第8話 現実
その後、一旦第1班は次の出動まで解散することとなり、蒼矢は本部に残って第3班に所属された湊を探した。
「あいつ無事かな...どうだろう」
そう思い、施設を駆け巡っていると、遠くからガラガラガラと音が聞こえてきた。そして蒼矢の目の前を通りすぎた。見た目的に特犯警察所属の医者チームであり、ストレッチャーで誰かを運んでいた。
湊だった。
早く通り過ぎてよく見れなかったが、確かに湊だった。
蒼矢が唖然としてると、後ろからゆっくり誰かがそのストレッチャーを追っていた。第3班隊長の金子天満と、同期の長田輝だった。
「ん?お前は確か第1班の...」
金子天満が足を止めて蒼矢に話しかけた。
「加賀野蒼矢です。」
すると顔色一つ変えずに、
「確か、湊と仲が良かったと聞いたが、残念ながらあいつは重症で意識不明。足を1本失った。」
その瞬間、蒼矢の心がゾクッとした。家族を殺された時と同じような感触。
「幸い命は持つ。安心しろ。だがもう第1部隊ではやって行けない。」
若干ほっとするも手放しに喜べない。天満の後ろにいる長田輝も俯きボロボロである。
「輝とお前は運がいい方、いや、湊も運がいい。死なないだけマシだ。これからも精々死なないようにな。」
と言って、去っていった。長田輝もそのあとを追った。
今回短めです。