(45)私の仲間と共に
私のパーティの仲間が、みんな私を見ている。
普通の人間なら逃げ出してもおかしくない状況なのに、みんなお祭りにでも行くようなワクワクした表情で、私を見ている。
あれ?私も、笑ってる?
そうか。そうだ。楽しいんだ。
みんなと一緒にいれることが。これからみんなで力を合わせて戦いに行けることが。
「僕とコーダンで突っ込む。遠距離攻撃は僕がしのぐから、力の強そうなやつはコーダンお願い」
「分かった」
戦士のコーダンは、力が強く物理攻撃にも強いが、弓矢や魔法に弱い。
「フィンは、捕捉されない程度に走り回ってトラップ魔法があったら解除して。あと、何か気づいたことがあれば報告お願い」
「オッケー!」
斥候のフィンは、素早く目鼻が効くが、正面切っての戦闘は不向きだ。
「ラーニカは、僕が合図したらなるべく強い炎魔法をお願い」
「でも室内じゃ・・・」
「炎は僕が風で誘導する。できるだけ合わせてくれればそれだけでいいよ」
「分かったわ」
炎の魔法使いのラーニカは、火力が物凄いのにその分魔法操作は下手だし。
「シアラは、ラーニカの魔力が減ってきたら回復薬をあげて。あと、状態異常の薬持ってたりする?」
薬師のシアラは直接戦闘はできない。
「うん、呪い以外の状態異常の薬は持ち歩いてるよ」
「じゃあ、誰かが状態異常になったら、薬を・・・フィンに運ばせて」
「フィンお願いね」
「俺とシアラの共同作業ってことだな!燃えるぜ!」
でも、みんなの弱点を、私なら補える。
勇者ローレン一行とは違う、凸凹だらけのパーティだし、何より私が使うのは闇魔法だ。
「俺は?」
あ、そっか。ディーナンも私と同じか。
「ディーナンも混ざりたいの?」
「仲間外れはひどくない?」
遊びに混ぜてもらえない子どもみたいに唇を尖らせて、いったい何歳の子どもだよ。
「ラーニカとシアラの護衛を。あとは状況に応じて僕の手伝いをして」
「任せて、勇者さま」
作戦会議が終わった。
みんな、準備万端で私の合図を待っている。
私の仲間だ。大好きで大切な、最初で最後のパーティメンバーだ。
「じゃあ、行こうか」
コーダンの剣を受けている魔族に近づき、服従魔法をかけながら、飛んでくる魔法へは反転魔法をかける。
フィンがトラップ魔法を見つけ次第解除してくれるので、足場は全く気にしなくていいのが楽だ。
外にいた5人の魔族を全て服従し終えると、次は建物内。
視界が悪いとこちらに不利なので、ラーニカの炎で建物ごと焼き尽くすことにした。
私の合図で全てを焼き尽くすラーニカの炎が放たれる。それに合わせて風の渦を生み出した。
巻き上げられた炎が火柱となって的確に対象のみを焼いて行く。ラーニカは合わせようと頑張ってくれているけど、やはりこの量の炎は誘導が難しい。あ、ディーナンちゃんと手伝ってくれた。
ちゃんと視てくれてるんだ。私の事ばっかりだけど。
建物が全て灰になる前に、炎が萎んでいくのが分かった。だから火柱はディーナンに任せてコーダンと一緒に飛び込んだ。
熱を防ぐのに手いっぱいだった2人の魔族に忍び寄って服従魔法をかける。
そこで、炎が消えた。
コーダンは体のでかい魔族と交戦中で、建物の一番奥だったところに、いた。鉤羽だ。
トラップ魔法も全て焼けたみたいだから、フィンはシアラの元に戻ってる。魔力が尽きたラーニカは2人に任せてよさそうだ。
ディーナンが、私の隣に来た。
「コーダンを補助してあげて」
「あっちは手伝わなくても余裕でしょ。それより鉤羽は速いよ」
「僕とどっちが?」
「俺がいれば勇者さまの方が速い」
「ならちゃんといてね」
「任せて」
体の中の闇の魔力を纏って地面を蹴る。
ディーナンの魔力が、寄り添うように私を支えてくれるのを感じた。




