第百十二話 幽霊屋敷に住んでみて
こんにちわ。
連休も終わり、気温も高くなってきましたね。
隼人は頻発する幽霊騒動を調査するために、問題となっている屋敷を現金一括で買い取った。そしてエリカ、田中と共に屋敷での生活初日を迎えたのだが、やはり沢山の幽霊が現れた。それでも掃除などの作業を終えて疲れ切った隼人は寝室で熟睡していたのだが…。ギィィィ…ドン!
「ん、何?」
突然部屋に響いた異音に気付いた隼人は眼を擦りながらゆっくりと体を起こした。しかし、周りを見渡すと締めたはずのドアが開いていること以外は特に異常は見られない。しかし、この屋敷の事だから隼人はすぐに幽霊の仕業だと分かった。
「やっぱり出たか。毎晩これじゃぁ慣れるまで大変かも。」
そう言いながら電気を点ける隼人。しかし、明るくなった部屋を見渡してもやはり誰もいない。それでも隼人は…。
「いるのは分かってるんだよ。隠れてないで出てこい!」
そう言った瞬間、窓が閉まっているにもかかわらず部屋に風が吹き始めた。そして戸棚がガタガタ揺れ始めて、部屋の明かりも不自然に点滅している。そして、背後に気配を感じた隼人は…。
「そこか!」
隼人は枕を掴んで後ろの壁に投げつけた。すると、壁からすり抜けるように女性の生首が現れた。
「ウゥ…。」
女の生首は白目をむきながら隼人の方を向き、口を開けて向かってきたと思ったらいきなり隼人の左腕に噛みついた。
「痛ったいなぁ。もう、メタリックガン!」
隼人は右手の装甲とメタリックガンを展開し、窓を開けて外に半身を乗り出した隼人。しかし、幽霊はまだ隼人の左手に噛みついたままだ。
「ビームモード!」
隼人は幽霊の頭に銃口を押し付け、ゼロ距離で細くて青白いビームを放った。ビームを受けた生首は隼人の左手からようやく口を離し、そのまま森の方へ消えてしまった。
「あ~あ、歯型付いちゃったよ。物理的な被害を受けた以上はますますこの幽霊共を何とかしなくちゃいけなくなったな。」
そう呟いた隼人は気を取り直して寝ることにした。
翌朝。
「おはよう。」
「おはようございます、隼人。」
隼人は少し寝ぼけた様子で居間に入り、エリカに挨拶した。
「おはよう、隼人。少し眠そうだな。」
「うん、いきなり物音がしたと思ったら生首に噛みつかれたんだ。」
それを聞いた田中はトーストを食べながら表情を曇らせた。
「やっぱり出たのか。」
「ってことは田中さんも?」
「うん。尼さんの幽霊が寝室の真ん中を直立不動で滑るように移動したと思ったら、そのまま壁をすり抜けて消えてしまったんだ。」
暗い表情でそう語った田中。怪奇現象に巻き込まれたのは隼人だけではなかった。そしてエリカの方も口を開く。
「夜間もエネルギーを測定しましたが、霊的エネルギーの反応が昼間よりも強まっているんです。どうやら夜の方が出現率が高いようですね。」
「朝も夜も変わんないと思うけどな。ほら。」
隼人がそう言うと、テーブルの真ん中に置いていた角砂糖を入れた陶器が宙に浮いた。そしてふたをカタカタと言わせた後、いきなりひびが入り粉々に砕け散ったのだった。
「あ~あ。入れ物が粉々、角砂糖も散らばっちゃったよ。」
「隼人、後の片づけは俺達がやっとく。学校行く時間だろ。」
「ん、そうだった。じゃあ、行ってきまーす!」
隼人は急いで鞄を持つと玄関へ向かった。
「隼人、行ってらっしゃいませ。日中の調査も私達にお任せ下さい。」
「分かった。何か掴んだら連絡頂戴。」
隼人はそう言うとドアを開けて外に出る。
「よし、行こう!装甲起動!」
隼人はウインメタルに変身すると、そのまま爽やかな長野の空に向かって飛んで行ったのだった。
20分後。
「到着。」
隼人は大学の裏にあるごみ捨て場に到着した。ここは週に一回回収車が来ることを除けばほとんど人が来ないので、校内でアーマーの着脱をする場合、ここで行う事が多い。そのままアーマーを解除して隼人に戻り、普段通りに教室に向かった。ドアを開け、中に入って静かに椅子に座った隼人だったが、早速周りからはひそひそと小言が飛んで来ていた。
「おい、あいつ幽霊屋敷買ったらしいぜ。」
「まじ?趣味悪い!」
「そもそも大学生がそんな金どうやって溜めたんだ?」
「変なバイトしてたんじゃないの?」
「まあ、金あったとしてもそんなことに使う時点でマトモな神経じゃないよね。」
「普通ならヒーローになろうなんて考えないのに、やっぱあいつ頭おかしいわ。」
散々な言われようだった。隼人は元々無口でクラスの中でも地味で目立たない存在だったが、ウインメタルになって以降は根眜なヒーローとして悪目立ちしてしまった。また、隼人が家を買った事がニュースになってしまい、それでさらに隼人は変人扱いされてしまったのだ。そもそも、ヒーロー=カッコいいというイメージが強い為、隼人のように影が薄くて暗い人物が活躍しているのをよく思わない者たちも多かった。
「やれやれ。こっちの苦労も知らないで。そこまで言うならそっちが幽霊屋敷に住めばいいのに。」
皆に聞こえないようにぼそりと呟いた隼人。幽霊屋敷に住み始めて二日目。まだ謎は多いが、なんとしても屋敷の秘密を暴いてやろうと闘志を燃やしていた。
こんにちわ!
幽霊屋敷に住み始めたみんなが早速怪現象に巻き込まれてしまいました。
この屋敷にはどんな秘密があるのでしょう?
次回もお楽しみに!




