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奈落の男  作者: HYG
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奈落の男27

 ステルスウェアに身を包んでいる神田は、バイクで首都高速6号向島線から首都高速都心管状線へと合流しひた走った。千鳥ヶ淵に差しかかる辺りまで後続車両を確認しながら走ったが、パーキングエリアにやって来たスピーダーの姿や、その他の尾行して来ていると思われる車両は見えなかった。バイクはそのまま千鳥ヶ淵を越えるとトンネルに差しかかる。神田は引き続き後続車を確認しつつ、後続車が途切れるタイミングでバイクのハザードを点灯させて減速し停車させる。後続車が来ないうちに素早くバイクを降りると、予めバイクに取り付けておいたオートドライビングギア(という名の自動走行装置)を起動させた。バイクはオートドライビングギアに内蔵されている姿勢制御ジャイロとバイク自身が装備する各種センサからの入力データを元に再びバランスを取りながら加速を始め、トンネル内を走り去って行った。神田は僅かしか無い路肩部分に退避した。車が突っ込んで来たら一巻の終わりだな、と神田は思った。実際、神田はステルススーツを着込んでいるので、その存在に気づき減速するドライバーはいないだろう。だが、神田にはまだこのトンネル内に留まって№6の手の者の尾行を確認する必要があった。この間僅か数十秒だったが、数台走り去った後続車に件のスピーダーは無かった。引き続き神田は通りかかる車両を確認する。五秒、十秒、三十秒……。時間は刻々と過ぎてゆき、結局六分程経過した時点で№6――と名乗った人物――が乗るスピーダーが神田の脇を通り過ぎた。やけにゆっくりとした追尾だな、と神田は思った。これが連中が囮のバイクを失追しない自信の表れである事は自明だったが、他に尾行の無い所を見ると別の方法でカバーしているに違いない。そしてトンネル内で俺がバイクを降りた事を知らずに通過した様子からして、トンネル内のカメラまでは制御下に置いていないに違いない、と神田は判断した。囮のバイクには予め環状線を何周か走行したら江戸橋入口に差しかかる手前の左曲りのカーブから下の川に飛び込む様に設定してあった。連中にはその時が来るまで鬼ごっこを楽しんでもらおう……

 神田はリモートで、パーキングエリアに停めて来た自分のスピーダーのエンジンをスタートさせた。

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