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奈落の男  作者: HYG
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奈落の男41

 あの仕事から数日後に、端島組の構成員が荒川和美警部補をメガフロートPCX敷地内で狙撃した犯人として逮捕された。その他にも、警察幹部の何人かが自分の体調を理由に職を辞したり、東京湾で個人所有のクルーザーが事故を起こしたり、日本近海を航行中だった国籍不明の潜水艦が米海軍によって撃沈されたりと言ったニュースを雅臣は聞いた。

洋子の話だと、全部あの仕事に関係しているとの事だが、そんな事は雅臣にとってはどうでも良いし、一々信用する気にもならなかった。荒川警部補とはあれ以来連絡を取ってはいない。

雅臣が李達からもらった仕事の後金の殆どは右腕の再生手術用の費用として消える事になった。そして一か月後には右腕の移植手術をする事になっていた。残った金の一部を、結局雅臣は幾ばくかの手間賃としてルイスへ皆と分ける様にと支払った。李に引き渡された大野達がその後どうなったかも雅臣は特に興味はなかったのだが、聞いた噂によると東京湾の何処かに浮かんだとか沈んでいるとか。それが李達外国人居住者の連中と端島組との手打ちの条件だったかどうかは、雅臣ではなくとも何となく想像はつく話ではあった。

雅臣にとって一番の悩みの種だった神田に対する報酬は、神田と洋子と雅臣の三人によるチャット会議の実現と言う事で洋子に条件を了承させた。実際にデジウォールのプライベートボックスで行われたヴァーチャルチャット会議はさながらアイドルの握手会みたいな様相で、雅臣はもっぱらマネージャーみたいな役割を担った。雅臣は神田が洋子の機嫌を損ねない様に誘導するのに骨を折った。洋子は終始、納まりの良くない椅子に座らせられている感じだった。雅臣はそれが滑稽で仕方がなかった。

こうして、雅臣が巻き込まれたこの事件も一応の終わりを迎えたかに思えた。だが、それはまだだった。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。次回最終回です。

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