(46)私の冒険譚
「ミア!」
叫びながら走ってきたのは、勇者様姿のお父様だった。
「心配したんだよ!本当に心配したんだから!!」
「お父様苦しい・・・」
手加減なしのハグにちょっと息が詰まる。でもすぐに力を緩めてくれないのは、心配させ過ぎてしまったからだし仕方ないか。
「ローレン、娘をぺしゃんこにする気?」
「あぁ!ごめん!ミア、怪我はないかい?痛いところは?」
遅れてやってきたお母様のお陰でぺしゃんこになる事はなかったけど、小さい子どもが転んだ時のようにお父様に全身をまじまじと見られてしまう。
見られて、そこでやっと気づいたらしい。
「ミア、君いつの間に男の子になったんだい・・・?」
「えと、話せば長くなるんだけど」
お父様の困惑の顔から逃げるように視線をさ迷わせる。お父様とお母様が引き連れてきた討伐部隊は精鋭ぞろいのようだけど、さすがに状況を判断しかねているようだった。
「場所を変えてもいい?」
お父様も私と同じように辺りを見回した。
火災跡のような現場に、シアラに薬をもらっているラーニカとコーダン。戦闘が終わるや否や探検を始めたフィンを見張っているのはディーナンで、瓦礫の山の脇には魔族が9人並んで地面に正座している。
「これ全部ミアがやったの?」
「うん。私と、私の仲間たちで」
「あの魔族は?」
「私が倒した。人間への加害を禁じたからもう危険性はないよ」
お父様は、何かを考えながら「そうか」と呟いた。
目を閉じて、開いた時には勇者ローレンの顔をしていた。
「魔力至上主義の制圧はすでに済んだようだ!場所を移し、聴取を行う!簡単なもので良いから陣営を張ってくれ!」
勇者ローレンの号令で、討伐部隊が一斉に動き始める。
その姿を見て、凄いなぁとは思っても、もう羨ましいとは思わなかった。
「君の冒険譚を聞かせてくれるかい?」
勇者の顔で微笑むローレン。だから、私もリーアンとして頷いた。
「いいよ。でもまずは、僕のパーティメンバーの自慢からね」




