9.山の中には神秘的な場所がありました
この世界の魔王様が、サイ・ショウに『落とし穴作り禁止令』を出した頃、聖女(嘲笑)に新たな仲間が増えた。
それは巻込まれ召喚の被害者、津川という名の同じクラスにいた奴だったと思う。
確か、津川はこの世界に来てから聖女(嘲笑)に不信感を持ったはずだ。
自分が人間界の王様の指示により監禁されているにもかかわらず、聖女(嘲笑)は笑顔で自分以外のイケメンを侍らし、顔面崩壊レベルで顔が緩んでいる。
自分の監禁状態に苦言を呈さず、それどころか黙認。無言の肯定。
それは、一度恋した彼女を嫌うに十分な環境だった。
なのに、彼は聖女(嘲笑)の取巻きの仲間入りするとは!
不思議に思っていたのだが、一つの可能性に気付いた。
聖女(嘲笑)と津川には、『真名縛り』の魔法をかけていたはず。
『真名縛り』を利用して、洗脳まがいのことをしたに違いない。
...っと思っていたのだが、真魔トゥルーリーによると津川は洗脳されていないようだ。
トゥルーリーに、そう言われたので津川の目を見てみる。どこか狂気染みたものが混じっている気がした。
彼は、『ヤンデレ予備軍』に進化したようだ。
って、いらん進化やん!
聖女(嘲笑)様は顔がよければ受け入れる人種なので、問題ないだろう?
やったね!←投げやり
ちなみに、サイ・ショウが落とし穴作りにハマるとは予想できなかった。
これは、この世界の魔王様も同様である。
お堅く真面目な軍人という容姿だったので油断したのだ。
これ以上、魔王城の犠牲者が増えぬうちに『落とし穴作り禁止令』を魔界で公布したのだ。
魔王城内だけで大げさなと思うだろうが、真面目な容姿のサイ・ショウがしたのだ。
そんな魅力が、落とし穴作りにはきっと多分あるのだろう。
あれって、重労働な上に作るのが思った以上にめんどくさいのだが。
新たな仲間を加えた聖女(嘲笑)一行は、山の中に入って行った。
やはりというかなんというか、津川以外の取巻きたちのなぜか顔色が悪い。
お貴族様だからか、何ヶ月も城から出ることがないからだろうか?
権力に物を言わせて宿に泊まれることがあるとはいえ、野宿は辛いらしい。軟弱な。
聖女(嘲笑)一行が森の中心に行くと、マイナスイオンを振り撒いてそうな美しすぎると表現するしかない滝が見えた。
あまりの美しさに、聖女(嘲笑)は嫉妬の表情をあらわにする。
取巻きたちは、美しすぎる滝に魅入っている。
美しさを比べるのもおこがましすぎるというツッコミをする親切な者は取巻きたちの中にはいないようだ。
新たな仲間を迎えて調子に乗りまくっている聖女(嘲笑)の前に、魔族と私が現れた。
取巻きたちは滝に見惚れるあまり、聖女(嘲笑)はそんな彼らを引き留めようとするあまり、崖の先の方まで行ってしまっているのに気付かない。
今回私に同行した魔族は、止魔のリール、エンディ、アビシアの美人三姉妹。
聖女(嘲笑)は、彼女たちの美しさに嫉妬している。
その様子を見て、聖女(嘲笑)を嘲笑する私。
ニセモノより、本物の美しさの方がいいですよね!
取巻きたちは美人三姉妹が魔族であることに気付いて、聖女(嘲笑)は私が嘲笑ったことに憤怒して、こちらに立ち向かってこようとした。
しかし、彼らはその場から動くことができない。
止魔である彼女たちが、彼らの動きを止めているからだ。
魔法使いっぽい奴にがいるにもかかわらず、魔族がいるのに何もしていないと思い込んでいるのは、馬鹿なのだろうか?
魔族は、魔法に特化しているから『魔族』なんて言われているんだぞ。
魔法使いっぽい奴のニセモノ疑惑はますます深まった。
彼らが、動けないことを困惑している隙に私は崖の先端を長剣で切り落とした。
今回、私が聖女(嘲笑)一行の前に現れたのは、彼らが崖のある滝の近くを通ることが分かったこの世界の魔王様の指示だ。
それで、確実の崖の先端を切り落とせる私が選ばれた。
私の剣術は、訓練をするなどではなく実戦特化になっている。そんなわけだ。
聖女(嘲笑)一行は滝の中に落とされ、通じてる川に流されていった。
海まで出れば、流れの勢いが止まるだろう、多分。
落とされる最中、聖女(嘲笑)は私に向かって、「この外道―――!」と叫んでいた。
取巻き連中と違って、中々に余裕のある聖女(嘲笑)様である。
魔王城に戻ると、『聖女(嘲笑)チャンネル』の画面に居座っているこの世界の魔王様と魔人たちが、紅茶を片手に○○ホテル風のスフレチーズケーキを食べていた。
料理長クッキンは、一体どれほどのお菓子の知識があるだろう...?