第3話 入隊試験
訓練場に5人で行っていたはずだが、いつの間にかほかの訓練生、また別部隊所属の警察など、ギャラリーがいた。
最前線で戦う第一部隊をやはり見たいのだろう。
「この勝負は一本勝負ね(時間ないから!)。んー、勝敗の基準は分かりやすく先に相手の首元に剣を当てた方が勝ちだ。」
そうやって、澄玲が場を仕切った。彼女が喋ると不思議なことに周りが静かになり声が透き通る。気づいたらみんなの目線は澄玲の方に向いていた。その時蒼矢は少し澄玲がなぜこの若さで第一部隊隊長を務められているのか何となくわかるような気がした。
(パッと見破天荒というかまともじゃなさそうだもんな。第一部隊の人達。噂でも聞いたが、この雪瀬さんより身勝手がすぎる人がいるらしいしな。)
「用意はいいな?加賀野蒼矢。」
聖都がそう声をかけた。蒼矢は気を引き締め、剣(もちろん偽物)を握りしめた。
「はい!」
「よし、では。始め!」
澄玲の号令で始まった途端、聖都はものすごい速さで蒼矢に詰め寄り一撃を放った。蒼矢はギリギリのところで受け、カウンターで胴を狙ったが、体制を大きく崩され、受けるので精一杯となった。
(どうしてだ?どこから攻撃仕掛けてくるのか予測できない。見失ってしまう……)
その頃近くで見ていた雪瀬や澄玲は、
「おお〜、あれ受けるかあ。やるねえ。」
「新人にしては例年より期待していいレベルはありそうだな。」
「隊長も当時これぐらい実力あったよね?同じぐらいっぽい。」
「そうか?雪瀬は訓練生の時どうだったのよ?」
「え?僕の代、9期生は訓練生なかったよ。訓練制が始まったのはその1個後。」
「えっそうなんだ。」
「その代わりむちゃくちゃ同期死んだよ。僕はこの訓練制度はいいと思ってるよ。適材適所に人材を配置し、より強い人間の育成には必要なことだ。配属されてからの僕たちによる教育も楽になるしね!」
「そうね。」
と、言ってた通り、蒼矢の分析をし始めたと同時に思い出話もし始めた。湊は終始、横で聞くだけで、会話には入らなかった、いや、入れなかった。恐らく、邪魔になるだろうと思ったからだろう。
そうしている間に聖都が蒼也を追い詰めていた。
「でも、どんなに逸材でも、経験には勝てなそうだね。」
雪瀬がそう言った瞬間、聖都の剣が蒼矢の首元に当たった。
「この勝負、空星聖都の勝利!」
訓練場の周りから「おお〜」という声が聞こえる。そしてぞろぞろ周りが解散して行った。試合を終えた蒼矢と聖都が3人の方へ戻ってきた。勝った聖都は息一つ切らしてないように見えるが、負けた蒼矢はかなりぜーぜーと呼吸している。
「おつかれ蒼矢。負けてしまったけど、見てて凄いと思ったぜ。」
「……どこがだよ。普通に負けた。圧倒的に。」
蒼矢が息を切らしながら言うと、雪瀬が近づいてきた。
「いや、君は僕の思った以上に面白い子になりそうだよ。多分このまま行けば君は第一部隊には所属できる。ただし、今のままじゃ初陣で生きるか死ぬかは半々だ。なんでか分かる?ヒント教えよっか?」
「……なんですか?」
「君?なんかやってたでしょ?見たところ剣道かな?攻撃の形が素直すぎる。馬鹿正直に面小手胴を綺麗に狙ったって、相手は変則的に襲ってくるバケモンだぞ。そんな型にハマった動きをしてたら思いもよらぬ所から打たれて死ぬ。そうな後輩いくらでも見てきた。その癖?いや、意識か。をこの一ヶ月でどう変えれるかが、運命の分かれ道だと思うよ。」
蒼矢は試合中の違和感が解消される感じがした。どうして自分の攻撃が当たらなかったのか、なぜ相手の攻撃を最後まで予測できなかったのか。聖都は今まで戦ってきた相手に対応した戦いをしてきた。つまり、これから敵となる奴らの戦い方に1番近い存在を蒼矢は一足先に体験できたのだ。
「はい、今日は貴重な体験と意見をいただきありがとうごさいます。俺は絶対に第一部隊に入ります。そして、絶対に死にません。」
すると雪瀬はフッと笑って言った。
「新たに進化した君を待っている。こちらこそ今日な時間をありがとう。」
そう言って3人は去っていった。
「なんか、やっぱすげえなあの人たち。」
「そうだな。思ったより自分たちが今戦おうとしている相手は想像以上に性格も、本質も、戦い方も本物の化け物なのかもしれない。」
「でも、負けてたまるかよ!俺だって負けないからな!お前にも!」
「頑張るんだな。俺は絶対に落ちないから。」
そう言い合い、2人はまた訓練に励んだ。
とうとう運命の入隊試験の日が来た。集まっているのは20人いるかいないかの若者だらけで、ひとつ彼らにに共通するものがあるとすれば普通の人よりみんな明らかに目の色が違った。まるで復讐に取りつかれた妖怪みたいだ。
全員姿勢よく待っていると、少しお偉い人が前にでてきた。
「まず、諸君。新たに入隊を希望してくれてありがとう。私はこの特殊な警察組織を束ねる内閣の防衛大臣・守末政勝だ。これから未来のある君たちを適正のある部隊に配置するための適性試験を行う。各々希望するところに所蔵できるように励みたまえ。試験開始だ。」
すると試験官らしき人が現れ、蒼矢達は身体系、知力系の審査を受けた。
これらを参考に一〜三番隊に振り分けられる。
第一部隊→身体、知力の総合点トップ3が選ばれる。合法的に犯罪者を始末することが許されている唯一の部隊。だから、死亡者は多い。ただ、殉職率も高く、1年目で殉職してしまう人がほとんど。(誰も選ばれない年もある)
第二部隊→警察の延長線の部隊。許可制ではあるが、武器の帯刀と使用ができる。試験に通れば基本的にここに配属される。しかし、実績が認められると、第一部隊への編入が可能。
第三部隊→情報専門部隊。内閣とメディアと繋がりを持ち、スパイ的な活動することもある。知力審査の高得点者が配属されやすい。
そして、一通り試験を終えた蒼矢たちは、休憩室で合否を待っていた。
「蒼矢。手応えあったか?」
「まあ、たぶん、確証は無いけど。湊は?」
「んー、ギリかなあ」
そんな雑談をしていると、訓練生のスマホが一斉に鳴った。
「結果が出た!」
周りがざわついた。
「っしゃ!トップスリーギリギリ!あぶねー」
湊は安堵したように言った。
「蒼矢はどうだった?」
「ま、受かったよ。」
そう湊に自分のスマホに映し出された画面を見せた。
「まじか、首席かよ……」
「第一でも、よろしく」
「ああ、よろしく!」
そう2人は気が少し緩まったのか微笑んだ。
文章作るの苦手です。また見直して書き直すかもしれない。
登場人物紹介
空星聖都。特犯警察第一部隊第1班所属、11期生。
年齢23歳。誕生日5月23日。血液型B型。身長186cm。体重78kg。家族構成:父、母、妹(全員故)
性格
冷静沈着でクール。周りが破天荒なため基本ツッコミ。第一部隊の常識人。キレ症。
特技
アクション全般。元アクション俳優の腕前。現役時代は破天荒なドッキリも食らっていたため耐性はある(番組の企画の時は持ち前の演技力ですごいリアクションしていた。)
逆社会組織について
死ね。