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旅する二人は  作者: cc4966
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第四行:ラブレター

網走での流氷の接岸初日(視界に氷が見えた最初の日)は一月ころ。

接岸初日(沿岸水路がなくなり船舶が航行できなくなった最初の日)は大体一月終わりから二月初めくらい。

流氷終日(視界に氷が見えた最後の日)は三月終わりから四月初めくらい。

という感じみたいですね。なんかコラムと化して来た前書きでした。

「息が真っ白」


 まぁ、それは、息も白くなるだろう。それはここでなくとも同じこと。

 だが俺は寒いのは嫌いだ。なぜこの寒い季節にわざわざ更に寒いところ──札幌から網走に来なければならないのかと愚考する。

 結論としては俺の意思など遠く及ばない思考の持ち主のせいだ。

 まぁ、それはいい。今更気にしたところでどうしようもない。


「はやくクリオネ見に行こう?」


 はやくも一段飛ばしに会話を進めるやつがいる。


「別にいいよ、見なくて。それよりはやく暖かいとこ行きたいな」

「駄目だよ。今回の目的はクリオネなんだから」


 ……聞いてない。


「で、どこだ?」


 文句を言っても無駄そうだ。ならばとっとと用を終えて帰ろう。

 これは締観ではなくきっと順応だ。

 そう──自分に言い聞かせる。


「水族館」


 ほほぉ。水族館とな。

 英語でアクアリウム。独語でアクヴァーリウム。

 残念ながら水族館に行く、というのではわざわざ流氷が見えるとこまで来なければならない理由は分からない。

 聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥──どっちを選んだとしても恥でもなんでもないはずなので聞いてみると、意外にも答えを得ることができた。


「流氷欲しかったから」


 あぁ。

 なるほど納得だ。

 流氷欲しかったのか。だったらこういうとこに来ないとな。

 うん。なるほどな。うん……。


「なんでだよ」


 俺には根本のところがわかっていない気がする。


「本場の氷でかき氷を食べたいから」


 本場なのか。全く知らなかった。

 ってか本当に本場か? 適当に答えてないか?


「ねぇねぇ」

「なんだ?」


 もう何が起きても動揺しないぞ。


「ラブレター拾った」

「………………」

「……?」

「なんでだよ!? 意味わかんねぇよ! 一体全体どうしたらそうなる!」


 …………ふぅ。


「以上心の叫びだ。では気を取り直して──」

「うるさいよ」


 うっわ。絶対零度な視線。

 声に感情がないのはいつものこと。


「御免」

「説明していい?」

「お願いします」


 俺の口調、なぜか敬語になってるよ?


「了解。まず、前を人が歩いてたの」

「なるほど」


 別に驚くことではない。

 結果としてそうなることはよくある。

 目的が人の後を歩くことになれば犯罪だが。


「そしてその人が手紙を落としたの」

「ははぁ」


 それがラブレターだったわけだな。


「で、私はそれを拾って」

「うんうん」


 渡してあげようと……まあ、何割かの人は思うだろう。


「親切にも届けてあげようと思って、手紙を見たけど差出人も受取人もわからなかったから、──」

「うん?」


 いやいや、今おかしな点が見受けられたぞ。聞き受ける、か? 違うな。そんな言葉ない。


「──開けてみたら、ラブレターだったの。驚きだね」

「わざとだよな? そうだよな?」


 分かってやってるなら俺は、……俺は?

 思えば別に、『お前を許さない』って言う理由もないな。


「何が?」

「だーかーらー、どうして落とした人にそのまま渡さないんだ!」

「あっ! その手が。じゃ今から渡してくる」

「待て待て待て」

「何?」

「開封したラブレター渡すのはまずいだろ」


 いろいろとその後の展開とか会話とか。


「そっか。じゃ捨てる」


 彼女はそう言ってなんの躊躇いもなく雪の上に放る。


「…………」


 ま、これでいいか。


「じゃあ水族館か?」

「うん」

すいません。ラブレターは主人公たちとはかかわりのないものでした。期待してた方はいないと思いますがいた場合は……。

ということで今回は「クリオネ」「かき氷」「ラブレター」でした。

次回は「通り魔的犯行」「イモータル」「結婚相談所」です。

ますます意味が分からなくなりそうです…………。

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