第六十八話 〜模擬戦終わり、そして…〜
おはようございます!!
前回から引き続き長老と賀茂さんの模擬戦をやります!
今回で模擬戦は終了になります!
また、今回は物語が動きます!
少しショックな描写もありすが、お楽しみください!!
「??……??」
自分の体が思ったように動かない……?どう言うことだ?長老は不思議と思った。
「おい、長老!!思ったように体が動かないだろう。むしろよくそこまで動けるもんだと、感心しちまうよ!」
アイツのくちぶりからして、賀茂が何かをしたようだ。何をした?攻撃を紙一重で避けつつも体の異変を確認する。……特に異常はない。何が起きている……!?
「長老ぉ!!ギブアップするなら今だぜぇ!!」
賀茂はギブアップを促してくる。この不安定な感じをどうにかしない限りギブアップも視野に入れておかないとか……。強くなったな。
そんなことを考えていると、右手付近に鎌が襲いかかってきた。何気なく避けようと手を動かそうとしたが、なぜが動かそうとした方向と逆の方向に動いて鎌に僅かに当たった。
……なるほど……。
普段は何気なく避けているが、不意に意識して避けようと思ったのが活路を開いた。
十中八九、これは賀茂契約妖怪3体目の天邪鬼の力だ。昔はもっとあからさまな能力しかなかったが、今回の能力の使い方は絶妙すぎて気が付かなかった。
天邪鬼とは人を惑わしたり、真似たり、反対のことをしたりして相手を陥れるような妖怪だ。
昔の賀茂はあからさまにその能力を使って、反対のことをさせたりしていた為、すぐに能力の存在に気がついたが、今回はある重要は場面にのみ能力を最小限に発動させていた。俺が手を避けようと思ったら反対方向へ動いたのもこれが理由だろう。
それにしても3体同時にここまで細かく能力を駆使するか……!?その成長は凄まじいものがあるな。
だが、能力に気づいたなら、終わりが見えたかな。
「……成長したな……。」
ボソッと呟いた。
「あぁ!?なんだって!?」
長老のやつ何かほざきやがったな!?ここまで痛めつけてるのにどうして倒れない……!?
やっぱり長老は強ぇな。だが、俺だって負けてらんねぇ!!
「なんでもないよ。……ただ、お前の成長が嬉しかっただけだ!」
長老は賀茂さんの成長を喜び、それを本人に伝えた。
「あんだとぉ!?まだ終わってもいねぇのに、終わったような口ぶりで喋んな!!」
賀茂さんはそれが癪にさわったようだった。
「……いや。もう、終わりだ!!久々に楽しかったぞ!俺にここまでしがみついたやつは久々だ!」
「てめぇ!!……。」
バタっ……。
激しい攻防をしながら喋っていた2人の決着は一瞬だった。鎌の攻撃を受けていた長老は話終わるといつの間にか賀茂さんの背後に立ち、賀茂さんの頭に触れる。すると賀茂さんは糸を切られた操り人形の如く、その場にドサっと倒れ込んだ。
一体何が起きたのか。正直何もわからなかった。
「……、未来さん。何かわかった?」
恵慈さんも何が起こったかわからないようだった。恵慈さんの目をもってしてもこの現象は明らかにおかしい現象だったみたいだ。それにしても、私に意見を聞くような程動転したみたいだ。
『……ふむ。驚いたな。』
しかし、ここにその現象に心当たりがある人がいた。……空亡だ。
『我も目の当たりにするのは初めてだ。長老め…、あやつは時を止めたぞ。』
「「……はぁ!?!?」」
私と恵慈さんは何を言っているんだ!?と思いながらすっとんきょうな声をあげてしまった。そしてこの訓練場にその真実を知るものはほぼ皆無だろう。
空亡と実際の術師の長老にしかわからないだろう。
『我も知識として知っていなければ気付くことはなかっただろう。だが、この感じは間違いなく時が止まったと考えるのが自然だな。』
まさか時を止めるとか正直信じられない。でも、今起こった現象を説明するにはそれが一番しっくりくる。
「え……、本当に時を止めたの……?」
それでも、私にはとても信じられないと感じながらも聞いてみた。
『時が干渉できるのは肉体と精神のみだ。魂まで干渉することはできない。つまり魂は時間が止まっていないと言うことだ。我は本質を変化できると言ったが、それは同時に魂に干渉できると言うことなのだ。本質とは本来魂の形であるからな。無論、自分の魂にしかアクセスはできない。…今、長老が技を使ったが、魂が感じる時の流れと肉体と精神にズレが生じるのを感じた。すでにズレは戻ってはいるが、本来起こることのないズレだ。これは時を止めた時にしか起こり得ない現象なのだ。』
おそらく空亡くらいしかこの現象を察知できないんじゃないかと思う解説だった。…あと、術師本人の長老か!?
