第九話 新たなる敵
こんばんわ!
いよいよ新章です!
宜しくお願いします!
ここはある北国の郊外。人が住んでいないわけではないが、人家もまばらで非常に閑静な場所である。時刻はよる七時。人気の少ない夜道をある老夫婦が歩いていた。
「今日は孫も来てくれたし、楽しみですねぇ。」
「ああ、全くだ。やはり息子夫婦と孫の顔を見れる日は最高じゃ!」
「いっぱい腕を振るいますからね。」
この老夫婦には一人息子がいるが、現在は結婚して都会で働いている。その間に彼は一児を儲けたが、久々に帰省したというわけだ。なので二人は久々に帰ってきた息子達を盛大にもてなそうと買い物に出ていた。そして老夫婦は息子夫婦が待っている自宅に到着。ドアを開けて中に入るが…。
「あれ…?」
婦人が違和感に気づく。
「どうしたんじゃ?」
「誰もいないのかしら?静かすぎるわ。」
「確かに…。おーいみんなー!」
呼びかけるが返事が無い。二人はリビングに入ってみる。
「な…!」
「何じゃこれは?」
二人の目に入ったのは、リビングが荒らされ、部屋のあちこちが壊されている状況だった。泥棒に入られたよりも酷い。
「あなた、どうしましょう?」
「落ち着くのじゃ!おーい、三人ともどこじゃー?」
慌てる婦人を宥め、息子達を探す老人。すると…。
「ん、何じゃこれは?」
老人は足に当たったものを拾い上げた。それはハンドボールのような丸いものだったが…。
「う、うわぁぁ!」
老人はそれを見た瞬間悲鳴を上げた。何故ならその丸い物は自分の孫息子の生首だったからだ。
「きゃぁぁ!」
別の方向から婦人の悲鳴が聞こえてきた。
「どうしたんじゃ?」
老人が婦人のもとに駆け寄る。震え上がる婦人の足元を見てみると。
「な、何でこんな…。」
それはあまりにも悲惨な状況だった。二人の足元には全身をバラバラにされた息子夫婦の変わり果てた姿があったからだ。婦人はショックでそのまま倒れ込み、老人は大慌てで警察を呼んだのだった。
「日本時間の昨日夕方5時頃、ロシアサハリン州のユジノサハリンスク郊外の民家にて、30代の夫婦とその3歳の息子が惨殺される事件が発生しました。発見者は夫の両親で、息子夫婦のために買い物に出て、帰ってきた時には既に手遅れの状態だったそうです。地元警察の話によると、全員体をバラバラに食いちぎられており、部屋には巨大な足跡が残されていた事から、犯行内容が酷似している先日の女子大生惨殺事件と何か関係性があると見て、捜査を進めています。」
ところ変わってここは田中の研究所。アンドロイド襲撃事件から戻ってきた隼人のメタリックアーマーの修理、改造をしている最中だ。研究室は隼人も含め全研究員が揃っており、みんな部屋のテレビを見ながら深刻な顔をしていた。
「アンドロイド事件が終わったと思ったらまた凶悪事件発生だね。しかもロシアで。この御時世、事件無くすなんて無理なんじゃない?」
隼人がテレビを見ながらそう言った。先日のデスガマル戦で負傷はしたが、アーマーに守られていた事もあり、あまり深い傷はなく、ほぼ完治している。
「そうだよな。確かに完全に無くすことは難しいかもしれないな。だからこそ、少しでも減らす為に俺達みたいな存在が必要なんだぞ、隼人。」
田中が隼人にそう言う。彼は今、前の戦闘で破損したウインメタルのメタリックアーマーの修理及び改造で忙しい日々を過ごしている。
「で、その新装備の方はどうなの?」
「今週中には完成するだろう。こいつが使えれば、ウインメタルの戦術の幅が広がるからな。」
田中が隼人にそう言う。ウインメタルのメタリックアーマーの修復自体は既に完了しているが、開発中の新装備の完成がまだだった。開発中は完成までアーマーを付けられないので、隼人は変身できず、ここの所退屈に思っていた。
「装備が完成したら、わかっているな?隼人。」
「うん、勿論。言われなくても僕は行っただろうしね。」
田中の質問にそう返答する隼人。そして、彼らは新装備完成の為に、仕事を進めるのであった。
「じゃあ、行ってくるよ。」
「ああ、気をつけてな。何かあったら必ず連絡入れるように!」
10日後。ここは成田空港北ウイング。ここに隼人と田中がいた。隼人の手にはパスポートと航空券が握られている。そう、これから隼人=ウインメタルが単独でユジノサハリンスクに乗り込み、捜査を行うのだ。田中はそんな隼人を見送りに来ていた。
「なるべく早めに帰れるように頑張るね。」
「くれぐれも無理はするなよ。まだ相手の正体が分からんからな。」
「分かった。行ってきます!」
隼人はそう言い、荷物を持って保安検査場ヘ入る。異国の地でのウインメタルの戦いが、今始まろうとしていたのだった。
こんばんわ!
今度は舞台を海外に移してみました。
果たして、異国の地でウインメタルはどう戦うのか?
お楽しみに!




