第五十二話 〜隊長・副隊長〜
おはようございます!!
今回は色々な話があります。
恵慈さんの過去、侵入者、未来の両親。
いろんな物語が交錯して進んでいきます!
今回もお楽しみください!!
帰りの電車の中、恵慈さんと話をしながら帰った。
恵慈さんの地元は奈良県で陰陽師の名家の長男として生まれた。生まれた時から「百目」と契約し、生まれた時は盛大にお祝いをされたらしい。だが、陰陽師としての才能がないとわかってからはほとんど干渉されない幼少期を送っていた。陰陽師の力は妖力との親和性や力への干渉力、感受性等を総合的にみて判断される。恵慈さんはどの能力に関しても軒並み最低値を叩き出した。この適性は基本的に生まれつきのもので、成長することもほとんどない。まさしく才能と呼べるものであった。そんな中でも、「百目」は恵慈さんにとても友好的で百目との日々が心の支えだったようだ。
恵慈さんは6歳のある日、弟が生まれ、もう用済みだと言わんばかりに突然家から勘当された。東京で長老が運営していた孤児院に突如として入所することとなった。
この話を聞いて、恵慈さんは辛い過去を持っていたのだと思い知った。今となっては思い出のように語っていたが、辛かっただろう。
長老が孤児院を開いていたのにも驚いた。長老は常世のものが原因で行き場を失った子達を集めて生活をしているっぽい。恵慈さんのように陰陽師の家に生まれたが捨てられた子や普通の家の子だが常世の存在が見えることから疎まれ、気味悪がられ捨てられた子、親を常世の存在に殺されて孤独になってしまった子、そんな子達が集まっているらしい。今も孤児院は残っているが、今は長老の奥さんが運営しているらしい。長老、結婚していたんだ……。
そんな話をしていると、最寄りの駅につき、恵慈さんの車で家まで送ってもらうことになった。両眼閉じて車運転できるの!?っと思ったら眼鏡を出した。
「流石に車は目を閉じてちゃダメだからね。」
そう言って眼鏡をして目を開いた。この眼鏡は特別で、外からは百目が入った瞳ではなく、普通の瞳に見える。ただ、幻術のかかったレンズを通して目を開けているため、余計な力を使ってしまうようで疲れるらしい。
「たまに不便なんだよね。」といい、にこっと笑った。
車の中では、明日のことについて話をしてくれた。まず、場所がわからないだろうから明日は迎えに来てくれるとのことだった。そうこうしているうちに自分家の近くにきた。
「もうすぐだね。」
「そうですね。家の場所覚えているんですか?」
「うん、そうだね。一回しか来たことないけど、わかりやすい場所だからね!」
「あ、そう言ってましたね!今日はどうしますか?せっかくなので寄って行きますか?」
お父さんもお母さんももう家にいると思うし、送ってくれたお礼もしたいし上がっていかないかと提案した。
「んー、いや、いきなりだと迷惑かもしれないしまた次の機会にするよ。」
「そうですか?大丈夫だと思いますけど。」
「お、着いたよ。」
そんな話をしていると家に着いた。家の前には何やら人影が2つ。
恵慈さんは車を止めて私を下ろした。恵慈さんも一旦降りて2つの影に挨拶をする。
「お久しぶりです。師匠、道世さん。」
2つの影はお父さんとお母さんだった。
「久しぶりだな。元気そうで良かった。全然連絡よこさねーもんだから心配してたんだぞ!」
「そうよ!まあ、頼りがないのは元気な証拠なのかもしれないけど、やっぱり心配したわ。」
お父さんとお母さんは本当に我が子のように心配をしていたみたいだ。涙が今にも溢れそうだ。
「しかも、群馬にいるならそれくらい連絡よこせよ!めっちゃ近くにいるんじゃねーか!?どこでのたれ死んでるのかと思ってたぞ!?」
「あ、あー。それも連絡してませんでしたっけ?」
恵慈さんは連絡していなかったことを少しとぼけたように返答した。
「してねーよ!まあ、元気ならいいよ!とりあえず、上がってけ!ほれほれ!!」
そう言って強引に恵慈さんはお父さんに連れられて家に入って行った。
「そんな関係だったんだね?」
お母さんにポソっとつぶやいた。
「ええ。恭弥ちゃんの小さい頃から面倒見ていたからね。子供のようなもんだよ。未来のお兄ちゃんって感じかな?」
ちょっと冗談めかしく言った。
「お父さんも嬉しそうだったね。」
「そうね。高校に進学するって言う時に私たちに迷惑はかけまいとバイトしながら高校行って、それ以来本当に音信不通だったのよ。本当に元気で良かったわ。」
お母さんも嬉しそうだった。私もお兄ちゃんができたような感覚になり嬉しい。でも、上司なので気を緩めすぎないように気をつけよう。
「さあ、私たちも家に入りましょう。」
「うん、そうだね!今日色々あったんだよー!?」
「そうなの?じゃあ話が楽しみね。」
そう言って私たちも家に入っていった。
――リビング――
私たちが家に入りリビングに行くと、恵慈さんとお父さんが話をしている。そこに混ざって長老も談笑している。
「…なんで!!??」
リビングに入り、恵慈さんとお父さんが2人で話しているのかと思ったら、そこにしれっと長老が混ざっている。
「なんで、長老いるの!?」
まさに気になったのはそれだ。今日は早く帰ってきたはずだし、長老はまだ東京にいたはずだし、なんでこんなのんびりしているの!?
