第百二十六話 敵を探れ!
こんばんわ!
前回海中にて戦闘を繰り広げたウインメタル。
反撃の余地はあるのか?!
カリフォルニア沖の直線距離上にあるからと言う理由だけで、敵の目的地が青森県の八戸であるという随分大博打な予測でやって来たウインメタル達だったが、まさかの予測的中。ただ、普段戦わない海上での戦闘と言うこともあり、ウインメタルとエリカは大苦戦を強いられた。ウインメタルは深海に引きずり込まれたものの、何とか脱出に成功し、無事八戸沖に戻ってきた。そして、日本国内で初めて怪物騒動、そして尚かつその敵が行方不明になったクロノサウルスだと言うので青森県内だけでなく騒ぎは全国に拡がったのだった。
「今朝6時頃、青森県八戸市の沖で、漁船が怪物に襲われる事件が発生しました。怪物は全身およそ20mで、全身が装甲のようなもので覆われており、先日オーストラリアで発見されたクロノサウルスに酷似しています。幸い襲撃された漁船には危険を察知していたウインメタルとその仲間が乗っていたため死者、怪我人はいませんでしたが、突然現れた怪物に対して地元では不安の声が上がっています。」
戦闘後、ウインメタル達3人は八戸市内のホテルに戻り、TVでニュースを見ていた。田中はエリカのメンテナンスをし、隼人はベッドに寝転がっている。
「早速ニュースになっちゃったね。それにしても疲れた。水中って結構動きにくいね。相手も手強かったし。」
寝返りを打ちながら隼人はそう言った。田中は手を休めずに隼人の方へ向き直り、労いを掛ける。
「最初海に引きずり込まれた時はどうなるかと思ったけど、戻ってきてくれて良かった。あ、それとさっき噛まれた所をメンテナンスするからな。」
「はーい…。」
隼人は疲れ切った声で返事をしながら起き上がって伸びをする。そして、メンテナンスを終えたエリカ立ち上がり、少し暗い表情を浮かべながら話し始めた。
「申し訳ございません。私はサポートアンドロイドにもかかわらず、皆さんを危険な目に遭わせてしまいました。あんなに近くにいたのに、私のセンサーは無反応でしたし…。」
「大丈夫だよエリカ。僕のハイパーサーチにも引っかからなかったし、まさかあんなのが出てくるとは予想外だよ。」
「そうだぞエリカ。犠牲者が出なかっただけでも不幸中の幸いだ。」
落ち込むエリカに隼人と田中は慰めの言葉を掛ける。そして、隼人はあの怪物…クロノサウルスが船を襲撃した件に関しての話題を切り出した。
「それにしても、あのクロノサウルスは一体何なんだ?あちこち改造されていたみたいだけど、完全な機会ってわけでなさそうだ。動きは生物的だったし。もしかしてだけど、やっぱりオーストラリアの死体がなくなったことと関係あるのかな?」
「正直信じられないが、今までの経緯を見ると辻褄が合わないわけでもない。エリカ、データは取れたかい?」
田中はそうエリカに聞いた。エリカは冷静に答える。
「あのクロノサウルスですが、体の80%以上が機械で形成されており、残りの部分は元の生体機能をそのまま利用しています。分かりやすく言えば、サイボーグですね。何者かがクロノサウルスをサイボーグ化して操っていると見て間違いありませんね。」
エリカはの報告に田中も隼人も険しい表情を浮かべた。今回の事件は知れば知るほど謎が深まるばかりだと思ったのだ。
「どおりで動きが滑らかだと思ったよ。それにしても、あのオーストラリアの死体を盗んで改造したのかな?だとしたら相当頭のおかしい天才科学者がいるってことだよね。」
隼人の質問に田中が答えた。
「可能性があるとしたらそれだな。確か、現地の大学が分析の為に体の一部を保管してたはず。データを送ってもらってエリカの取ったデータと照合すれば分かるはずだ。エリカ、後で連絡を頼む。」
「畏まりました。」
エリカは微笑みながらそう答えた。そして、疑問はもう一つ残る。
「それにしても、本当にどこの誰がこんなことするんだろう?あんなでかい死体盗んでサイボーグに改造して人を襲撃するなんて…田中さん、知ってる人の中でこんなことできそうな人いる?」
「いや、検討も付かないな。まぁ、私の科学者仲間にこんなことする奴がいて欲しくないってのが本音だが。」
田中は隼人にそう答える。以前、田中のかつての同僚である山崎がゲノムドライブとラドミウム合金を悪用し、ダークメタルを送り込んで来た事件を田中は思い出していた。あの時、ウインメタルとエリカは一度敗北したものの、ハイパーウインメタル合体し、見事逆転勝利。山崎も捕まって裁きを受けさせる事が出来た。今回もその様なマッドサイエンティストによる悪行ではないかと心配する田中だった。そして田中は1つ気になっていた事を口にした。
「それにしても、敵に逃げられてしまった。この広い海だ。今度はいつどこに現れるか検討もつかない。」
「それなら大丈夫だよ。」
心配する田中に対し、隼人は軽い感じでそう答えた。これには田中も驚いている。
「どういうことだ、隼人?」
「さっき腕を噛まれた時にこいつを奥歯の隙間のところに打ち込んでおいたよ!」
そう言って隼人が取り出したのは高さ1cmほどの銀色の円錐形のものだった。
「そいつは前に私が作った…」
「そう、発信機!これでどこにいるか手に取るように分かるよ!因みに、今は太平洋沖…フィリピン辺りにいるね。」
隼人はエリカにもデータを送った。その様子を見た田中は微笑みながら心の中で呟いた。
(全く、大したやつだ。今回も難しい事件だけど、ウインメタルがいればやはり怖くないかな。)
こうして三人は改造クロノサウルスの分析や対策、作り出した犯人などを中心にミーティングを行い、一刻も早い事件の解決に向けて動き出したのだった。
こんばんわ!
ウインメタルのファインプレーで敵の居場所を突き止めました。
果たして、どのように反撃するのか?
次回もお楽しみに!




