箸休め編(2)ディーナンの「魔族の2つ名」講座
「勇者さまお疲れ様」
「あ、ディーナン、お前勝手に私の部下に2つ名付けただろ」
「細髪と単眼の事?」
「そう!なんで勝手に付けるんだよ」
「だって、俺の配下だし、魔族なのに2つ名ないとあいつらが困るから」
「困る?名前あるのに?」
「魔族は主以外に名前呼ばれたくないものなの」
「なんで?」
「俺らからすると、他人に簡単に名前教えちゃう人間の方が意味不明」
「あー、そっか。そういうものなのか」
「そういうものなんだよ」
「じゃあなんで細髪?」
「髪がサラサラだから」
「ふざけてないでちゃんと教えて」
「あいつ髪に魔力流して相手を絞め殺すんだよ」
「え、うそ・・・」
「勇者さまの前では猫被ってるけどそこそこ強いよ?見た目に騙されるなんて魔族の思うつぼだからね?」
「じゃ、じゃあ単眼は?安直過ぎない?」
「そっちは残った片目がよく視えるようになるようにって意味」
「でもそんな名前にしたら、片目が無くなったことが辛くなるんじゃない?」
「・・・そう言えば、勇者さまは2つ名をなぜ付けるか知らないのか」
「呼ぶ為以外の理由があるの?」
「人間って、神頼みの為に教会で名前付けて貰うんでしょ?」
「うん」
「それと似てて、魔族は2つ名の通りに変化するんだよ」
「変化?」
「そう、細髪なら髪がより細く強くなるし、単眼は残った目に魔力が通いやすくなるからよく視えるようになる」
「ディーナンは、『黒の君』だっけ?」
「黒目だからね。でも2つ名のおかげでより良く視えるようになったし、視えるから魔力操作も上達したよ」
「ふーん。あ、じゃあ『魔王』は?」
「あれは別格。名乗るだけじゃなくて周りから認知されて始めて効果が出るけど、代わりにすっごい強くなる」
「魔力が?」
「魔力って言うより、存在自体が、かな。まあ、魔力で生きてる俺たちにとってはほとんど同じ意味だけどね」
「私も2つ名つけたら強くなるのかなぁ」
「もう付いてるんじゃない?」
「・・・もしかして『リーアン』?」
「どうだろうね」
「でもあれは2つ名って言うより偽名でしょ?2つ名なんだったら・・・『勇者の娘』とかじゃない?」
「それは似合わないからイヤ」
「なんでディーナンが決めようとしてるんだよ」
「だって、その2つ名を1番呼ぶのって俺でしょ?」
「他に有能な部下が出来たら違うんじゃない?」
「蹴落とす」
「そういうの禁止。これ命令だから」
「・・・こういう時だけ命令するのずるい」
「はいはい、ほら晩ご飯だから食堂に行くよ」