「おー!未来ちゃん!おかえり!」
そんな私の驚きもつゆ知らず、話しかけてきた。
「おかえり!…っじゃないでしょ!ただただびっくりなんだけど!?」
「いや、未来ちゃんたちが帰った後に、やっぱり俺からありちゃん達に話をしておいた方がいいかなーと思ってさ!火車でひとっ飛びよ!」
この行動力星人は本当にとんでもない行動力をしている。なんでも、今日残っていた仕事は30分で終わらせて飛んできたとのことだった。仕事ができる人が本気を出すととんでもない。まあ、サボって仕事が滞るよりはいいと思うけど。これもキョンちゃんのおかげもあるのかな?と考えていると…
「長老もついさっききたばっかりだからまだ話もできてないけどな。とりあえず、恭弥も来たし、夕飯にしようか!道世ー!今日なんだっけ?出前にするか?」
お父さんはお祝いをしたいそうだ。
「そうね。まだ用意もしてないし出前にしましょう。」
各々頼む物をネットから探す。お父さんが寿司にしよう!と言う。恵慈さんが来たのがよっぽど嬉しかったのか、大奮発で特上寿司を頼むこととなった。恵慈さん……、ありがとう!!
「さて!じゃあメシが来る前にちゃっちゃと話を済ませて、あとはのんびり過ごすか!!」
長老は話を早く終わらせてしまいたいらしい。
「恵慈と未来ちゃんは今日の出来事を知っているからわかってると思うが、軽く聞いていてくれ。」
長老が大臣の顔つきになった。しっかりするところはしっかりする。こういったメリハリが大切だな。
「まず、今日東京の陰陽省で侵入者が発見された。」
「「はぁ!?!?」」
お父さんとお母さんは今までで1番と言ってもいいくらい取り乱した。
「嘘だろ!?あそこに侵入できるやつなんているのか!?」
お父さんはさらに大きな声で質問をした。
「まあ、言いたいことはわかる。だが、事実だ。続きを聞け。
侵入者は妖怪「ぬらりひょん」だ。妖怪の特性上、侵入できる可能性はある。とは言うものの、ぬらりひょんは基本的には無害の妖怪として把握されている。では、なぜ侵入できたのか。それは、やつを操るやつがいたからだ。」
「……それは誰ですか?」
当然の質問をする。だが…、
「すまんがそこはまだ特定できていない。だが、ぬらりひょんは呪いにかけられ、陰陽省に侵入、情報共有の呪いからここ1週間くらいの情報は漏れていると考えている。その場ではわからなかったが、おそらく、侵入に際してもなんらかの呪いがかけられていたのではないかと考えている。」
私たちが帰った後に気づいたであろう情報も出てきた。
呪いに関してはまだわかっていないが、情報共有に合わせた呪いがまだあるようだ。
「そんな……。情報漏洩も侵入も前代未聞ですね。呪いの重複掛けも高等技術ですよ。」
「幸い、こいつが陰陽省に来た1週間前からはそんなに重要な情報が入ってきていないし、トップシークレットは俺が個人的に保管しているから、大きな問題にはならんと思うが、あの拠点がバレてしまった以上は拠点を移すしかなかった。
そこで、来週から群馬支部を中枢として活動しようと思う。」
長老は今日あった出来事を簡単に説明した。
「そう言うことですか…。まあ、仕方がないですね。」
「とりあえず、東京は規模を小さくして別の場所で活動はするが、中枢は群馬に移す。正直な話、恵慈とありちゃん、みっちーの力を当てにしている。申し訳ないが、協力を頼めないだろうか?」
長老は両親に、隊長、副隊長として申し出をした。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
恵慈さんは辛い過去があったようですね。
侵入者も呪いが2重というまさかの事実。
これからは本気の戦力強化が必要ですので、隊長・副隊長の存在は大きいですね!!
次回は9/26朝にアップします!




