第百六話 怪奇、恐怖の豪邸
こんばんわ!
今日から新章です!
平成も残りわずかですが、宜しくお願いします!
この世には、科学的に全く説明が出来ないような、いわゆる超常現象という物が各地で報告されている。ある人はそれを永遠の謎としてロマンを感じ、ある人は懸命にメカニズムを解明しようとしている。だが、超常現象は時に人にとって脅威になる場合もある。今回もそのような恐怖に巻き込まれた者の話だ。事はおよそ半年前に遡る。
「凄いわね。中古とはいえ、こんな素敵なお屋敷が普通の一戸建てよりも安く買えるなんて。」
「うん。俺もびっくりだよ。だけど、ここなら楽しく新生活を迎えられると思ってね。」
ここは長野県内にあるとある住宅。ここに、とある若い夫婦が引っ越してきた。夫婦は結婚前は普通のアパートで同棲生活を送っていたのだが、結婚後の新生活に備えて新しい物件を探していた。そんな中紹介されたのが、当時空き物件だったこの家というわけである。木造で築40年と古いが、以前住んでいた誰かが改装したらしく新しい設備もいくつかあり、各部屋も小奇麗に手入れされている。7LDKの三階建て、地下室やガレージ、2階部分にはテラス、玄関を出ると広々とした庭まで付いている。さらに、天気のいい日には窓から浅間山を眺める事が出来るという、誰もが喉から手が出るほどの好条件がそろっている。それが地方とはいえ200万円という破格の安さで販売されているのを不思議に思いつつも、これ以上にない優良物件だと思った夫婦は購入を決定。無事に入籍し、引っ越してきたというわけだった。そしてこの日、大変だった引っ越しも無事に完了し、最初の生活を迎えようとしていた。その夜、二人は床に就こうとしていたのだが、夫が寝室で不思議な事を言った。
「お前、さっき何で泣いてたんだ?」
「何言ってんの?泣いてないわよ。」
妻は夫が何を言ってるのか分からなかった。
「いや、部屋に入る前確かに泣き声が聞こえたぞ。」
「知らないわよそんなの。それと、あなたこそ2階の部屋の電気全部点けっぱなしにしたでしょ?」
「は、何で俺が?違うぞ。」
夫の方も身に覚えのない事を聞かれて戸惑っていた。
「私がお風呂入る前は消えてたけど、出た後見に行ったら全部点いていたわ。あなた以外いないじゃない。」
「知るか、とにかく俺じゃない!」
お互いに見に覚えがない事を問われて困惑しつつも、引っ越し作業などで疲れた二人はとりあえず寝ることにした。二人がベッドに入ってから数十分後…。ゴゴゴゴゴゴ…。
「ん、何だ?」
「何、今の音?」
二人は部屋に突如響き渡った謎の音に思わず飛び起きてしまった。風の音でも地震でもない謎の轟音は二人を恐怖に陥れた。更に…。
「ねえ、ちょっと寒くない?」
「うう、言われてみれば…。」
轟音が収まったと思ったら、今度は突如として寒気に襲われた。確かに長野県は気温が低く、夏でも夜になると冷え込む事があるが、それとは全く違う、気持ち悪い悪寒の様な寒さだった。
「なんか怖い。暗いと余計怖くなるから電気つけていい?」
「あ、ああ…。」
妻は急いでドアの近くにあるスイッチを押し、部屋を点灯させた。しかし、これが想像を絶する恐怖を生む。明るくなったまさにその時だった。
「「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」」
二人が悲鳴を上げたのも無理はない。部屋の真ん中に青いワンピース、そして青い帽子をかぶった黒く長い髪の毛の女性が立っており、二人を生気のない目でじっと見つめていたからだった。いるはずのない女性を見た二人はショックでそのまま気を失ってしまったのだった。
「なあ、知ってるか隼人?」
「何、広人?」
隼人は大学のキャンパス内を広人と共に歩いていた。レイダー星から戻ってきてから最初の授業であり、久々に地球でいつもの生活が送れると思うとホッとした隼人だった。
「昨日心霊特番でやってたんだけど、長野にある幽霊屋敷がヤバいって話。」
「ごめん、昨日は大学の授業の予習復習で忙しくてテレビ見てなかった。」
ここの所、ウインメタルとして様々な場所に出向く事が多い隼人は、そのたびに休んだ分を取り戻す為に予習復習を欠かさなかった。
「なんか、結構前に作られた屋敷なんだけど必ず幽霊が出るから持ち主がコロコロ変わるんだってさ。しかも、死者まで出てるんだって。」
「うーん、妙だな。そんなにやばい奴なら解体しちゃえばいいじゃん。」
「そうすると、必ず事故が起こって工事に関わった人がみんな死んじゃうんだってさ。」
「ふう、信じられない事ばかり起こってるんだね。最近の日本は。」
隼人は疲れもあって溜息交じりにそう言った。この時点で彼はあまり興味を示さなかったが、後に重大な事件として彼を巻き込んでいこうとは誰が予想できただろうか
こんばんわ!
今度はホラーチックにしました。
果たしてウインメタルはどのような形で今回の件に関わって行くのだろうか?
次回をお楽しみに!




