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勇者さまは女の子  作者: 三ツ陰 夕夜
3.貿易都市ソアラ

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22/57

箸休め編(1)コーダンの「勇者」講座

貿易都市ソアラへ向かう馬車にて

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「コーダン、昔はたくさん勇者がいたって本当?」

「あぁ、30年くらい前にはゴロゴロいたな」

「そんなに魔王がたくさんいたの??」

「あー、いや。あれだ。今とは勇者の基準が違ったんだよ」

「基準?」

「話長くなるぞ?」

「いいよ。まだソアラまではかかるだろうし、教えて」

「そもそも、冒険者ってのが生まれたのが・・・大体6~70年前くらいなんだが、そん時の冒険者は各地を放浪しながら慈善事業をする、みてぇな感じの事をしている奴らだったんだよ」

「ダンジョン攻略はしなかったの?」

「あぁ。ダンジョンから漏れ出た魔獣駆除とかはしてたはずだが、基本的には魔獣駆除と魔族討伐だな。それにそういう奴らはごく少数だったから、そこまでしなくても食っていけたんだろ」

「なるほど」

「んで、『冒険者』の知名度が上がるにつれて人口も増えて行って、50年前くらいにそいつらを取りまとめるために冒険者ギルドができた・・・はず。ギルドができたことで冒険者も増えて、クエストの相場も生まれたおかげで気軽にクエストを依頼できるようになったんだ」

「ギルドっていいことだらけなんだね」

「そうでもないぞ」

「なんで?」

「相場があるってことは、金がねぇやつのクエストは誰も引き受けないって事。しかも、報酬が高いクエストしか引き受けねぇようなやつも増えて、慈善事業をする奴って意味だった『冒険者』が、報酬目的に雑用をする奴っていう意味にすげ変わっていった」

「本来の意味に戻せなかったの?」

「冒険者を生業にしてるやつらに『金は出さねぇが働け』って言ったって向こうも生活があるだろ?」

「あ、そっか」

「ってことで生まれたのが『勇者』なんだよ。最初はただ慈善事業みてぇなクエストを引き受ける冒険者って感じの扱いだったが、ただ勇者を名乗るだけって奴だらけになっちまって、それが30年くらい前だ」

「たくさん勇者がいた時代だね」

「んで、『勇者』の定義を正式に定めて『国が依頼する慈善事業を引き受ける奴』にしたんだが、やっぱ報酬がねぇと誰も引き受けねぇから、勇者認定した奴には金じゃなくて装備だったり爵位だったりを渡すって事になった」

「それならみんな勇者になりたがるんじゃない?」

「そうなんだよ。装備はともかく爵位が得られるってなったら勇者希望者が殺到しちまって、で、慌てて条件を後付けしたんだが、その条件ってのが『教会で祝福を受けている事』と『冒険者として一定以上の貢献がある事』にしたせいでしばらく巷が混乱することになるんだが・・・なぜか分かるか?」

「教会で祝福って、名づけだよね?」

「あぁ」

「それだと、みんな名前もらうために協会に押し掛けたんじゃない?」

「2つあるうちの1つは正解」

「もう1個?・・・分かんないや」

「一定以上ってやつの基準が公開されなかったんだよ。冒険者ランクなのか、クエストの受注数なのか、はたまた国への貢献率なのか」

「でもそれって基準作るの難しいんじゃない?」

「意外と鋭いな。その通り、基準を作っちまったら抜け穴みてぇに条件をクリアしてくる奴がいるだろうから、国としては曖昧にしておきたかったんだろうな。が、そのせいで逆にワンチャンあるんじゃないかって思う能天気な奴らが大量に冒険者になり始めた」

「冒険者が増えたら駄目なの?」

「クエストの数は限られてるだろ?それにその頃にはダンジョン攻略が金になるって気づき始めたから、報酬が低いクエストは無視してダンジョン攻略しながら報酬の高いクエストを受ける奴だらけになって、しかも実力のある奴ほどそういう暮らしをし始めたんだ」

「勇者は?」

「楽に爵位もらえるかもなんて奴らは早々に諦めるし、実力のある奴らはプライドが高いから振るい落とされるのに納得がいかねぇって感じ」

「じゃあ勇者はいなくなっちゃったの?」

「一時的にな。転機が訪れんのは20・・・5年前だったか。お前が生まれる前だから知らねぇだろうが、魔王率いる魔族が人間の土地に本格的に侵略を始めたんだよ」

「授業で習ったよ。27年前に国境付近の村が襲われたのを皮切りに、魔族が少しずつ人間の土地を奪い取って行ったって」

「授業・・・。あー、まぁそんな感じで、一応国軍が対抗はしてたが、戦力不足ってことで冒険者の力を頼ることにしたらしい。つっても、やっぱりそこでも金が物を言うせいで、ちまちまクエスト依頼しちまうとさすがに国の金が空になっちまう。そこで『勇者』の称号を使う事にした」

「あ、分かったかも」

「言ってみろ」

「『魔王を討伐した者に勇者の称号を与える』ってやつだね!」

「そうだ。曖昧だった基準を明確にすることで冒険者たちの目の色が変わったんだ。それにそこまで考えてたかは分からねぇが、魔王討伐を目指す冒険者たちのお陰で国境付近の魔族の討伐も行われて、国としては願ったり叶ったりだっただろうな」

「だから今の勇者っておと・・・勇者ローレンしかいないのか」

「まぁ、お前の言う通り本当にまた魔王が悪巧みしてるってんなら、討伐すれば勇者にはなれるだろうがな」

「してるよ。確かな筋からの情報だもん」

「どうだか・・・お、そろそろ昼飯の時間だな」

「昼ご飯の後また手合わせお願いしてもいい?」

「魔法はなしな」

「ぅ・・・分かった」

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