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4.魔王城に到着

次の瞬間には、お城らしきところに着いた。

場所は、何かの会議に使われると思わしき広い部屋だ。

なので、美青年の手を離した。

「自己紹介がまだだったな。俺は」

ここは、 テンプレ的お約束展開だと思った私は美青年の台詞を遮って、

「魔王様」

「なぜ分かった!?」

「娯楽が充実した異世界の住人の『感』です」

「娯楽が充実した故に分かるのか、それはすごいな。改めて、俺は魔王ラムゼイ・イグゼクト。この魔界を治めている。お前は?」

「天宮月香」

「月香か。ん?ああ。以前、お前と同じ世界で同じ国の人間を保護したことがあってな」

「なるほど」

「異世界の住人とはいえ、この世界では被害者だ。だから、人間界で逃げだそうとした異世界の被害者をこの魔界で保護している。残念なことに、元の世界に送還することはできないがな」

「元の世界に戻れる方法はありますよ、私限定ですが」

「は?」

「だから、私は元の世界に戻れます」

「なら、なぜすぐ戻らん?」

「私には、血の繋がっていない姉たちがいるんです」

「それが何の関係がある?元の世界の家族が心配しているだろ」

「それが大アリなんです。姉たちの中には常に『喧嘩を売られたら相手を叩き潰せ』が信条な人がいるんです」

「ずいぶん、過激な思考だな」

「なので、この世界に聖女(嘲笑)を絶望に叩き落としてから帰らないと、姉たちに怒られるんです」

「異世界に誘拐されたのに、原因となった聖女(嘲笑)に殺り返さないと帰ってきたらダメだとは恐ろしい奴だな」

なぜか、この世界の魔王様は私が聖女の後に嘲笑をつけたのと同じ意味で聖女と言った。

「魔王様は、聖女(嘲笑)が悪印象なんですね?」

「ああ、それはな...」

この世界の魔王様は、部屋に設置されてある巨大なスクリーンにとある映像を映し出しました。



聖女(嘲笑)召喚、直後のこと___

「ところで、聖女様。扉の外の者たちはこちらで保護することにします?もしそうなら、聖女様の扱いがあの者たちと同じ扱いになりますが」

「どういうこと?」

「あの者たちは、いわゆる部外者。私たちが保護すべき人物ではございません。この人間界の住人の目に触れないよう、地下で監禁する予定にございます」

「私と同じ扱いにしなくていいなら、私がこれから住む部屋はどうなるの?」

「もちろん、客人をもてなす豪華な部屋に特別によい食事の用意がございます」

「そうね、私と別の扱いでいいわ。だって、私はこの世界を救うために呼ばれたもの!私のためなら、あの二人だって納得してくれるわ!」

「わかりました。そのように」


聖女(嘲笑)の部屋で___

「ふふふふふっ♪ふふふふふっ♪ヤッター!あの二人は私に勝手についてきたけど、イケメンたちを侍らせてもいいって王様に言われたから、邪魔だったのよね。カッコイイ騎士や魔法使いたちが私を守ってくれるのよ。特に、あの女はこれから邪魔になるわ。追い出し大成功♪私って、大 天 才♪これも、私の美貌のおかげよね―――!やっぱり、人生はベリーイージーモードでなくっちゃ♪」



映像終了。

あまりにも予想通りすぎる支倉の言動に、私は俯いて肩を振るわせました。

気を抜くと大爆笑しそうだ。

というより、笑すぎでお腹が痛くなってきた。

声を出さずに笑っているので、声を出さないで笑うことの限界が来そうだ。

この世界の魔王様は心配して、私の肩に手を置きました。

「酷い目にあったな。ここでは、案心するがいい。安全だ」

私は我慢の限界が来て、バシバシと机を叩いて大爆笑しました。

「気でも狂ったのか?」

「笑すぎて、お腹が痛すぎです。聖女(嘲笑)は、性格がクズなのであの程度のことは予想済みです」

「そうか」

「元の世界では、周りの女の子や女性たちに嫌われていました」

「男だけに好かれるというやつか?」

「そうです。でも、レべルが高い男性たちからは嫌悪されていましたが」

「つまり、本物のには嫌われて、偽物からは好かれるか」

「『支倉(真正のクズ)さん』と、一部の人たちに言われていました」

「ところで気になったのだが、聖女(嘲笑)に自分からついてきたのか?」

「やだ、そんなわけないじゃないですか。聖女(嘲笑)が故意に無理やり巻込んだんですよ」

「何とも痛ましい」

この世界の魔王様は、顔に手を覆い泣いてしまった。

何かが心に刺さったように感じた。

泣き寝入りするような人なら痛ましいが、私の場合まったくそれがない。どうしてだろう?


聖女(嘲笑)に故意に無理やり巻込まれる。

召喚される直前の彼女の表情を見て分かったが、アレは絶対故意だ。

「あの女のハッピーエンドは潰す」と決意。

      ↓

この世界の人間界の住人が、聖女(嘲笑)に同意を取り、巻込まれ被害者を地下牢に監禁

      ↓

地下牢を壊し脱出しようとしたところ、聖女(嘲笑)の取巻きたちがモンスターのように現れ、倒す

      ↓

【現在】魔王城に居候中


こう考えると、はじめから悲壮感がないな。

姉たちの教育のせいだろうか?



魔界の娯楽をこの世界の魔王様に訊いたところ、退屈しないようにある程度の娯楽が充実している。

考えるに、私と同じくらいの時間軸から誘拐されて魔界で保護された子たちが広めた結果だろう。

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