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最終回.聖女(嘲笑)のための『バッド・エンド』

不快な表現があります。

聖女(嘲笑)一行が雪に埋もれて、もがいている最中に私たちは緊急会議をした。

聖女(嘲笑)の顔が、今はR15だがそのうちR18になるのではないかと!

R15でいられるうちに、『聖女(嘲笑)チャンネル』を終了させるべきだと!

確かに、人の顔だけでR18というのは想像もつかないが聖女(嘲笑)ならきっとできてしまうだろう。

その危惧は間違ってはいない。

もし、この世界にPTAがあれば即座にこの番組は中止になるだろう。それぐらい、危険極まりない顔なのだ。

もういっそ、「聖女(嘲笑)一行を強制的に魔界に呼んで〆るべきだと」サイ・ショウが言った。

なので、聖女(嘲笑)一行を魔界に呼ぶことにした。

呼んだのは、転魔テレッサだ。

魔王城内に転移してきた聖女(嘲笑)一行は、目を思いっきり瞑って雪の中でもがいている行動をしていた。

そんな聖女(嘲笑)一行の行動を無視して、この世界の魔王様が声をかけた。

「よく来たな、愚かな人間ども!」

「ここであったが千年目、今日こそあなたを聖女である私が倒すわ!ねぇ、みんな!」

聖女(嘲笑)は、取巻きたちよりも順能力が高いようだ。

『私がこの世界の主役よ!』とばかりに前に出てきた。

聖女(嘲笑)の自己顕示欲はすごい。

そんな聖女(嘲笑)の顔を見たとたん、拒否反応を示した私たちは一斉に聖女(嘲笑)の顔を蹴りつけた。

その間に、サイ・ショウは取巻きたちを容赦なく〆ていた。

途中で、「お前たちのせいで落とし穴を作れなくなったんじゃ―――」と言っていたのは気のせいだと思いたい。


聖女(嘲笑)が、壁に当たって下に落ちて悶絶している時に突如、何かが現れた。

元の世界の神様と魔王様と二人の姉たちだ。

彼らは、横一列に聖女(嘲笑)の上に乗っかった。

「もう、なんなのよ!異世界の魔王城の床って柔らかすぎじゃない?」

苛立たしげに床だと思い込んでさらに聖女(嘲笑)を踏みつけるアメリカ人の姉クラリッサ。

「異世界だから床が柔らかいのね」

ニコニコ笑って床だと思い込んでいる聖女(嘲笑)を踏むイギリス人の姉エリノア。

「コイツが俺たちの手駒を誘拐に巻込んだ張本人か!」

怒って、聖女(嘲笑)の顔を何度も踏みつける元の世界の魔王様。

「これが神の愛ですよ」

笑顔で聖女(嘲笑)の足の指をピンポイントで踏み続ける元の世界の神様。

キレた聖女(嘲笑)は、

「ふざけないでよ、私は聖女なのよ!こんなことをして許されると思ったら大間違いよ―――!」

誰を怒らせた分かるなら、こんな暴言を吐いたりできないですよね?

私は、知ーらない。

聖女(嘲笑)は、元の世界の神様と魔王様に殴られて壁に顔をめり込ませていた。

「とりあえず、神様、魔王様、どうしてこちらに?」

「そうですね。あなたのお姉さま二人が異世界の次元間のことを何も考えずに無理やり穴を開けて、こちらに来ようとしたので私たちが連れてきました」

「さすが、月香の姉だな」

「マジでか!?」

「えぇ」

「お前の姉ならできて当然だろ」

いや、できると思っていても実際されれば驚きなのだが。

「月香、あの馬鹿女にちゃんと殺り返したの?」

「もちろんです。彼女でしっかり遊びました」

「さすが、私の妹ね。もう、帰りましょ」

「はい」

「ちょっと待ってよ。私は役目を果たしたんだから、元の世界に返しなさいよ―――!」

取巻きたちはまだ気絶しているのに、復活が早いな聖女(嘲笑)様。

「何を言ってるんです?」

元の世界の神様はマジギレ。

私と姉二人と元の世界の魔王様は、大人しくします。

「人の手駒に迷惑をかけた挙句、拉致・監禁を推奨して、元の世界に返せですって?」

笑顔でキレる元の世界の神様の周りに冷気が溢れだしている。

ビビる、私と姉二人と元の世界の魔王様。

「それに、貴様はこの世界での役目をはたしていないでしょう。例え元の世界に戻っても、死後は天国や地獄では受け入れられない外道の分際でいい度胸ですね。いっそここで、ボロ雑巾のようになりなさい」

