表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旅する二人は  作者: cc4966
3/7

第三行:ここはどこ?

(せち)は年に五回、1月7日、3月3日、5月5日、7月7日、9月9日、にあります。

詳しくはGoogleか何かで「節句」で調べるといいかも。

 暑いなぁ……。暑いよなぁ。

 俺の住む札幌は冬なのに、なんでこんな暑いんだろ。まだ三月の三日。暑すぎやしないか?

 これは八月後半の暑さに匹敵する。計算上そうなる。


「いやー、晴れた晴れた!」


 晴れたな。確かに晴れたさ。しかしそれの一体どこにそれほどまで喜ぶ要素が隠れ潜んでるんだよ。それに──なんでそんな平気な顔でいるんだよ! 絶対猛暑日だぞ。ほら例の新しく設定された猛暑日! こんなところにいたらそんな言葉に意味はないけどさぁ。

 ってよく考えりゃ、こいつはこれを予想して半袖&スカートだったわけだ。そりゃ涼しいわな。事前に知らせてくれればいいものを……? いや連絡されてたら逃げたかもしれないな。

 どっちにしても、こちとら長袖長ズボンだ。

 だから俺としてはむしろ曇ってくれた方が良かった。否,過去形ではなく現在形で、今からでいい──

 曇れ!

 あっついんだよ。俺は寒い方が好きなんだよ。以前こいつに拉致られて流氷見に行ったときは暑いほうが好きだといっていた気もするがあれは気の迷いだ。


「良かったな」


 皮肉っぽく言ったが多分向こうは気付いてない。鈍感なのか厚顔なのか──十中八九両方。

 つーかどうしてこんなとこにいるんだ、俺。いや、おおまかには分かってるんだ。あくまでぼんやりと。

 そう──理解はしてるんだよ。でも、理解と納得は違うんだなこれが。

 どうして俺を連れてくるの? ねぇ?


「入道雲」


 空を指差している女の子一名。いつもどおり脈絡なし。

 話には流れなんて存在しません。あるのは言葉だけです──みたいな。そんな考えでもあるんだろうか。


「本当だな。あれが空にまんべんなく広がってくれりゃいいのに」

「え?」


 うん?

 晴れを心底喜ぶ少女から『今なんて言ったの?』と、そんな感じの瞳で見つめられる。

 さて俺は今何をくちばしったのだったか。忘れよう。それがお互いにとって幸せだ。


「そういや、なんで風鈴があるんだ?」


 まだ三月だぞ。いくら暑くても今が三月だという事実は忘れてくれない脳みそさん。ありがとう、感謝を評します。あなたが我が最後の砦。


「夏じゃん。持参した」


 いや、夏ではあるんだが…………。

 何と言いますか、場所柄と目の前に広げられた料理に難があると言うか……。


「夏だな。でもさおせち料理あるぞ?」

「今日は節句──(せち)じゃん。やっぱり必須だよ」


 実は(せち)なんてものの存在は今日初めて知ったん日本人です、俺。

 年に五回もおせち料理を食べる日があったとはね。でも──それもやっぱり場所柄が悪いというか。


「そうだな。じゃあ、なんでオーストラリアまで来るんだよ?」


 俺はまったくどうして南半球なんかにいるんだか。おかげさまで季節感狂いまくり。

 それにオーストラリアのこんな無味乾燥なところでおせちと風鈴が…………。季節感どころか常識まで狂い始めている。

 風鈴のちりんちりんという音色が果てしなく虚しいよ。


「だから私の知り合いが──」


 それも聞いたよ。知り合いがオーストラリアにいて遊びに来たんだろ?

 はぁ。なんでこんなことに……。

 三週間ほど前に網走に連れて行かれたのはまだ──まだいい。あの時はただ列車に揺られているだけでおかしなことは一つしかなかったからな。

 だが今回は謎が多い。

 どうしてお前が俺のパスポートを作って持ってるんだよ。しかも飛行機のチケットとかもファーストクラス……。ナニモンだあんた──という疑問には未だ答えを貰っていない。

 もしかして一生答えなんか分からないのかもしれなかった。

なんか、時系列が滅茶苦茶になる気がしてきましたが、大勢に影響はありません。各話完結でいくつもりですので。

今回のお題は「風鈴」「入道雲」「おせち料理」でした。

次回のお題は「クリオネ」「かき氷」「ラブレター」です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