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勇者さまは女の子  作者: 三ツ陰 夕夜
8.番外編 それからの私たち

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番外編(6)本っ当に信じられない

「好き、だよ。ミアの事が」

 予想はしてたはずなのに、ディーナンの口からその言葉が聞こえると、息が、詰まりそうになった。

 耳元で聞こえるうるさい音は、どうやら私の心音みたいだ。

 恥ずかしいのに嬉しくて、苦しいのにもどかしい。

 本当に、変な気分だ。

「それは、どういう意味で?」

「触れたいしハグしたいしキスもしたい。生殖行為もしたい」

 馬鹿だ。ディーナンは大馬鹿だ。

 せっかく人がちょっといい雰囲気を作ってやろうとしてたのに、台無しじゃないか。

「結婚したいっていう意味での好きってこと?」

「ミアが俺だけのものになるならしたい。子どもも産ませたい」

 いや、違う。この感じは真面目に言ってるのか。

 魔族と人間の感覚の違いってやつなのかもしれない。

「いつから・・・?」

「言っても怒らない?」

「怒るかもしれないけど言って」

「・・・5年前」

「5年、前・・・???」

 予想外の言葉に慌てて記憶を引っ張り出した。5年前といったら、私が魔力を闇から風に変換できるようになった歳だ。

 でも、あの時はまだ屋敷と裏の森にしか行ったことなくて、家族と使用人と限られた人間にしか会ってなくて、魔族となんて面識がなかったはずで。

「5年前に会ったことあったっけ?」

「ない、けど・・・俺は10年前からミアの事知ってる」

 10年前なら5歳だ。3歳で魔力に目覚めて8歳までは屋敷に閉じこもってたから、会ったことなんてあるわけないし、しかもこいつも「ない」って言ってるし。

「分かるように説明して」

 噛み合わないやり取りに、息苦しさはいつの間にか消えていた。

 ドキドキだけが、こっそりと胸の中に残っている。

「魔王様の命令で10年前から勇者の娘を視てた。それで、視てるうちに好きになった」

「でも、屋敷にはお父様がいるのにどうやって?」

「ミアだって魔力を消してこっそり森に行ってただろ」

「それは、そうだけど・・・」

 魔力と気配を消して足音も殺せば、勇者であるお父様にも見つからない自信があった。

 魔獣ですら騙せた技術だ。でも魔力を消すのは凄く難しいからディーナンにもできるのはちょっとムカつく。

 ん?ディーナンにも?

「何で私が魔力を消せるの知ってるの?」

 もし本当にこいつが魔力を消せて、だからお父様に気づかれずにずっと私の事を視てたとしよう。だとしても、魔力を消した状態の私を見つける事は出来ないはずなんだ。

 私の事を直接その場で見てない限りは。

「なんでだろうね」

「誤魔化すの禁止。ちゃんと答えて」

「言っても怒・・・」

「怒るけど言って!」

「ずっと傍で見てた」

 失礼過ぎる事実に、ドキドキなんて忘れてしまうほど、羞恥心と、続いて怒りの気持ちが沸き上がる。

 こいつの「ずっと」は本当にずっとだ。トイレとかお風呂とかの時もってことだ。

 信じられない・・・!プライバシーの侵害にもほどがある!!

 しかも、しかもだ。怒らないか確認するってことは、駄目な事だって分かっててやってたんだこいつは!

 本っ当に信じられない!警備に突き出して牢屋に入れてもらった方がいいんじゃないだろうか?!

「出てって。しばらくこの建物に入るの禁止」

「しばらくっていつまで?」

「私がいいって言うまで!早く出てって!!」

 怒ってみせるとディーナンはしょぼくれた顔で部屋から出て行った。

 何だあの顔は。私が悪いみたいじゃないか・・・!

 絶対の絶対にディーナンが悪いのに、あんな泣きそうな顔するなんて、そんなの意味が分かんないよ!!


------

 リーアン一行解散後、俺とラーニカは冒険者として勇者ローレンの雑務を引き受ける事になった。

 建前上は、だ。

 実際はリーアン、いやリーミアの『祝福』が切れてない事からもあいつのパーティは組まれたままのようで、ローレン経由で受ける仕事も大元はリーミアからのもの。

 んで、仕事の結果報告もリーミア宛てだ。魔族の通信魔法とやらを備えた魔具を使って、闇の魔力が漂うダンジョン内で行う。

 仕事もダンジョン調査が多いから都合がいいってわけだ。

「元からあったダンジョンは変わりはなさそうだが、新しくできたって言うこのダンジョンは魔力が安定してないらしい。成長するか衰退するかはしばらくしねぇと分からねぇんだとよ」

「分かった。じゃあ隣町まで回ってもらって、帰りがけにもう一度調査してもらっていい?」

「了解。んじゃ、10日後にまた連絡するわ」

「あ、待ってコーダン」

「ん?」

 通信を切ろうとしたところで、通話相手のリーミアに止められた。

 音声だけでも何やら言いにくそうにしている様子が分かる。

「今周りに誰かいる?」

「ラーニカは宿屋に戻って寝てる。他の冒険者は・・・いねぇな」

 洞窟系のダンジョンで、魔力もそれほど満ちていない。かつめぼしい魔獣はラーニカが焼き尽くしたおかげで、ダンジョン内はもぬけの殻状態だ。

 水が流れる音のお陰で声が遠くまで響く心配もない。ま、だからこそこうやってこいつに結果報告してるんだがな。

「あの、聞きたいことがあって・・・」

「聞きたいこと?」

「魔族に、ついてなんだけど」

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