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足元の氷
少女は白い息を吐いた。村のはずれにある大きな湖のほとりでそれが起きるのを待っていた。
空は鈍色で、狼の遠吠えのような風が吹く。
冬はとても寂しい。春が来れば花が咲き、温かな風が吹きそして木の芽が芽吹き、そしておいしい山菜も取れるのだ。湖の畔は特に三歳の恵みは豊かだった。
それから夏、湖で釣りをして魚を手に入れる。
熱い風の吹くとき湖に足を突っ込めば水深の深い湖はとても冷たい。その冷たさを楽しむために夏は暑いのかもしれないと思う。
そして秋は周囲の木の葉は赤や黄色に色づき、そして木の実が美味しくなるのだ。
春も夏も秋もこの湖のほとりには楽しいことがたくさんある。
だけど今、冬の湖は厚く氷が張ってその上に雪がこんもりと降り積もっていた。
ただ、白一色の寒々しい景色。だけど、冬の間、一度だけそれは起きるのだ。
少女はそれが起きるのを見たことはない。見てみたいものだと思っていた。
氷が砕けていく。
湖が真っ二つに裂けた。
氷のかけらと氷から解放された水が、厚い雲の隙間から漏れた陽光のもとキラキラと光る。
湖の神様がそれをしているのだと少女の祖母が言っていた。こんな大きな氷を割るなら本当に神様かもしれない。