聖女(嘲笑)を笑顔で蹴り飛ばして、再び壁に埋める元の世界の神様。

元の慈愛溢れる表情に戻って、

「月香、大変でしたね。さあ、元の世界に帰りましょう」

私はコクコク頷いた。

「お世話になりました、魔王様。楽しかったです。それじゃあ」

「ああ、達者でな」

この世界の魔王様は顔を引き攣らせながら言った。

次の瞬間には、元の世界に戻った。



ー(この世界の魔王様視点)ー

被害者である異世界の少女は、爽やかな笑顔で聖女(嘲笑)と取巻き化した少年一人を置いて、帰って行った。

あの少女の世界の神を怒らせてはならないと、この場にいた俺たちは心に刻んだ。

ゴミと化した奴らをテレッサに、人間界に送還させた。



ー(人間界の神官長視点)ー

思った以上に、聖女様と護衛の者たちが早く帰って来ました。

魔界の魔王は、歴代の聖女様一行を死なせずになぜか返してくれます。

こちらにとって都合のいいことなので、深く考えないことにしましょう。

聖女様の護衛に選ばれる条件として、『貞操観念が低く性欲過多』で家柄が良い者が選ばれます。

彼らは、獣以上に性欲が強いのです。

それは、異世界から召喚される聖女様を孕ませるのに必要なこと。

聖女様を孕ませて、世界の安定を保つ。

それがこの世界の人間界の在り方。

異世界の、それも聖女に選ばれる条件は、いろんなところが『ゆるんでいる』。こちらに都合のいい人選がされるのです。

しかし今回は、聖女様以外も呼んでしまったのです。明らかなミス。

王様と魔法使い長は、何も分かっておられない様子でしたが、私は焦りました。

無関係の者まで巻込まれたのです。

しかも、聖女様の護衛に選ばれた者たちは巻込まれた少女を『自分たちの性欲処理道具』にしようと言いだしたのです。

これには私は戦慄しました。

聖女に選ばれない少女を過去そうしようとした聖女様の護衛の者たちがいたのです。ですが、その少女はこの人間界を大破壊しそのツケを払わせたのです。

その少女による大破壊で、人間界の復興までは数百年の月日を要しました。

王様や魔法使い長に、今回巻込まれ召喚された少女を聖女様の護衛の者たちの性欲処理道具にしないように進言いたしました。

ですが、彼らは「そんな大袈裟な。穀潰しになるのだから、それぐらい役に立てばいいだろう」と言って、取り合ってくれません。

私の胃が限界にきそうです。愛用の胃薬を飲まないと!

ああ、これで落ち着きました。

ですが、私のそんな心配も杞憂に終わりました。

ある朝、巻込まれ召喚された少女が監禁していた地下牢から忽然と消えてしまっていたのです。

人間界の危機は消え去っていたのです。

少女が消え去った時にいたという聖女様の護衛の者たちの取り調べを行ったのですが、要領を得ないものでした。

やはり、毎日娼館に通っていた者たちが聖女様のご機嫌取りをするために娼館に通う回数を減らしたのがいけなかったのでしょうか?

性欲がたまりすぎて、幻覚を見てしまったのでしょう。

私は、王様と魔法使い長に彼らが娼館に通う回数を元に戻すように進言いたしました。これは、あっさり通されました。

これで、聖女様の護衛の者たちの体調も戻るでしょう。

数日後には、彼らは顔をスッキリさせていました。


旅に出てから数ヵ月後、聖女様と護衛の者たちが戻って来ました。

津川様以外の護衛の様子がおかしいです。

「女、恐い」「お家に帰りたい」などと、おかしなことを言っているのです。

これからが、彼らが大好きな性欲を発散できるお仕事があるというのに。

彼らはその役目を放棄したいようですが、そうはいきません。

魔法使い長が、聖女様と彼らの『真名縛り』を発動し、強制的に役目を果たすよう仕向けました。

そして、津川様の巧みな話術により、聖女様と聖女様の護衛の者たちは役目をせざるを得なくなりました。

津川様のご要望ただ一つ。『その役目に自分も入れること』でした。

私は、津川様の目に仄暗い欲望があることを感じました。

津川様がその欲望を持ち続ける限り、役目は安泰でしょう。

これで、この世界の人間界は守られるのです____

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