「なるほど……。空亡もずば抜けた感性してるよね……?」
私はポカーンとしながら空亡の話を聞いていた。
『ん?まあ、我の場合は経験則もあるだろう。』
経験則だけじゃなくて能力もでしょうが。
「…それにしても、長老はそんな切り札持っていたのか。だけど、ここまですごい技だから連発はできないだろうね。」
ここにきて恵慈さんも今の状況を考察するほどには我に返ってきた。
『で、あろうな。莫大な制限が必要になるだろう。』
大きな力には大きな制約があるものだ。
「そんな力を使わなくちゃいけないほど賀茂さんが厄介だったってことでもあるんですよね?」
私は長老の凄さを目の当たりにしたが、そこまでさせた賀茂さんもすごいのだと理解した。
「そうだね。僕から見てても、昔とは動きが全然良くなってると思うよ。力の使い方も無駄がなくなっているし。」
「修行しまくっているだけはあるんですねー!」
私たちがそんな話をしていると、訓練場の中央から長老が叫ぶ。
「さて。……恵慈ーー!!おわりーー!!」
長老は大声で恵慈さんに向かって終わりの合図をした。長老は足元に倒れる賀茂さんを抱えて着付けをして目を覚まさせる。
「……!?……くそ。」
賀茂さんは意識を取り戻すと同時に自分が負けたことを認識し、悪態をついた。だが、逆ギレをするようなことはなく、素直に負けを認めていた。
「それじゃあ!今日の模擬戦は長老の勝利と言うことで幕を閉じたいと思います!」
恵慈さんが長老の合図に答えるように今日の締めくくりをする。
「皆さん!今日の試合は皆さんにとっても実りのあるものだったと思います。お二人に大きな拍手を贈りましょう!!」
みんなが思い思いの感想を語りながら拍手をする。私も2人に向け拍手をする。
ふと、隣で先ほどまで話していた恵慈さんの方を見るとワイシャツの白色とは違った黒い亀裂のようなものが胸からお腹にかけて縦に入っている。
―なんだろう?―
周りの拍手の音はどんどん大きくなる。
気になってその亀裂を見ていると、そこから真っ黒な手が亀裂を破るようにして現れた。さらに、その手は亀裂を横に広げながら何者かが出てくる様な形でみるみる両手、頭、肩、胸と恵慈さんの中から這い出てきた。
―!!!???―
私は冷や汗をかき、震えながらその様子を見ていた。あまりに自然に行われたこの現象に頭がついていかない。
ふと恵慈さんの顔を見るとすでに生気がなく、瞳孔は開き、口から血を流している。
―……死んで…いる……?―
『未来!!』
急に空亡に抱き抱えられ、恵慈さん…いや、恵慈さんから這い出てきたものから距離を取る。
そこで、異変に気付いた周りの人たちも拍手をやめた。それと同時にうるさいくらい大きな声が頭に響いた。
「盛り上がってますねぇ。私も混ぜてくださいよぉ。」
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
模擬戦は終了しましたが、ここで、恵慈さんに異変が!?
本当に死んでしまったのか!?
そして、そこから現れた者はなんなのか!?
物語のターニングポイントです!!
今後の展開をお楽しみください!!
次回は10/12朝アップします!!




