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夜明けの陰陽師〜安倍晴明の子孫と伝説の妖怪がタッグを組んだら〜  作者: 太星
第二章〜新たな決意と共に〜
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第五十話 〜2人目の幹部〜

おはようございます!!

陰陽省東京本部に潜入していた妖怪はぬらりひょんであることがわかった。

ぬらりひょんは誰にも気づかれずに家に上がっているそうです。特性的にもピッタリですね!

今日はそれより深い話になります!

お楽しみください!!

 ぬらりひょん……。

イメージはもっとおじいちゃんみたいな感じだと思っていたけど、イメージはイメージであった様だ。普通の青年だ。それにしても、呪いっていうのもあるのか。それも術の一種だろうか。


「呪いってなんですか?よく聞く呪いとは違うんですか?」


呪いというのはあまり聞かないけど、本来はなんだろう?


「そうだな。一般的な呪いと同じと思ってていいぞ。ただ、釘打ちだの何かしらの儀式が必要なものとか、術式を使って行うものもある。まあ、大体はバッドステータスつけたりする様なマイナスなイメージの術って思っておけばいいかな?今回は情報共有だったが、呪いってことだから、思考回路がおかしくなるとかなんらかのバッドステータスがついていたはずだ。」


誰がそんなものを使いたがるのだろうか?


「そうですね。受け答えはできていましたけど、少し幼稚になっていた気もします。知能が下がっていた可能性もありますね。」

「そうなんですか。術にも色々あるんですね。」


そんなものなのに、色々種類もあるんだな。悪い人たちは利用したりするのだろうか。


「そうだな。術式を使った呪いを「呪術」なんて言ったりもするぞ。あえて呪いをかけることで、通常の術を強化することもできたりするから、今研究が行われている分野でもあるんだ。」

「へぇー!そうなんですね!」


 むしろ、自分に呪いをかけるなんて抵抗があるな。それほどまでに力を追い求める者もいるんだろうか。

悪い人達だけじゃなくて、そう言った使い道もあるんだ!?


「まあ、難しい分野だから、研究はそこまで進んでいるとは言えないがな。」


 呪いなんて言葉、正直そこまで関わりたくもないと思ったが、能力の向上に役立つ様に研究されている様であれば、協力できることは協力したいとは思った。そして、今まで余り会話に参加してこなかった空亡が言葉を発した。


『……、その呪いだが、心当たりがある……。』


 !?!?

 今この場にいる全員が同じことを思っただろう。恵慈さんの能力をもってしても、推測しかできない呪いの正体であるが、まだ、ほとんど情報を持たない空亡が心当たりがあると発言している。


「空亡……どういうこと?」


 私は怪訝そうな声と共に空亡に確認をすることにした。現在の状況を余り知らない空亡にとって、心当たりがあるとするならば、おそらくは常世の存在ということになるだろうか。

 その場にいる全員が固唾を飲んで空亡の後の言葉を待っている。


『おそらくではあるが、これは崇徳上皇の術である可能性が高いな。』


「崇徳上皇?」


 長老と恵慈さんはポカンとしている。私は一度、空亡の話で聞いたことがある。それが本当にその妖怪ではないことを祈りたい。だが、確認はしなくてはならない。


「空亡、それって、「厄」の幹部の崇徳上皇ってこと?」

『そうだ。その崇徳上皇だ。』


 もう、厄の幹部が動いているとなると絶望感が押し寄せてくる。

 

――崇徳上皇(すとくじょうこう)――

 

現在、常世を支配している妖怪組織「厄」の幹部である。玉藻前と同格かそれ以上の強さを兼ね備えているらしい。名前からして、昔の天皇である。


『崇徳上皇はその名の通り、平安の世の天皇であったが、最後には罪人として讃岐に流された。理不尽な罪に問われ生涯を終えた崇徳上皇はその怨念から妖怪となり「厄」の幹部になるまでに至ったのだ。上皇というもともと高い地位にいただけあり、頭の回転が早かった。だか、その本質は怨念で塗り固められたようなものだ。妖怪の悪といえば崇徳上皇と言っても過言ではないだろう。そして、呪いについてのスペシャリストだ。』


 崇徳上皇…。そんなにとんでもない妖怪がいるのか。怨念が根源っていうのは虚しいな。


「つまり、このぬらりひょんにかけられた呪いは崇徳上皇がかけたってこと?」


『断言はできないが、ここまで精密な呪いはそう簡単にできるものではない。呪いも一朝一夕では扱えないからな。呪いのスペシャリストである崇徳上皇ならば可能な芸当だと思ったのだ。陰険な感じが崇徳上皇にぴったりだしな。』


