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嫌いな人種  作者:
1/1

失態と考察について

私は事なかれ主義だ。

誰かを苛めるのも嫌うのも悪口を言うのもはっきり言って面倒くさい。

何でわざわざ嫌いな人間と関わらなければいけないのだ。

嫌いなら関わらなければいい。

そう思うから、できる限り人間関係に波立たせない程度に、他人の悪口を言うのは避けてきた。

グループ内の誰かが、誰々って気にくわないよね~とか、ムカつく~とか言ってるのを笑って仕方ないよ、で適当に流してきた。まあ、もしかしたらそんな自分も影で言われていたのかもしれないが気にしなかった。

グループ内で少しあぶれそうになっている子には、話しかけたり話題の合いそうな子をさり気なくあてがったりする。

とにかく自分の前では苛めをさせないようにしていたが、それでもグループが大所帯になるとイジメは出てきて仕舞うのだ。

そういうときは中心になってる子がいないところで話をした。空気に気付かないフリをして、適度な距離を保つ。

全く話さなかったり、無視をしたりするのはめんど……嫌だったから休み時間に誘われれば一緒にいくし、誘われなければ、気付かないフリをする。

薄情だと言われればそれまでだが、自分の保身をしつつだから仕方ないと思う。変に気にかけすぎると懐かれる恐れがあった。

ベトベトした関係はあまり好きではないので、可哀想ではあったがクラス替えまでその立ち位置でいてもらった。

特に女子は男子が絡むと面倒になる。だから徹底的に男子は避けていたが、中学生のときはそれで失敗した経験があるので、高校は女子校を選択した。

結果として、それは私の男性不信を更に助長したようだが、大学生活で多少軌道は修正されただろう。


流石に社会人になった今は必要最低限ではあるが、話し掛けられればきちんと受け答えをするし、誘われれば飲みにも行く。

入社2年目にして、可もなく不可もない、微妙な立ち位置を獲得した。

男には意識されない、女性にはライバル視されない立ち位置を手に入れて、面倒な人間関係に巻き込まれること無く、充実した毎日を過ごしていた。

……筈だ。筈なのだが。


ど・う・し・て・こ・う・なっ・た……っ!!


目の前にはにっこりと笑う男の顔がある。顔の脇に手をつかれ、壁とサンドイッチされている状況により動けない。

なんとか逃げようと画策していると、引いていた顎を上向かされ、男の顔がかなり至近距離にあり、うわっと思った瞬間。

唇に柔らかいものがあたる感触。

一度離れた男の顔が再び近づき更に深く息が重なる。

口付けられたのだと気づいたのは、男の体が離れ、ぐったりとした身体を男に支えられたときだった。

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