6.第一回の攻撃場所は彼女の 『取り柄』
トオコの魔法で、聖女(嘲笑)の観察をすることになった。
今日がその初日である。
そして、聖女(嘲笑)の『魔王様を倒す旅(笑)』が始まったことを知る。
これはなんていうのだろう?
出来の悪い、リアリティ番組を見る感じだ。
時々、聖女(嘲笑)を取巻きたちが口説くのを見るのだが、彼らの本性を知っている身としてはその口説き文句がペラペラの紙並みに薄く感じる。
そんな彼らに、もてはやされて喜ぶ聖女(嘲笑)って一体...
さすが、脳内お花畑と蔑まれる女。
思ったより面白くないのは、BGMがないせいだろうか?
リアルタイムで見ているから、それは無理な相談だ。
いずれは、この世界の魔王様たちの執務中のBGMと化すだろう。
よく考えなくても、それぐらいしか使い道がないしな。
ゆるすぎる『魔王様を倒す旅(笑)』が本格的になると少しは面白くなるのだろうか?
ほんの少しは期待したい。
『聖女(嘲笑)の魔王様を倒す旅(笑)』をみんなで巨大なスクリーンで鑑賞しながら、煎餅を齧っていると私の隣に座りこの世界の魔王様が声をかけてきた。
煎餅を齧っている音がうるさかったのだろうか?
ちなみに、煎餅は魔界の料理長クッキン作だ。
「ところで月香さん、これは面白くなるのか?」
「ゆるゆるですしね」
「こいつらは本当に、俺を倒す気があるのか?」
「ないんじゃないんですかね」
「だろうな。『旅』というぐらいだから何かしら盛り上がれる要素が欲しいところだな」
「何か案はあります?」
「そうだな...」
「『足止め』に考えている攻撃法がありますが、それを使います?」
「どういうものだ?」
「聖女(嘲笑)の『取り柄』を攻撃するんです」
「聖女(嘲笑)の取り柄とはなんだ?」
「顔と体です」
「は???」
「ですから、顔と体です」
「顔と体だけ...」
この世界の魔王様は何とも言えない顔をした。
人には取り柄が一つでも誇れるとこがあればいいが、外見しか価値がないとは何ともしがたい。
「で、『顔』と『体』のどちらを攻撃すればよいのだ?やはり、体か?」
「顔です」
「ん?どういうことだ?」
「体を攻撃しても服で隠せます。ですが、顔なら隠しようもありません。ご自慢の顔で道行く人を魅了できませんよ」
「顔を攻撃すれば、被害者たちも減るというわけか」
「そうです。ご自慢の顔を怪我を隠すために包帯で顔を隠すんですよ」
「人間界の人間たちのためになるのは癪に障るが、次の策を練るための時間稼ぎになるな。よし、聖女(嘲笑)の『顔攻撃』案を採用しよう」
「『顔攻撃』は、私がしてもいいですか?」
「そうだな、月香さんの姉たちは容赦がないと言っていたし、自分の手を下さないと怒られるみたいだしな。かまわんぞ」
「ありがとうございます」
姉たちの真の恐怖をみんなに語っていたのが功を奏したようです。
「よかったな」と声をかけられそれらに答えます。
「『顔攻撃』の間の足止めは必要か?」
「必要ないですが、あった方が恐怖が倍増ですね。お願いします」
「じゃあ、淫魔のサッキュンに頼もう。月香さんが聖女(嘲笑)を攻撃している間、取巻きたちにサッキュンが淫夢を魅せる。大切に扱わないといけない聖女(嘲笑)が攻撃されている間、淫らな夢を見ていたなんて口が裂けても言えないし、ショックが倍増だぞ」
「さすがは魔王様、グッド・アイディアですね!!」
私とサッキュンは、聖女(嘲笑)一行の前まで転移した。
彼らが何が言う前に、サッキュンは羽からきれいな粉を彼らに向かって振りかけ、淫夢を魅せました。
私はその隙に、聖女(嘲笑)の顔を顔の原型を無くすほどに踏み潰した。
取巻きの中には聖職者(仮)もいるし、この程度の怪我なら修復可能だろう。多分、きっと。
この後、聖女(嘲笑)は聖職者(仮)から治癒魔法をかけられ治療を受けた。
しかし、完全に治すには聖職者(仮)には力が足りなく、少しづつ修復していくようだ。
顔が修復される日が、思ったより早く来るのか。
少し、残念だ。