 崇徳上皇って陰険な感じなんだ。呪いというのは見た感じ禍々しい感じを受けるし、やっぱり術にも得手不得手ってものがあるのだろう。崇徳上皇にはベストな術なのだろう。


『呪いにもランクがあり、このぬらりひょんがかけられているのは「呪い」、少しレベルが上がると「呪術」、その上に「呪詛」というランクがある。崇徳上皇は「呪詛」も容易く扱うことが出来たはずだ。』


 呪いのランクか。私の知らない世界がどんどん広がっていく。いろんなことを学んでいこう。


『噂では「呪詛」の上にもランクがあるらしいが、それに関しては我はわからない。崇徳上皇はそれすら操ると聞いたことがある。まさしく呪いのスペシャリストと言えるだろう。』


 ここまで話して、長老が重い口を開けた。


「そうか。その情報は有益だな。だが、問題も山積みだ。まず、第一に推測でしかないということ。呪いの対抗手段がないこと。すでにある程度の情報は盗まれていると考えられること。うちに対抗するだけの戦力が今はないこと。ざっと思いつくので、これくらいか?」


 長老はさっきの話から、今の問題点をざっと絞り出した。これからの方針はどうするのだろう。恵慈さんが話に入ってきた。


「どうしましょうか。総理に話をしてみますか?」


 そ、総理!?……そうか!完全に忘れてたけど、内閣管轄だった。


「うむ、そうだな。それは必須だな。ちょっと話してくるわ!ちょっと待ってろ!」


 そういうと、長老は大臣室に入っていってしまった。ちょっと話してくるで、話せる相手なのだろうか!?まあ、大臣なのだから話を通すくらいはできるだろうけど。


「恵慈さん……、あんなに軽い感じでいいんですか?」

「ああ、まあ、そう思うよね。今の総理とは昔からの知り合い、言っちゃえば幼馴染らしいんだよね。」

「ええ!?それも驚きですね。そんなことがあるんですねー。」


 幼馴染とは驚きだ!それなら多少は話しやすいのかもしれないな。


「とりあえず今は待つしかないかな。」

「そうですね。」


 私達は長老が帰ってくるのを待つしかなかった。ぬらりひょんは氷漬けのまま。特に溶けて水溜りができているということもない。雪女の氷は特別なんだろうか。と、氷を見て考えていた。


「私は最近、陰陽師として力を使えるようになりましたけど、これまでですごい多くの経験をしました。知らない世界があるんですね。」


ふと、思ったことを口走っていた。


「そうだね。僕は生まれた時から陰陽師の家だったから、最初から知っていたけど、普通に暮らしている人たちは妖怪を見ることもなければ感じることもない。テレビとかのフィクションでしかない。僕たちはそんな人達が今の日常のまますごせるような社会を維持していくのが大きな使命だと思っているよ。」


恵慈さんは私の言葉を真摯に受け止めて返答してくれた。


「そうですね。正直、知らなければただ単に平和な世界ですもんね。見えることが助けになることもあるけど、見えないに越したことはないですよね。」


 自分の現実と他人の現実を比較してどうにかなるものではないけど、今の自分に何ができるのか、しっかりと見極めながら行動していきたいと思った。

 そんなことを考えているうちに長老が戻ってきた。キョンちゃんも共に戻ってきた。


「未来さん、恵慈さんとは仲良くなれましたか?恵慈さんはまともな人物なので私は好感を持っています。雪さんに話したら発狂しそうですけど。」


 あらあら、雪さん……。あなたの恋心は周りに筒抜けですよ。知らないのは当人の恵慈さんだけじゃないだろうか。


「恵慈さんってすごい鈍感だね。」

「ええ。そこはたまに傷って感じですね。雪さんからしたらそんなところも大好きなんでしょうけど。」


 キョンちゃんも人の色恋とかに興味があるんだな。

 私がキョンちゃんと話をしていると、恵慈さんが長老に結果を聞きたいと話を促した。


「それで、長老?話はまとまりましたか?」

「うむ!相変わらずかたっ苦しい奴だったけど、まあ、なんとかなった!これからここの全員に報告する!ちょっと来てくれ!」


 そういうと、ここにいる4人はオフィスに戻った。


「全員いるかー!!??休みのやつはあとで連絡するから、今日出勤のやつは全員ホールに集まってくれ!」


 全員をホールに呼ぶらしい。ホールはオフィスエリアの2階にあり、職員全員が集まれるくらいの広さがあり、休憩などに使える場所のようだ。全員を集めて、今後の方針を発表するのだろうか。

 

――ホール――


「全員集まったな!?」


 私も含め全員が揃った。仕事に戻っていた真琴や雪さんもいる。


「報告する!!来週から拠点を群馬支部に移す!!」


ここまで読んでいただきありがとうございます!!

「厄」の幹部2人目のことが少し明らかになりました!

まだ、実際の登場は先になりますが、今後の物語を大きく動かすことは間違い無いでしょう。

どんなことをしでかすのでしょうか!?

次回は9/24朝にアップします!!

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