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勇者さまは女の子  作者: 三ツ陰 夕夜
2.勇者としての素質

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(15)戦闘の後で

 少しだけ広場でゆっくりしてから宿屋に戻る。

 お腹が空いてしまったので遅めのお昼ご飯をディーナンと食べていると、コーダンとラーニカが戻ってきた。

「お疲れ様」

「あぁ」

「もうお腹ペコペコ!あの人たち話長すぎなのよ!」

 人がまばらなお陰ですぐに注文を取りに来てくれたおかみさんに、コーダンが「すぐに食べられる料理」を注文すると、山盛りのパスタが出てきた。

 お代は2人分しか取られなかったが、明らかに5人分くらいはある。もしかしなくても余りものだろう。

 コーダンが小皿に自分の分を取り分けると、ラーニカは残りの3人分以上のパスタを食べ始める。大きな魔法を使った後はお腹が空くと言うけど、ラーニカあんなに食べられるんだ・・・。

「ギルドでの話だが」

 ラーニカは食べるのに夢中だけど、コーダンは食べながらでも話をする余裕があるらしい。

 少しマナー違反な気もするが、社交の場でもないこんな場所でうるさく言っても仕方ないだろう。

「ラーニカが受けた依頼を、俺が手伝って、リーアンは見学してたってことにしといた」

「うん」

「で、たまたま見つけたゴブリン駆除したけど、正式な依頼受けてねぇからってことで報酬は辞退したぞ」

「それでいいよ。ありがとう」

 コーダン曰く、ゴブリン退治は本来発生数を確認してもらってから倒すか、倒した証拠を持って行かないと報酬がもらえないらしい。

 今回のような場合は元人質に証言してもらえば報酬を受け取ることも可能らしいが、正直言って手続きが面倒くさいんだって。

 それに、元人質の人たちに何があったかを証言してもらう必要がある。そんなことはさせられない。彼女たちには嫌な記憶なんて一刻も早く忘れてもらって、元の生活を取り戻してほしいのだから。

「あと、俺の受けた依頼はなしになった」

 コーダンの受けていた依頼といえば、牧場荒らしの討伐だったはずだ。

 牛や豚が殺されたり連れて行かれたりしているから、ワーウルフ辺りの魔獣の仕業だろうとの事だったが。

「あれもゴブリンの仕業だろうって事だ」

「あ、なるほど」

 ダンジョンと違って下水道には生き物が自然発生するわけでもないのに、あれだけの数のゴブリンがいたのだ。食料を地上で調達するためには牧場を襲うのが一番効率が良かったという事か。

 もしかしたら他にも悪事を働いていたかもしれない。

 それを考えると、やはり倒すべきだったのだ。人間の土地にいる魔獣は。



 ラーニカの魔力回復を待つために、この日はこの街に留まることにした。

 おかみさんに許可をもらって食堂の一席を作戦会議に使わせてもらっている。

 作戦会議の内容は、もちろん『祝福』についてだ。

「体感で言うと、威力1.5倍。操作性1.2倍って感じだったわ」

「そんなに上がるんだね」

 私の『祝福』は、仕方ないのだが私自身には効果がない。相手によっても効力が多少変わると聞いていたが、ラーニカへの『魔力強化』は効果絶大だったようだ。

「あ、それだけじゃなくてね」

 興奮気味に言うラーニカの目はキラキラと輝いていた。

「魔力の回復速度がいつもよりも早いの!」

「あ、それ俺も思った」

 ラーニカの後ろでディーナンが片手を上げて同意する。

 これは、初めて聞く話だ。お母様の『魔力強化』は言葉通り魔力を強化するだけのもので、回復速度については何も効果がなかったはずだ。

 もしかして同じ『魔力強化』の『祝福』でも違いがあるのだろうか。

 お父様たちの仲間だった学者のマクマさんに聞けば何か分かるかもしれないけど、彼女はいつも放浪しているらしく、連絡の取りようがないと以前お母様が言っていたからなぁ。

 まぁ、今の私は家出中みたいなものだから、連絡が取れても会いに行くことはできないんだけどね。

「リーアンって本当に凄いのね!」

「僕って言うか『祝福』が、だけどね」

「そんなことないわよ!その歳で魔法を5つも同時使用できるなんて、ありえないもの!」

「俺も5つ同時使用できるけど?」

「あんた何歳よ」

「あれ?何歳になるんだっけ?」

「自分の歳も覚えてないの?信じられない・・・!」

 コントみたいなディーナンとラーニカのやり取りに思わず声を上げて笑ってしまった。

 ラーニカは相変わらずディーナンに辛辣だけど、ちゃんと仲間として許容はしてくれているみたいだ。

 口げんか一歩手前の2人を見ながら笑っていると、頭の上にコーダンのゴツゴツの掌がのしかかってくる。

「報酬は断ったが、感謝の言葉は受け取っておいた」

「・・・そっか」

「『このご恩は一生忘れません』だとよ」

「・・・ありがとう」

 コーダンにワシワシと頭を撫でられて髪の毛がぐちゃぐちゃになったけど、それすらも嬉しかった。

 冒険者じゃない勇者もどきに、護衛に、炎の魔法使いに、魔族。変わったメンバーだけど、私の自慢のパーティ。

 みんなの為にも絶対に本物の勇者になってやる。そう、決意を新たにした瞬間だった。

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