第百八話 朝の幽霊
こんばんわ!
ウインメタルの久々の幽霊退治。
その幕が切って落とされようとしています!
先日テレビで紹介されていたという、長野県上田市にある幽霊屋敷。放送後の反響もあり、色々な意味で市内を騒がせているこの物件だが、やはり多かった意見としては「気味が悪いし、死亡事故も起きているから早く何とかして欲しい」というものだった。研究所にもウインメタルの出動依頼が来ていたので早速隼人とエリカは現状を調査すべく上田に向かった。現在朝8時。隼人とエリカは人込みをかき分けて、早速例の屋敷へと向かおうとしていた。
「結構距離があるな。変身して走って行こう。」
「了解しました。ただ、騒ぎになる恐れがありますのでステルスモードを推奨します。」
「分かってる。装甲起動!」
隼人は早速ウインメタルに変身すると同時にステルスフィールドを展開。エリカを包み込み、幽霊屋敷へ向けて郊外に向かったのだ。エリカはアンドロイドなのでフォームシフトしなくても人間以上の身体能力が出せるので人間体のままだが、隼人は普段は普通の人間なのでそうではない。そのかわり、変身することによってジョギング程度の走りで車並みのスピードを出す事が出来る。姿を隠したまま走ること15分。この辺りまで走ると人気もほとんどなくなるのだが、そんな所に例の屋敷はあった。
「ここか。」
ウインメタルはステルスモードを解除し、二人が姿を現した。そんな二人の前に幽霊屋敷は異様な存在感を漂わせながらそこに建っている。
「確かに立派な家だ。これで200万は安すぎる。」
「最後の持ち主は結婚して間もない若い夫婦だったそうですが、毎日出現する幽霊に耐えきれずに1カ月で逃げたそうです。」
「それから半年は誰も住んでない全くの空家か。」
ウインメタルはそう呟いた。家の門は鎖で張り巡らされ、「空家、購入者受付中」の張り紙が貼られている。広々とした庭は雑草が伸び始めているが、家屋の方はあまり痛んでいる様子はなく、少し整備すれば今からでも十分住めそうだった。
「そう言えば、昨日広人が録画してた例の番組を見せてもらったんだけど、家が作られてから40年間ずっと幽霊が出現し続けているらしいね。だけど余りにも多い上に、何でそんなに出るのか分からないんだって。」
ウインメタルは出発前日の夜に広人の家へ行き、番組を見て屋敷に関する情報を得ていた。ただ、内容を何度思い出してもこの屋敷に幽霊が集中する理由はピンとこなかった。
「少し調べてみましょう。解析開始!」
エリカは屋敷に何かあるのかを調べるために解析モードに入る。その直後だった。
「ん?エ、エリカ!出たぞ、2階の窓から白い服をきた女の人が見える!」
ウインメタルが家を指さしながらそう叫ぶ。その方向の先には2階部分の窓際を白いワンピースを着た髪の長い女性がゆっくりと横切ろうとしているのが見えた。そして、二人の存在に気付いたのか女性は窓の中央で動きを止めて向き直り、ウインメタルと目があった瞬間不気味な笑みを浮かべたのだった。
「私も確認しました。現在女性が立っている部分から微弱なエネルギー反応があります。」
「どうする?エナジーバスターを使えばあの幽霊を消滅させることもできるけど。」
ウインメタルは以前幽霊を倒した時の事を思い出してエリカに提案したが、エリカはすぐに静止する。
「いえ、今幽霊を消した所でまた別の幽霊が出るので意味がありません。屋敷に潜入して何故幽霊が出没するのか調べた上で、原因を取り除くしかないでしょう。」
「でもなあ、勝手に入れないし。」
二人がそんなやり取りをしている間に女性の幽霊は煙のように消えてしまった。
「反応消失。異常は確認できません。」
「うーん。今回は謎が多いな。そう言えば、前住んでいた人は不動産屋でこの家を見つけたって言ってたね。」
「はい、そうです。」
「今何時?」
「現在8:45ですが。」
ウインメタルは時間を聞いた直後、ある提案をした。
「その夫婦に幽霊屋敷を紹介したっていう不動産屋に行こう。そうすれば見学できるし中にも入れる。どの不動産屋か調べられる?」
「少々お待ち下さい。」
ウインメタルに言われて、エリカはこの屋敷を取り扱っている不動産屋を割り出した。
「見つかりました。上田駅から徒歩5分の所にある、しなの不動産上田営業所です。」
「営業時間は何時から?」
「午前10時です。まだ1時間以上ありますね。」
エリカがそう言うと、ウインメタルは頷きながら言った。
「そうか。じゃあ一旦駅に戻ろう。眠すぎて朝ごはんがまだだった。」
「了解です。それでは朝食後、営業開始に合わせて不動産屋に行きましょう。」
「分かった。ありがとう。」
ウインメタルの中ではまだ謎が残ったままだが、一旦駅に戻り腹ごしらえ、そして不動産屋に行き詳しい事情を聴くことに決めたのだった。
こんばんわ。
早速幽霊が出てきました。
そして、屋敷でウインメタルを待ち受けているものとは?
次回もお楽しみに!




