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甲鉄戦士ウインメタル  作者: 東洋連合
第二章 サハリン編
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第十六話 憎悪

こんばんわ!

前回は新キャラのアーニャが登場しました。

今回はもう少し掘り下げていきたいと思います。

親友を奪った化物への復讐、それが隼人の目の前にいる赤毛で色白の少女、アーニャが動く理由だった。アーニャは親友が殺されてから、ずっと授業の合間を縫って事件の真相を追っていた。だが、ジャーナリスト志望とは言えただの女子大生である彼女自身の力だけでは到底敵の正体を暴くまではいかなかった。

「そんな時襲撃されたんだね。」

「そう、化物の姿を見たのは初めてだけど、直感であいつらが犯人だとわかったわ。私も復讐したかったけど、あんな化物に人間が勝てるわけが無かった。でもそんな時に…。」

「僕が現れたって事?」

「そう。」

隼人の質問にアーニャはそう答えた。今二人はアーニャが連れてきてくれた飲食店でランチタイム中だ。若い男女が小洒落た店でランチをしてる光景は普通デートだと思われてもおかしくないが、滅多に見かけない日本人男性と地元のロシア人女性が二人一緒に話しながらランチをしている光景は地元の人にとっては珍しく、隼人は周りの客達からジロジロ見られていた。しかし、隼人はそんなことは微塵も気にしておらず、話を続ける。

「どうして僕に興味を持ったの?ただ化物を倒しただけなのに。」

「興味持たないわけ無いでしょ?いきなり変身して化物三匹をあっさり倒しちゃうなんてとう見ても普通じゃないわ。」

「あっそ。」

隼人は無愛想にそう返した。するとアーニャは苛つきながら隼人に詰め寄った。

「もう!その不機嫌そうな返事やめてよ!こっちは褒めてるし感謝してるのよ!」

「そいつはどーも。僕は当然のことをやっていただけだけどね。」

やはり隼人は素っ気なく返事をする。ただでさえ友達も少ない上に女性と接する機会がほぼ皆無である隼人にとって、アーニャの気持ちなど分かるはずもなかった。黙々と料理を食べ続ける隼人に、アーニャは再び聞く。

「ねぇ、どうしてこのユジノサハリンスクまで来たの?あのアーマーはあなたが作ったの?あなたの本当の目的は何?」

「一度にそんな聞かないでよ。僕はただ単に平和に暮らしたいだけ。だからそれを邪魔する奴らは容赦しない。ウインメタルになって地の果まで行くまでだよ。」

隼人はそう答えた。確かに隼人はウインメタルに変身すると血も涙もないような冷酷で遠慮も容赦もしない程相手を叩きのめす。だが、それは平和に過ごすには邪魔な存在を一つでも多く消したいと言う望みからだった。

「そう言う君はどうしてジャーナリストになりたいのさ?それは親友を奪った化物への復讐?」

隼人はアーニャにそう質問した。するとアーニャは答えた。

「それも理由の一つよ。でも、他にもあるわ。」

「例えばどんな?」

隼人は更に聞き続ける。

「今ロシアは色々問題を抱えているの。不景気に治安悪化。各地で犯罪が多発して、みんな不安を抱えて生活しているわ。だけど国は何もしてくれやしない。おまけに都合が悪いことは隠蔽する始末よ。だから私は世界のみんなに伝えたい。真実を、この状況を!全ては平和のためよ。」

それを聞いた隼人は心の中で何かを感じた。

(同じだ。日本だけじゃない、他の国も一緒だったんだ。)

改めて別の国の状況を知ることができた隼人は複雑な思いでアーニャを見た。そして思った。彼女自身も自分と同じで平和を愛しているという事を。

「なるほど分かったよ。君は誰よりも平和を愛してることも、悪を相当に憎悪していることもね。」

隼人はアーニャにそう言うと、アーニャも答えた。

「ええ、憎いわ!誰かを不幸にするものはみんな憎い!許さない!だから今回も化物を作り出した犯人を探し出して、死刑台に送ってやりたいわ!」

更にアーニャはこう付け加えた。

「だから私はあなたを支持するわ!ウインメタル。いいえ、白金隼人くん!」

先程の憎しみを込めた顔から一変して笑顔になったアーニャ。隼人は相変わらず無表情で食べ続けたが、アーニャが自分の邪魔をするような人ではないと分かって少し安心した。食べ終えた二人は会計を済ませてそのまま店を出た。

