第五行:唐突な出来事
豆知識。なんで“豆”にしたんでしょうか……。英語だと「知識の断片」とかそんな感じになるみたいですが。というか豆知識って単語が広辞苑にも大辞泉にも載っていないという事実。
病院か。
こうやって病院に来るなんていつ以来だろうか。思い出せないほど昔なのか、それ以前に思い出せる過去がないのか、とても新鮮な感じがする。もっとも、これを新鮮と思えなくなるのがいいことだとは一欠片も思わないが──
それにしてもなんでこうなるのかな?
「ねぇねぇ。包帯だらけ」
彼女が自分の体に巻かれた包帯を見せてきた。
「見ればわかるさ」
と答えたが果たしてその言葉に意味があるだろうか。見ればわかるのは当たり前だし。
「通り魔的犯行だってさ」
あ。久しぶりにスルーされた。
どうしてこんなことで感慨に浸ってるんだろ。自分に疑問を覚える。
「らしいな。運が悪い。むしろ運が良い。こんな体験またできるかわからんぞ」
それにしたってどうして旅行に来てまで、通り魔に襲われてるんだ、こいつは。
「リンゴ剥いて」
「今の話聞いてたか? ひとがせっかく──」
「やっぱり梨がいい」
何も聞く気がないのか、何も聞こえてないのか。どっちなのかなんてあまり分かりたくないな。
「……はいはい」
ポケットからツールナイフを出す。
「面倒だから皮そのままでいいよな?」
「ダメ」
そんなにすぐ否定しないでも。
「ところでな、犯人は結婚相談所からの帰りだったらしいぞ」
「イモータル!」
「はぁ?」
いきなり何を言うか。いや、むしろそれはいつもか。
あー、皮千切れた。せっかくここまで繋がってたのに。やっぱりこんな栓抜きまでついているツールナイフを使っていたからだろうか。
「私は不死身だから気にしなくていいんだよ」
「なんの話だ」
「私が刺されたことだよ」
「どうして俺がそれを気にするんだ?」
「気にしてないの」
「さぁ。どうだか」
「冷血漢」
「酷いな。一応助けたんだがな」
「でしゃばり」
「なんか違うだろ」
「悪魔」
今までで一番悪いな。だけどそんなんじゃめげないぜ。
…………一体何にめげるつもりだ。
「ほい。梨」
皮だけ剥いて、切り分けてない梨を丸々一つ渡した。
……いや、なんと言いますかね、これ以上どうにもなりません。筋の通った小説をここで書くつもりはあまりないので……。
そんなこんなで今回は「通り魔的犯行」「イモータル」「結婚相談所」でした。
次回は「バージンロード」「光化学スモッグ」「東インド会社」……です。
なんというか……誰かまともなお題をください……。