第十五話 接近
こんにちわ!
4月ですが、お花見出来なかったのが悲しい…。
でも小説は頑張ります!
ユジノ大学を襲撃した巨大コウモリを撃退したウインメタルは、その死体ごと警察に運び込み、捜査本部でミーティングをしていた。
「じゃあ、画面に表示するね。」
すでにウインメタルのメタリックアーマーを解除していた隼人が、会議室にあるスクリーンに画面を表示させる。するとそこには白衣を来た田中が映し出された。
「ユジノサハリンスク警察署の皆さん、こんにちわ!私はウインメタルこと白金隼人の上司、田中三郎です。」
画面に映し出された田中が自己紹介をする。今回の捜査では早期解決の為、ユジノサハリンスク警察署と田中の研究所が共同で捜査をすることになった。もちろんウインメタルが正義の味方であることを証明するために隼人が提案したのだが。
「初めまして。私はこの事件の捜査責任者、ユジノサハリンスク警察署のアンドレイ・エゴルチェフだ。」
アンドレイもテレビ電話の画面に映し出された田中に自己紹介する。そして本題である巨大コウモリの話題になった。ニコライが話を切出す。
「これまでの経緯ですが、まず今月11日の午前一時頃、市内の女子大生が部屋で惨殺されました。その一週間後の午後7時頃に郊外に暮らす親子三人が虐殺されたのを父親の両親が発見。そしてウインメタルの調査により、コウモリの遺伝子を利用した生物による犯行と判明。そして本日午前11時頃、ユジノ大学にて三匹の巨大コウモリが学生と教職員を襲撃し、実態が判明。ウインメタルによって三匹とも撃退されました。」
ニコライの説明が終わり、今度は田中が話し出す。
「なるほど。こちらもウインメタルが採取したサンプルを分析してみたのだが、やはり自然に生まれた突然変異体でないことが判明した。恐らく、どこかの組織が人工的に遺伝子を改造し巨大化させたものである事に間違いない。」
田中もそう説明した。そして隼人も質問する。
「ところで、その組織に関して何か新しい情報は入ったの?」
隼人の質問に対して田中は渋い表情で答える。
「すまん、それに関してはこっちに情報がない。」
田中がそう言うと、隼人は次にアンドレイに問いかける。
「ロシア国内で何か怪しい動きをしている組織とかに心当たりないの?それも生物学関係で。」
隼人の質問にアンドレイは口を開く。
「我々も捜査を進めているが、全くと行っていいほど手がかりが掴めない。なにせ今日やっと化物の正体を掴んだばかりだからな。」
悔しそうに言うアンドレイに対して、隼人も難しい顔で首を傾げる。
「それじゃあ、まだ大元を叩けそうにないね。」
隼人の言葉に会議室内は重い空気でいっぱいになる。敵の正体がわかってもいつどこで、誰が何のために作ったのかがわからなければ事件を完全に解決する事など不可能だからだ。これ以上犠牲者を出さないために重要な手がかりを誰もが喉から手が出る程欲しかった。すると田中が再び口を開く。
「一応、改造された遺伝子の仕組みはわかったんだけどな。どうやら放射能を浴びせ、濃い酸素濃度の空間で育てられて巨大化させた形跡は見られた。だが、そんな設備、どこにあるのかなんて検討もつかない。」
田中の発言にアンドレイも答える。
「そうなると、サハリン全域の生物学研究組織や原子力発電所周辺を捜査しないとな。悔しいが、今はそれしか出来ない。」
アンドレイの言葉に隼人も田中も他の捜査員も黙って頷くことしかできなかった。
「アンドレイさんの言う通り、まずはそこから始めようよ。ただ敵が現れて倒すだけのイタチごっこをこれ以上やっても犠牲者は減らないしね。」
隼人がそう言う。そして田中も口を開いた。
「私達も引き続き分析に協力します。何か情報が入ったら速やかにそちらにお送りしますのでよろしくお願いします。」
「ああ、こちらこそお力になれるように全力を尽くします。」
アンドレイがそう答える。
「それと隼人!」
「何?」
田中が今度は隼人に言う。
「犠牲者を増やさないためにもお前の力が必要だ。くれぐれもやられないように気をつけるんだ。」
「分かってるよ田中さん。大丈夫、僕はそんな奴らにやられるほど貧弱じゃないよ。メタルウイングも追加されたしね。」
隼人は自信満々にそう答えた。実際新装備のメタルウイングが追加されたお陰でウインメタルは今までにできなかった空中戦も出来るようになり、戦術の幅が広がった。今回もメタルウイングのお陰で三匹の巨大コウモリを一匹も逃さずに全滅できたと言ってもいい。その後も少しやり取りをして、今日の会議は終了し、捜査員たちはぞろぞろと退室していった。
「隼人くん!」
「どうしたの?アンドレイさん。」
隼人がアンドレイに呼び止められた。
「今日は本当にありがとう。まだ解決できるまでではないが、君のお陰で捜査の進みが早くなった。」
「そいつはどーも。」
隼人は相変わらず無愛想にそう返す。
「今日はお礼と言ってはなんだか、このあとはゆっくり市内を観光でもしてくればいい。異国に来てリフレッシュする時間も無かっただろ?」
「それはそうだけど、いいの?」
「ああ、構わん。君に過労で倒れられちゃ、我々も困るからな。」
「過労なんてしないよ。でも、そこまで言うならお言葉に甘えてそうさせてもらうよ。」
アンドレイに言われて、隼人はそのまま警察署を後にした。とりあえず、時計を見るともうお昼を過ぎていたので昼食を食べようと店を探すことにした。歩きながらどこか美味しそうな店がないか探していると、隼人は後ろに気配を感じた。
「誰?さっきからついてくるのは。」
後ろを振り返ってそう言うと、ビルの影から一人の女性が出てきた。赤毛に白い肌、青い目をしたいかにもロシア人と言った感じの若い女性だ。
「バレちゃったね。さすがは無敵のヒーローってことかしら?」
出てきた女性に隼人は見覚えがあった。その女性とはウインメタルがコウモリの死体をトラックに運び込んでいるときにお礼をさせて欲しいと言っていた女子大生だった。
「ストーカーとは随分趣味が悪いね。」
「失礼ね!女の子にそんなこと言うなんて。日本の男って思ったより甲斐性ないのね。」
女子大生はそう言う。すると隼人は喧嘩腰に言い放った。
「何の用なの?」
「お昼の店を紹介させてくれたら教えてあげる。」
女子大生がそう言うと、隼人は別に否定する理由もなかったので、彼女についていった。辿り着いた場所はモダンな感じのレストラン。そこでお互い好きなものを頼み、料理が来るのを待つ。そして隼人が口を開き、彼女に質問した。
「いい加減名乗ったらどうなの?こっちは正体見せてんだから。」
「もう。もっと優しい言い方できないの?私はアーニャ・スルツカヤ。ジャーナリスト志望なの。」
アーニャが名乗ると隼人はもう一つ質問する。
「どうして僕達を付け回したの?事件のことでも調べてるわけ?」
隼人がそう言うと、アーニャは表情を曇らせて言った。
「先日、女子大生が殺害された事件があったでしょ。殺害した犯人は巨大コウモリだった。」
そして、アーニャは更に怒りを込めた表情で言った。
「その殺害された女子大生は私の大切な友達よ!だから許さない!あの化物を作り出した組織を探し出して、世間から抹殺したいの!」
こんにちわ!
雨が降ったり晴れたり忙しい天気が多いですね!
さて、またも新キャラ登場ですが、彼女はどう物語に関わっていくのか?
また次回をお楽しみに!