「これからどうするの、隼人くん?」

「とりあえず、警部はゆっくり観光でもして来なさいって言ってたからそうしようかな。」

隼人はアーニャにそう言うと、アーニャは笑顔で隼人に語りかけた。

「じゃあ、私が案内してあげる。君は日本人だから日本の面影があるところがいいでしょ?こっちに来て!」

「ちょっと、どこに行くのさ?」

アーニャはそのまま隼人の手を引いて走り出した。しかし、その後アクシデントが…。ドンッ!

「痛いっ。」

「痛ぇのはこっちだよ!どこ見て歩いてんだよ、ええ?姉ちゃん。」

アーニャは運悪く、ごつい体格の三人組のチンピラの内の一人にぶつかってしまった。案の定、そのチンピラの一人は怒ってアーニャに絡んでくる。すると後ろを歩いていた取り巻きの一人が言ってきた。

「おい、よく見たらこの子可愛いじゃねえか。」

「ホントだ!なぁ、姉ちゃん!俺達と一日付き合ってくれたらさっきの事見逃してやってもいいぜ。」

後ろの取り巻きがそう言ったが、もちろんアーニャの答えは…。

「嫌です!私たちは正義の味方です!あなた達みたいなグレた人に興味ありません!行こう、隼人くん!」

アーニャは隼人と共に逃げようとしたが、三人組は道を塞いできた。

「てめぇ、俺にこんなことしてただで済むと思うなよ!」

「そのセリフ、そっくりそのまま返させてもらうよ。」

アーニャがぶつかったボス風のチンピラにそう言い放ったのは隼人だった。

「なんだてめぇ。見かけねえ顔だが日本人だな。そんな口、二度と聞けなくしてやるよ!」

装甲起動アクトメタル!」

チンピラ達が殴りかかろうとした時、隼人はウインメタルに変身した。

「な、なんだこの銀ピカ野郎は?」

「知るか!とにかくやっちまえ!」

三人はウインメタル目掛けて殴りかかろうとした。しかしウインメタルは冷静に言った。

「やめといたほうがいいのに。まぁ、いいや。メタルウイング起動!」

ウインメタルはメタルウイングを起動させた。背中には銀色の鳥の翼のようなものが既に展開されている。

「なんだ、飛んで逃げるつもりか?」

「どうせ飾りだろ?とにかくぶっ殺す!」

三人組がウインメタルに近づいたその時だった。

「サウンドブラスター!」

ウインメタルがそう言うと、メタルウイングが小刻みに動き始めた。そしてその直後…。

「ぎゃぁァァ!」

「何だこの音は?!」

「あ、頭が割れちまうぅ!」

三人は突如頭や耳を抱えて苦しみだした。実はメタルウイングはただ飛ぶ為の装備ではなく、翼を高速で振動させることで超音波を発生させることが出来る。これによって至近距離で超音波を浴びた三人は頭や耳に物凄い衝撃をくらい、苦しんで動けなくなってしまった。

「だから言ったでしょ。やめといたほうがいいって。」

ウインメタルはサウンドブラスターを止め、チンピラ達に言った。ようやく動けるようになった三人はフラフラと立ち上がって…。

「くそっ、逃げるぞ!」

「ああ!」

「化物め!」

そのまま尻尾を巻いて逃げてしまった。

「やれやれ、とんだとばっちりだったよ。ねぇ、アーニャ。」

隼人はアーニャの方を向き直る。しかしアーニャはなぜかとても苦しそうだった。

「隼人くーん…。私も、攻撃食らっちゃったんだけど。頭痛い…。」

「そうだった。これは全体攻撃だったね。」

サウンドブラスターは一度に複数攻撃できるが、自分以外の全員を攻撃してしまうため、結果的にアーニャを巻き込んでしまった。アーニャは状態が落ち着くのを待つと、アーマーを解除していた隼人の手を引いて、目的地へと向かったのだった。

こんばんわ!

今日はデート回?でした。

アーニャちゃんは今後どう活躍するのでしょうか?

また次回をお楽しみに!

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