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3.プリズンなブレイク

あれから、支倉にこの世界の知識を教え込むための講義があるときのみ地下牢から出られるようになった。

津川は私に何か訊きたそうだが総スルー。

異世界人は、私と津川はこちらの世界語を理解できないと思って色々なことをしゃべり放題だ。

どうやら、元の世界に戻れる魔方陣は存在しないらしい。

そして、そのことを支倉に教えていないようだ。

支倉が聖女の役目を果たしたあとには、支倉が侍らしているイケメンたちの子どもを孕ませるために使うらしい。

人権無視だな。

まあ、私には関係ないし、私限定で元の世界に戻れる掟破りな方法があるしな。

問題なし。

元の世界に戻れるにしても、支倉に理不尽な仕打ちのヤリ返しをしないと姉たちに怒られる。

この世界のことだから姉たちに分からないということはない。

姉たちは、『謎の第六感』でこのことを嗅ぎつけるはずだ。

私は、支倉を絶望に叩き落としてから元の世界に戻ることにする。


支倉に呼ばれたある日のお茶会。

支倉は、やはりというかイケメンを侍らして楽しそうにしている。

イケメンたちは、私と津川を思い切り睨んでいる。

「この穀潰しが」と吐き捨てている。

私と津川は好きでこの世界に来たのではないのですが。

あんたらが囲んでいるお花畑に無理やり巻込まれただけですが。

支倉はニヤついて、イケメンたちを宥めている。

こちらから見るには、『宥めているつもり』なだけ。

はっきり言って、宥めてすらいない。

私がこちらの言葉を理解できていないと思い込んで、適当にやっているだけなのが丸分かりだ。


こっちに来る時には、兵たちに囲まれて連行されているとはいえ、警備の様子を見ることができる。

脱獄はたやすい。

戦力を見るに、私より強い奴はいないだろう。

ふざけているのか馬鹿なのか、私が監禁されている地下牢には警備兵が一人もいない。

幸い、持ち歩いている物は検査されても必要なものは巧妙に隠していた。なので、カバンに入れている果物ナイフ一つで扉を壊せるだろう。

私ぐらいの剣術の達人になると、果物ナイフ一つで防弾扉や防弾ガラスを簡単に切れる。


泣く子も黙る丑三つ時、これ以上、奴らの茶番に付き合うことが嫌になった私は、扉を果物ナイフで壊した。

扉の強度、耐久性はどれをとってもふざけてるとしか思えない。

これなら、ただ壊すだけにすればよかった。

余計な手間だ。

地下牢がある廊下は光がともっている。

警備の者もいないのに、無駄なことをしている。

私が廊下を堂々と歩いていると、支倉の取巻きたちが現れた。

こんな時間に起きているなんて、都合よく現れるなんてモンスターか何かか?

騎士っぽい奴は、私に向かって剣を振るう。

私はすかさずその剣を果物ナイフで叩き折る。

騎士っぽい奴が驚いてる隙に、急所を蹴り戦闘不能にした。

他の奴も同様。

魔法使いっぽい奴もいるが、そいつは無駄に詠唱呪文を唱えている途中だ。

詠唱呪文を唱えている間は攻撃されないと思っているのだろうか?

詠唱破棄ぐらいしろよ。

私は近くに落ちていた木の棒を拾い、それを魔法使いっぽい奴の急所をめがけて投げた。

クリティカル・ヒット!

ヤツは悶絶し、気絶した。

弱いな。

これで、この世界の魔王を倒す旅の精鋭メンバーか。

何度も思うが、ふざけているとしか思えない。

本気で殺る気があるのか疑問である。

姉たちなら小一時間、正座をさせて説教をするだろう。



地下牢のある建物を出ると、何かが破れた音がした。

ソコから出てきたのは、美青年だ。

彼からは、人の気配がしない。

私に敵意を感じないので、彼から差し出されたその手を取り彼について行った。

【この世界の魔法について】

詠唱呪文の詠唱破棄はできる。

だが、支倉美紀の取巻きである魔法使いは詠唱破棄できない。

しないのではなく、できない。

彼は実力ではなく、家柄と顔だけで選ばれた。

他の取巻きも同様である。

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