第百十五話 本格調査
こんにちわ。
昨日は久々にお酒を飲んだので、頭がぼーっとしてます。
幽霊屋敷の建造者である鳩河原喜十郎に関することや、屋敷に出現する幽霊に関することが分かってきた隼人達は、田中が言っていた幽霊たちが現世に出入りするための場所、霊道の出現場所そ探す為に本格的に調査を始めることにした。その週末、隼人、エリカ、アーニャの三人は屋敷内をゆっくり物色しながら手分けして霊道を探していたのだが…。
「エリカ、聞こえる?そっちはどう?」
「聞こえます。えー、只今2階の客間にいますが花瓶が空中を浮遊しています。」
「了解。僕が今いるお風呂場では勝手にシャワーの水が出始めたよ。」
二人はそれぞれお互いの状況を報告してから一度端末を切った。隼人は水道の水を止め、風呂場を出ようとした所…。
「…邪魔しないでよ…。」
振り向いた瞬間に白い服を着た髪の長い女性が立っており、白目をむいた状態で隼人を睨みつけた後、捨て台詞を吐いてそのまま消えてしまった。
「邪魔してるのは君たちだ。」
隼人はそれだけ言うと風呂場を出て、絵が色々飾ってあった部屋に行ったアーニャに連絡を取ろうとしたのだが…。
「もしもし、アーニャ?」
だが、端末から聞こえてくるのはノイズ音ばかりでアーニャからの返答はない。更に…。
「殺してやる…。」
アーニャのものではない、低くてかすれた男性の声が聞こえてきた。
「やはり電波が乱されているか。よし、行こう。」
隼人は急ぎ足でアーニャがいる部屋に向かった。隼人がアーニャに連絡を取る際は端末、もしくはメタリックアーマーの通信システムから取るのだが、アーニャの電子頭脳に直接伝達されるので磁気異常などが発生しても特に連絡に支障はない。だが、アーニャとの連絡手段は通常のスマートフォンなので心霊現象などによる電波異常や混線の影響を受けやすく、特に屋敷の中のような強い力を持つ場所では連絡が取りづらいのも事実だ。隼人がアーニャが調査していた部屋に入ると、そこには異様な光景が広がっていた。
「もう、来ないで!あっち行ってよ馬鹿!」
アーニャが起こりながら古本を投げつけていた相手は、ぼろぼろの着物を着た鎌を持った幽霊だった。服装からして恐らく疫病にかかって生き埋めにされた者の一人だろうが、幽霊は鎌でアーニャに斬りかかろうとしていた。
「装甲起動!」
隼人はすぐにウインメタルに変身し、マキシムダガーを展開した状態でアーニャと幽霊の間に割って入り、鎌を受け止める。
「あ、ありがとう!ウインメタル!」
「とりあえずここは危ないから下がってて!マキシムスライサー!」
マキシムダガーの刃が赤く光り始め、そのまま幽霊を切り裂いてしまった。幽霊はうめき声を上げながらそのまま消えてしまい、とりあえず騒ぎは収まった。因みにこの必殺技はマキシムダガーの刃に熱エネルギーを集約させて使うもので、エナジーバスターよりも消費が無いので隼人も小さな仕事の時にはよく使っている。幽霊相手に使ったのは初めてだったが。
「助かったわ。でも本当に殺されるかと思った。」
「これじゃあ、調査する前にこっちが殺されちゃうよね。仕方ない、一度外に出ようか。」
こうしてウインメタルはアーニャを連れ、そしてエリカにも連絡を入れた後に庭に出たのだった。
「どうだった、みんな?」
庭で調査をしていた田中は出てきた三人に声をかける。ウインメタルは苛々した様子で答えた。
「全く。幽霊を倒すつもりなんて無いんだけど、奴ら僕達が離れないのをいいことに襲いかかってくる。これじゃあ追跡どころじゃないよ。」
「私もさっき鎌を持った幽霊に殺されかけました。」
アーニャも疲れ切った表情でそう答えた。そして、エリカも続ける。
「幽霊の数が多いのは相変わらずですが、出現場所、出現パターンに規則性が無く、霊道の特定は困難だと思われます。」
「そうか。私も今庭で調査をしていたのだが、様々な霊的エネルギーが混線しているような状態だ。少なくともこの庭には霊道の入り口は無いと思うが…。」
田中もすっかり悩んでいる。だが、この場にいた全員がこれ以上事態が長引くと調査はさらに困難を極めると危惧していた。すると、ウインメタルがあることに気付いた。
「ねえ、誰かあそこの離れって調査した?」
ウインメタルが指差した方向には、屋敷の斜め裏側にある離れがあった。本邸よりもやや老朽化が進み、台風が来たら吹き飛びそうな小さな平屋一階建ての建物だ。
「いえ、私はしてませんが。」
「私もあそこには手を出してない。」
「私はあんな場所があるなんて知らなかったわ。」
エリカ、田中、アーニャも特に調査はしていなかった。すると、ウインメタルが言った。
「じゃあ、あそこの調査もしようよ。これだけ探しても見つからないし、やってみる価値はあると思うよ。」
ウインメタルは全員にそう提案した。田中も少し悩んだが…。
「そうだな。確かに何か怪しい雰囲気がある。調査だ。」
「畏まりました。詳しく調査しましょう。」
「もちろん。少しでも疑問を抱いたら徹底的に調査するのがジャーナリストよ!」
3人もやる気満々な様子で、奇妙な離れの調査が始まったのだ。
こんにちわ。
幽霊屋敷編を書いていてゴールをどうしようか悩んでいますが、何とか見つけたいです!
それではまた次回!




