第百十八話 冥界に踏み入れろ
こんばんわ!
今日は雨が強いですね。
心の中も雨模様ですが、書きます!
離れの中にある地下トンネルの様な場所で霊道の入り口を発見したウインメタルとエリカ。ウインメタルはその先に幽霊たちの親玉がいると踏み、中に入ってそれを倒すことを提案する。エリカは危険性が高すぎると初めは反対していたが、ウインメタルに今までの実績を入れて計算して大丈夫と捉え、共に行くことを決断。そして、二人は青白く渦巻く霊道の入り口に飛び込んでいった。
「ちょいとお邪魔させていただくよ!」
ウインメタルはそう言って霊道の中に入っていく。それに続いてエリカが入り、二人は無事に霊道を通りぬけて冥界に辿り着いたのだった。
「これが冥界か。地獄…といった感じではなさそうだな。」
「しかし、当然ながら霊的エネルギーは屋敷内部の比ではありません。注意が必要です。」
二人は霊道の先の冥界に対して好奇心と警戒心を抱きながらそれぞれの気持ちを口にした。二人の目の前に広がっているのは、一言でいえば荒れ地…といった感じだ。乾いた土に疎らに生えた雑草や低木。石や倒木などか転がっているどこにでもあるような荒野の様な風景だった。しかし、薄暗くて昼かも夜かも分からない不思議な空、そしてこの世界の住人であろう無数の霊魂達が青白い人魂となってウインメタル達の周りを飛び回っている。
「急ごう、きっとこの先に親玉がいるはず。」
「了解しました。エネルギー反応を測定しながらそれらしき反応を探しましょう。」
二人は無数に漂う人魂をかき分けながらウインメタルの言う親玉を探し始めた。ここは一見してただの薄暗い荒れ地だが、歩いても歩いても似たような風景が広がっており、どの位の広さがあるのか分からない。
「正直、冥界ってもっと邪悪な場所だと思ってたけど、ここを見る限りそうでもないようだね。確かに悪霊も多いけどそうじゃない幽霊もいる。」
「悪霊以外の幽霊は本当にただの通り道とし使用しているのでしょう。悪霊になってしまった幽霊のほとんどが一方的に生き埋めにされた人達、この世に恨みを残したまま自殺した人、殺害された人でしょう。」
「もし親玉がいるとしたら、その3つのうちどれだろう?」
「分かりかねますね。しかし、屋敷に出没する理由は自分たちの場所を荒らした鳩河原喜十郎への恨みはあるでしょう。」
ウインメタルとエリカはハイパーサーチを駆使しながら必死で親玉を探す。どのくらい時間が立ったかも分からなくなるほど無我夢中で捜索を続けると、エリカがある物を見つけた。
「左200メートル先に強力な霊的エネルギー反応あり。親玉かもしれません。」
「やはり現れたか。まあ、見てみないと分からないけどとにかく行って確かめよう。」
エリカの言葉を聞いたウインメタルは、反応があった場所へと急行した。目的の場所に着いた二人を待ち受けていたのは、着物を着た若い男性らしき後ろ姿だった。
「お前が…お前が親玉なのか?」
ウインメタルは着物の男性にそう問いかけた。しかし、男性はただ立っているだけで答えない。
「お前の目的は何なんだ?答えろ!」
ウインメタルが強めの口調でそう言うと、男性はゆっくりと振り向いた。
「我の聖域に土足で上がり込み、そのような口のきき方。相当な狼藉者と見える。」
着物の男性は振り向きながらウインメタルとエリカを見下したようにそう言った。年齢はおおよそ19,20歳位といったところだろうか。
「僕は現生から人々を守るためにやってきた甲鉄戦士ウインメタルだ。お前も名乗れ!」
ウインメタルが着物の男性に問い詰める。男性は不気味に微笑みながら答えた。
「我が名は松平忠志。上田藩藩主の松平家の分家の長子なり。」
その言葉を聞いたエリカは分析を始め、そしてウインメタルに伝達をする。
「ウインメタル、彼は江戸時代の大名の一人、松平忠周の子孫に当たる人物です。」
「なるほどね。そう言うことか。でもその様子じゃ一家の中で大した扱いは受けていなかったみたいだね。それに、その痣…やっぱり疫病にかかって埋められた内の一人みたいだね。」
松平が来ていた着物は所謂将軍が着るような煌びやかなものではなく、灰色を基調としたややくすんだ着物だった。また、首下から頬にかけて赤黒い痣が出来ている。
「黙れ!我が苦しみも知らずに!我は確かに分家出身で大名になれる保証はなかったが、それでも村で皆と過ごせることに喜びを覚えていた。だが、この流行り病によって本家の軍隊が押し寄せ、村を焼き払い、生き残った者を生き埋めにした。子供も老人も関係なくだ!」
松平は言葉に怒りと悲壮感を込めながらウインメタルとエリカを怒鳴りつけた。松平はさらに続ける。
「我もそうだ。肉体は滅んだが、この場所を見つけ、共に息絶えた村の者たちや恨みを残して息絶えた者たちを迎え入れ、聖域とした。だが、あの老人が我が聖域に悪趣味な屋敷を建ておって…。だが、我らにはどうする事も出来ぬゆえ、ここにおる者をそちらの世に送り込み、伝えたのだ。我が聖域を汚し、入りこむことは許さんと。」
ウインメタルとエリカは彼の話を聞いて少し気の毒に思った。しかし、それ位で指名を忘れるようなウインメタルではなかった。
「お前の話は分かった。だが、大人しく成仏しなかった事を居間後悔させてあげる。覚悟しな!」
そう言ってウインメタルはマキシムダガーを展開して松平と対峙したのだった。
こんばんわ!
遂に親玉登場です!
ウインメタル達は勝って現世に戻れるのか?
次回もお楽しみに!




