第二十五話 戦士の休息
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サハリンでのバイオビースト事件を見事解決したウインメタル=白金隼人は、その後無事帰国。帰国後は田中に迎えられてその足で研究所へ戻った。今回の戦闘は相手が手ごわかったこともあり、アーマーも無傷ではない…もとい最後のザガースキー戦で切り札であるエナジーバスター・フルスキンモードを使ったためシステムの一部が疲弊しており、再調整する必要があったからだ。
「よし、再フォーマットを始めるからウインメタルになってくれ、隼人。」
「うん。わかったよ田中さん。」
隼人はそう言うとウインメタルに変身。そして実験用空間の中にある様々なケーブルが延び、ウインメタルの装甲につながった。
「準備が出来たようだな。それじゃあ再フォーマット及びシステムヒーリングを始める。各人、ウインメタルに最適化されたデータと修復プログラムの送信を始めろ。」
「「「了解!」」」
助手たちは一斉にウインメタルに向けて大量のデータを送信。ウインメタルのアーマーはその大量のデータを次々と読み込み、自身のデータをアップデートしていく。
「再フォーマット及び修復プログラムのインストール完了まであと5秒…4…3…2…1…」
「「完了!」」
助手の声が実験ブースの中に響く。そして田中は実験用空間の中でケーブルにつながれたウインメタルに尋ねた。
「どうだ、ウインメタル?前の戦闘でダメージを受けたプログラムはすべて修復したぞ。」
「うん。いろいろ見てるけど、システムの起動が前に比べて随分早くなったね。これで次何が起こっても大丈夫だね。」
「そうだ。このまま放置すればシステムが破損し、アーマーの起動や装備の展開に障害が出る可能性があるからな。今のうちに治しておくんだ。」
「ありがとう。」
「いえいえ。ところで慣れない異国の地で何週間も疲れただろう。学校もあるんだし、今日はもう帰ってゆっくり休みな。」
「わかった。それじゃあお言葉に甘えて今日はこれであがらせてもらうよ。
ウインメタルはアーマーを解除して隼人に戻ると、そのまま荷物をまとめて自宅へと戻った。彼の自宅は大学から少し離れたところにある安アパート。ここで彼は一人暮らしをしている。1LDKで、7畳ほどのアパートの一室。ここには本棚と机、そしてテレビや簡易ベッドなど、隼人の私物は必要最低限程度しかないため、見た感じ彼の部屋は非常にこじんまりとしている。
「はあ、疲れた…。いろいろありすぎたけど明日からしばらくゆっくりできるかな?」
自宅に戻った隼人はそのままベッドに倒れこみながらそう言った。そして、今までの疲労が一気に込み上げてきたのか、そのまま目を閉じてぐっすりと眠ってしまった。
翌日。彼は普段通り大学で授業を受け、今までとなんら変わらない学校生活を送っていた。しかし、今ここにいるほかのクラスメートたちは隼人がウインメタルであることを知らない、と言うより興味がないので彼が何週間も学校に来ず、サハリンで怪物と戦ってきたとはだれも思っていない。むしろ彼がいないことに気づいてすらいない生徒が多かったので、なぜ長期間休んでいたのか問い詰められることはなかった。そして、チャイムが鳴り学食で昼食を済ませ、また午後の授業を受け、そしてすべて授業を終えた隼人は何事もなく静かに帰宅した。
「夕飯にしよ。」
隼人は冷蔵庫から水とコンビニで買い置きしておいた惣菜、そしてパックのご飯をレンジで温め、配膳した後にテレビをつけ、食べ始める。丁度テレビではバライティ番組でミステリーの特集をやっていた。しかもその特集がウインメタルだった。スタジオ内ではウインメタルは実は宇宙人ではないかと解説員として呼ばれた大学教授の初老男性が熱弁していた。それをすぐにメガネをかけた中年男性の研究家が真っ向から否定する。
