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勇者さまは女の子  作者: 三ツ陰 夕夜
5.冒険者のようなひと時

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(30)初めての公衆浴場

 お父様は光魔法が使えるから、属性魔法を無効化できる。なのでお父様のパーティには斥候がいなかった。

 お父様の冒険譚に登場しないこともあって、私も無意識に、斥候は必要ないと思ってたみたいだ。

 でも、斥候であるフィンの働きは、凄かった。

 斥候ってトラップを見つけるだけじゃないんだね。目と耳と鼻を使って周囲の状況を逐一正確に把握して、魔獣が出やすそうな所や薬草が生えているであろう所、歩きやすそうな所や近道まで教えてくれて、ダンジョン攻略するなら勇者よりも有能じゃない?って思うくらいだった。

 おかげで2時間かかる予定の3つ目の樹を1時間とちょっとで突破し、夕方よりもだいぶ早くサキット街を出ることが出来た。

 そして、そこから2時間ほど歩いた先に待ち受けていたのは。

「海だー!」

「すげー!本物だー!」

 初めて見る海。思わずフィンと一緒に大声を上げてしまった。

 右の端から左の端まで、キラキラと輝く水面はゆっくりと波打っている。

 向こう側に対岸が見えてはいるが、問題ない。だって海だ。

 貿易都市ソアラでは遠目に帆船を見ただけでよく見えなかった。けど、今は不思議な香りの水面がすぐ近くに見えるのだ。

「リーアン、もっと近づこうぜ!」

「うん!」

 フィンと一緒にかけ出す。波打ち際の砂は、多分砂浜ってやつだ!

 海は塩辛いから砂浜にはほとんど植物が生えてないって本に書いてあったけど、本当だ!

 砂浜の砂も、粒が大きくて見たことない色をしている!

「しょっぺぇ!」

「フィン!何でも口に入れないで!」

 海水を舐めたフィンがシアラに叱られていて、思わず笑ってしまった。

 相当塩辛かったのか変顔みたいに顔をしかめるから更に面白くなってくる。

 ・・・私は舐めなくて良かった。

「港町はあっちよ」

「ほら、遊ぶのは帰りがけにしとけ」

 年長のラーニカとコーダンに促されて、渋々戻ってくるフィン。

 「靴濡れてるじゃない!」とシアラに怒られていたので、私はこっそりと自分の靴だけ風魔法で乾かしたのだった。



「渡し船は明日の昼前に出るよ、乗るかい?」

「あぁ、頼む」

「冒険者証は?」

「これだ」

「確かに、ちゃんとBランクみたいだね。料金は前払いだよ」

 コーダンのおかげで、渡し船にも乗れそうだ。

 半分以上が冒険者じゃなくても、冒険者証が1つあれば冒険者パーティとして認められるって、悪い事にも使えそうだなーなんて思いながら船屋を出た。

「船ってどれくらいで向こう岸に着くの?」

「ここのは魔力船だから1時間もかからねぇだろうな」

「え、凄い早いじゃん」

 コーダンと2人でお喋りしながら宿屋に着く。受付でラーニカの名前を出すと、彼女が借りてくれた部屋を教えてくれた。

 2階の角部屋から続きで2部屋分、海がよく見える部屋らしい。

 さすがラーニカ。彼女の気遣いに感謝しつつ階段を上がりきると、何故か部屋から飛び出てきたフィンと目が合った。

「リーアン!聞いてくれよ!ここ、温泉あんだって!」

「温泉?」

「湯が自然に湧き出てるんだよ!入りに行こうぜ!」

「あ、ちょっと待っ」

 テンションの高いフィンに手を引かれてしまう。助けを求めてコーダンを見たけど、残念なことに彼も嬉しそうな顔をしていた。

「ら、ラーニカ達は?」

 階段を下りながらせめてもの抵抗を試みてみた。

 が、あんまり意味はなかった。

「何言ってんだよ、男と女は別々に決まってんだろ」

「そうなの?」

「もしかして公衆浴場初めてか?」

「・・・うん」

「裸の付き合いはいいぞ!背中流してやるよ!」

「え、裸なの??」

「服着て風呂には入らないだろ」

 引っ張られながら話している間に、湯気が立ち上る建物に足を踏み入れてしまった。

 しかも入ってすぐの二手に分かれた通路のうち、明らかに男性用と思われる方に連行されてしまう。

「あの、僕・・・っ!」

 通路の先は、広い脱衣所だった。

 脱衣所なので当然、服を着ていない男性もいるわけで・・・。

「お、ここにしよーぜ」

 変わった形の棚には空のカゴがあり、やっと手を離してくれたフィンはそこに脱いだ服を入れていく。

 脱いだ服を・・・。

「どうした?」

 早くも半裸になったフィンの肌を見てしまった・・・!

 待って、ど、どうしよう。

 え、これ私も入らなきゃ駄目?

「ほらリーアンも脱げよ」

 完全に裸になったであろうフィンの横をすり抜けて、コーダンはもう浴室に行ってしまった。

 早くない?え、庶民って人前で裸になるの平気なの??

「もしかしてその服自分じゃ脱げないとか?」

「そういう訳じゃ、ないけど・・・」

「手伝ってやろうか?」

 フィンに悪気がないのは重々承知で、心の中では悲鳴を上げた。

 でも、今の僕は庶民の男の子で、という事はフィンみたいにするのが正解なわけで・・・。

 念の為、服の隙間から胸元を確認する。男の子の体だ。

 どこからどう見ても、男の子の体なんだ。

「じ、自分で脱げる・・・!」

 思い切って一息に服を脱いだ。恥ずかしがったら変に思われる。それだけは避けないといけないという一心で。

 脱いだ服をカゴに入れていると、フィンに体を見られている事に気づいた。

「な、何?」

 どこからどう見ても男の子の体。でも見られるのは恥ずかしい。

「リーアンって細ぇのな」

 「そういうフィンは」と思って、彼の体に視線を移して・・・。

 見てしまった。

 まだ嫁入り前なのに!見てはいけないものを!見てしまったんだよ!!!

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