」
「隼人、それにアーニャ!まぁ、まずは掛けて。」
田中にそう言われて、二人はイスに座る。
「犯人わかったのはいいけど、どうやっておびき出そうか?今日も動きはなかったよ。」
「え、犯人は割り出せているの?」
アーニャは目を丸くしながら隼人に聞く。
「うん、小佐谷総一郎っていう同性愛者の男だよ。こいつなんだけど。」
隼人はディスプレイに小佐谷の写真を表示した。
「うわぁ、ずいぶんごつい男ね。」
「うん、でも今はどこにいるか分からない。」
隼人は残念そうにそうつぶやく。田中の方も頭を抱えながら言った。
「何せやつの拠点がまったく分からないからな。過去の出現ポイントを元にいろいろサーチしてみたが、バラけすぎていて見当もつかん。」
田中の方も尻尾をつかめないでいた。しばらく悩んでいたが、隼人は立ち上がって言った。
「とりあえず、清水刑事には言っておこう。」
そう言って携帯電話を取り出し、警察署へ連絡した。
「はい、江東警察署でございます。」
「ウインメタルです。清水刑事へと替ってもらいたいのですが。」
「少々お待ちください。」
そう言うと保留の音が流れ、しばらくすると清水が出た。
「もしもし清水です。」
「清水刑事久しぶりです。ウインメタルです。」
「おお、ウインメタル!どうだい?何か分かったかい?」
清水にそう聞かれ、ウインメタルは今まで分かったことを話し始めた。
「犯人は小佐谷総一郎という男です。」
「小佐谷…?ああ、あの同性結婚を認めさせるために国会議事堂の前でデモまで起こしたあの男か!」
「はい、奴は特殊なナノマシンを使って男性を洗脳したうえで誘拐していたことが分かりました。」
「そうか。奴の目的は何なんだ?それとやつは今どこにいる?」
「それがまだ…こっちも足取りがつかめていなくって。」
「そうか。分かった。こっちも対策本部を立てよう。また何かあったら連絡してくれ。」
「はい。」
そう言って隼人は電話を切り、椅子に座った。
「でも、その小佐谷っていう男は誘拐をやめるつもりはないんでしょう?だったらまたいつか現れるんじゃない?」
「僕もそう思ってたんだけど、何故か現れなくなってね。ちょっと困ってるんだ。」
隼人はアーニャに残念そうにそう言った。
「向こうから攻めてくるのを待つにしても、手掛かりが分からない上にへたすりゃ新たな被害者も出しかねない。」
田中も手をこまねきながらそう言った。しばらく静まり返っていた研究所の一室だったが、隼人は何か思いついたのか急に立ち上がって言った。
「そうだ!いいこと思いついた!」
「なによ?」
「一体どうしたんだ?隼人。」
普段は無表情な隼人だが、今は珍しくわずかにほほ笑みながら話した。
「僕にいい考えがある。だけど、ちょっと大勢の協力が必要になるけどね。」
隼人は作戦の詳細を二人に話し、その後ある場所へ連絡を入れたのだった。
おはようございます!
珍しくはかどりました。
やっぱ朝に何かやるのっていいのかもしれません。
美男子狩り編も佳境を迎えようとしています。
果たして、隼人の作戦とは?
続きはまた次回です!