「ウインメタル?彼は間違いなく宇宙人ですよ。あんなもの普通の人間が扱える代物じゃありません。」
「そんなことあるわけねぇだろ!だいたいその…ウインなんたらだっけか?」
「ウインメタルです。」
「そいつは事件の根源を仕留めた後、アーマー脱いで正体さらしてんだろ?しかもどう見ても普通の人間じゃねえか、映像見る限りは…。どうせどっかの大学生か誰かが遊び半分で面白おかしくやっているだけだろ?」
遊び半分…というメガネをかけた中年男性の研究家の言葉に隼人は少しムッとする。
「失礼な。僕はみんなの平和のためにやってるのに、遊び半分とはずいぶん言ってくれるよね。」
隼人は不満そうにそう言う。そして、スタジオでは初老の大学教授が涼しい顔で反論した。
「宇宙人は人間と同じ姿をしたものも少なくありません。彼もその一人でしょう。しかも現場の人物と地球語で会話をしていることから極めて地球人に近く、尚且つ高度な文明を持った種族と推測できるでしょう。彼がどの星からどうやって地球に来たのかは分かりませんが、私はいずれ彼に会い、詳しく話を聞きたいと思っています。」
長々と述べた大学教授の男性に対し、隼人は画面に向かってため息をつきながらあきれ顔でつぶやいた。
「教授さん、長々意見を述べてくれてご苦労だったけど生憎全部間違ってるよ。僕はただの地球人だし、宇宙なんて住んだこともない。聞きたいことがあるなら一応聞くけどね。」
愚痴愚痴と文句を言いつつ、番組を見ながら夕飯を食べる隼人。するとインターホンが鳴った。
「はーい。」
隼人は箸を止めて玄関へ向かい、ドアを開ける。すると、一人の男性が立っていた。やや伸びた黒い髪の毛に隼人よりも色白の肌、細身の体格が特徴の少年だ。
「なんだ、君か。」
「そんなこと言うなよ隼人。ほら、借りてた本返しに来たぜ。ありがとう。」
そう言ってその若い男性は本を差し出す。彼の名前は黒木広人。隼人の数少ない友人で、同じ大学だが、別の学部に通っている。因みに同学年だが、広人は一年浪人しているので一歳年上である。
「どういたしまして。」
「ほんとサンキューな。お、何か見てんのか?」
「超常現象バラエティ見てる。僕特集でね。」
「マジで?見てっていい?」
「うん。」
隼人は広人を部屋に入れ、一緒にテレビを見る。
「お前もすっかり有名人だな。」
「この教授のせいで宇宙人扱いされるのはごめんだけど。」
「まぁ、でもいいじゃねえか。平和守ってんだし。」
二人はともにテレビを見ながら話し込み、番組が終わると夜のニュースにチャンネルを変える。
「なんか、僕がいない間にずいぶんいろんなことがあったんだね、日本は。」
「そりゃそうさ。お前こそ、よく生きて帰ってこれたな。」
「ウインメタルを甘く見ないで。」
「はいはい、無敵の銀色のヒーローさん!」
冗談を交えつつ、楽しく語り合う二人。隼人は学校だと暗い雰囲気で人と話すことはほとんどないが、今広人と話している彼は孤高のヒーローでも憎まれ役の根暗男でも何でもなく、普通の青年であった。その後、しばらくの間語った後で…。
「じゃあ、俺は帰るから。」
「うん、わざわざありがとうね。」
「いいのいいの。お前もヒーロー頑張れよ!」
「うん、じゃあ気をつけて帰ってね。」
こうして二人は別れて、部屋の中は再び隼人一人になる。
「よし、風呂入って寝よう。」
彼はそのまま入浴、歯磨きを済ませ、そのまま布団に入り寝てしまった。危険が迫ればどこにでも現れる神出鬼没の銀色の戦士ウインメタル。つかの間の休息の後も、彼がまた出動する時は来るだろう。しかし、それは隼人の予想よりもかなり早く訪れるのであった。
こんにちわ!
眠い、眠すぎます!
新章突入ですが、頑張って書きます。
今日は眠気がすごいのでここまで!
おやすみなさい!
また次回から宜しくお願いします!




