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旅する二人は  作者: cc4966
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第一行:それは名も無き……

節分には大豆を蒔く家庭と、落花生を蒔く家庭があります。

「地殻変動でも起きればいいのに……」


 隣から聞こえてきた。


 今のは多分──気のせいだ。そんなことになれば、死んでしまう。『視覚変調で転ければいいのに』の聞き間違いだろうか? いや、それこそ意味が分からない。


「死にたい……」


 隣から聞こえてきた。


 ああ、これって無視していいよな? いいよね? 関わっちゃ駄目だよな?


「なぁ、殺して」


 右頬を机にぴったりと張り付けてこちらを向いている。……こちら──を向いている。


「なんでだよ!?」


 あぁ、なんで俺は反応したんだ!?

 思わず反応してしまった。本当に一生の不覚。仕方がない、仕様がない。話だけでもしてあげよう。


「昨日落花生食べた」

「あぁ。節分だったな」

「15個」

「お前って15歳だったか?」


 初耳だ。俺達は高校二年。飛び級制度はいつの間に施工されたんだ。


「16だよ」

「そういえば俺数えてなかったな」

「一個足りなかった」


 うん、素晴らしく綺麗だよ。スルーの切れ、とか色々。


「落花生か?」

「だからもう生きてる意味なんてないだ。この世の終わりがくればいい」

「落花生くらいなんだよ」


 世の中嫌になることなんて満月のように満ちている。例えば、次の時間テストがあったり、前の時間寝てたら注意されたり、そしてまさに今俺の言葉が半分近くなかったことにされてたり。

 あ、もしかすると俺の親がどこか行ってそのまま音信不通になり二年近く経つということもそこに並べてもいいかもしれない。


「赤ペン」


 手が伸びてきた。貸せということか。残念ながら筆箱には赤ペンが入ってなかったので赤鉛筆を渡した。

 すると彼女はそれを一心不乱に机につきたてる。


「私の心」


 いや。いやいや──かなりまずいだろ。

 真っ赤に塗られた机。酷い心象世界があったものだ。


「大丈夫だ。相談ならのってやるぞ?」


 そう言った。言っただけだが。


「そう」


 チャイムが鳴って授業が始まった。

 さあ、テストの時間だ。

 科目は地学。

オチがありません。導入ですらありません。しかも旅に出てません。というかこれをシリーズにするつもりなかったんです……。ごめんなさい。第三行くらいで旅に出ます。

さてそんなこのシリーズは三題で書いていこうと思ってます。

今回は「地殻変動」「落花生」「赤ペン」でした。

次回は「地球儀」「だるまさんがころんだ」「マーマレード」です。

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