第四十七話 〜その眼に見えるもの〜
おはようございます!!
恵慈さんにとともに陰陽省内の案内と仕事の見学をしている未来。
健康観察という名目で当たりを見回っています。
今回も後半は話が動きます。
お楽しみください!!
オフィスを回りながら、恵慈さんがふと話をしてきた。
「あ、そう言えば、未来さんのお父さんは僕の師匠でもあるんだよ。力の流れが師匠にも見えるからね。ただ、僕は妖怪の力も使っているから、師匠よりよく見えるんだ。師匠は制御とか改良はできるけど、術式の構築は少し苦手だったね。」
思いもよらないところで、お父さんの名前が出た。お父さん、師匠とかやっていたんだ!?そう言えば、力の流れが見えるとも言っていたかも。修行手伝ってもらってたしなー。教えるのも上手だったから師匠になるのもわかる気がする。
「お父さんの弟子ってことですよね!?お父さんって本当にすごい人なんですね?」
身近なところで客観的にお父さんのことをよく知っている人は初めてだから色々気になる!
「そうだね。すごいお世話になったよ。師匠は意図して力を見ているけど、僕は意図せずに力が見えちゃうから、昔は大変だったよ。目閉じてろよって教えてくれたのも師匠だし、目を閉じた状態での生活補助も最初は師匠がしてくれたんだ。だんだん目を閉じている状態で力の流れを感じ取れるようになって生活に苦はなくなったよ。目を閉じた状態での力の感じ方は師匠が教えてくれたんだ。」
恵慈さんはお父さんのことを誇らしい師匠と言わんばかりに少し興奮気味に話をしてくれた。自分のお父さんが慕われているのを感じて嬉しく思った。
「そんなに慕ってくれているんですね!なんだか嬉しいです!今度うちに遊びにきてくださいよ!」
頻繁に連絡はとっているのかな?わからないけど、是非ともお父さんとの話を聞いてみたいな。
「本当かい!?ありがとう!楽しみだよ!実は一回行ったことがあるんだけど、その時未来ちゃんはいなかったからね。」
私いなかったんだ!?出かけてたのかな?
「あ!そうなんですね!?じゃあ今度は私がいる時にきてください!」
「いいね。前行った時は酔っ払った師匠を送り届けただけだからね。あの時の副隊長の顔は忘れられないね。」
こわっ!っと言いながら身震いしていた。お父さん、弟子にそんなことさせて……。さっきまで誇らしかったけど、恥ずかしくなってきた。
「そうなんですか。それはすみませんでした。お母さんは怒ると怖いですもんねー。」
「副隊長としてもたまに怖いこともあるけど、基本的には優しいけどね。」
そうか、隊長副隊長としての2人しか恵慈さんは知らないんだった。仕事をしている両親の姿もいつかは見てみたいものだと感じた。
「さて、大体半分かな…。」
さっきまで話をしていたけど、オフィスを回りながら話をしていた。結構話をしていたと思うけど、恵慈さんはしっかりと周りを見ながら話をしていたみたいだ。マルチタスクを完全にこなせている。私はほとんど喋っているだけだった。
「今、半分くらいの妖怪の方々を見て見たけど、みんないたって健康って感じだね。残りの半分もさっと見てしまおうか!」
「ええ!?ずっと話していたのに見て回っていたんですが!?すごい!?」
正直私と話しながらだったからまだ何もしていないものと思ってた!?
「結構慣れてきたからね。昔は集中しないとだったけど、今は何かあれば強く見えるようになったから識別もしやすくなったんだ。」
特に何にもなげに話しているけど、大変だよなあ。
「へぇー!すごいですね!日々精進って感じですか!?」
「あはは、そうだね。常に能力の向上については考えているよ。これからどういう術式が役立つとか色々考えてるね。僕の仕事はそれを考えるのがメインだしね。」
恵慈さんのメインはサポートって感じなんだなぁ。まあ、この力を活かすにはそう言った場面のほうが多そうだな。
「はぁー!なんかすごいとしか感想が出てこないですよ。」
「未来さんも僕もまだまだこれからだよ。いっぱい考えて、いっぱい失敗して、いっぱい経験積んで、最後に勝てればなんだってOKだよ。」
恵慈さんは私と5歳くらいしか変わらないのにどこか悟った雰囲気がある。もっと大人を見ているようだ。それでも、たまに年相応の笑顔が出てきたりする。経験もたくさん積んでいそうだけど、目指すものも確固たるものがあるように感じた。きっとそれに向かって一生懸命なんだろう。私も誰にも譲れない確固たる目標はある。その目標を見失わないで突き進むことが、今の私にできることだ。険しい道のりもあるだろうけど、空亡やソラ達、周りのみんなと力を合わせて強くなろう。改めて思った。
「そうですね。私もこれから頑張ります!」
「その意気だ。…、ん?」
恵慈さんが突然顔をしかめるとその意識の先に1人の男性職員がいた。恵慈さんがいうには、彼は恵慈さんも初対面で、つい先日雇用されたみたい。彼はパソコンをいじっているが、どうも慣れない作業で苦戦しているらしい。
「彼はどうしちゃったんでしょうか?」
「そうだね…。まあ、見ててよ。」
そういうと、恵慈さんは男性職員に近づき話しかけた。
「こんにちは。僕は恵慈恭弥です。初めましてだよね。パソコン苦手なの?」
「あ、どうも、こんにちは。どうにも慣れなくて。」
「まあ、妖怪の世界には流通してないもんね。どこが苦手?」
彼は妖怪のようだ。見た感じは人間にしかみえないけど、恵慈さんにはわかるようだ。そして、フレンドリーに話しかける。
「この、データの整理をしているんですけど、どこのフォルダに入れるのかわからなくてなってしまって。あと、フォルダの移動ってどうやるんでしたっけ?」
「あー、なるほどね。わかった。ちょっと確認するから、一旦こっちに来てもらってもいいかな?」
そういうと、恵慈さんは男性職員を連れて会議室に向かった。私も後についていく。恵慈さんが部屋に入り、男性職員に座るように促す。そして、話し出す。
「ごめんね、いきなり連れてきちゃって。ちょっと聞きたいんだけど、君の教育担当の先輩って誰かな?」
「……。」
恵慈さんの質問はごく単純なものだった。それでも、彼は何も返答しない。
「どうしたの?名前を聞いているんだよ?」
「……あ、あ。」
再度質問する恵慈さんはに、彼は答えられない。終いには、小刻みに言葉が漏れ出している。
「そっか。よくそんな杜撰な知識でここに来れたね?意識阻害には自身があったのかな?……、でもね、僕の眼は誤魔化せないよ。君の力は物事を欺くように働いていた。何が目的で、ここに来たのかな?」
……!?え!?彼はここの職員じゃないの!?これだけ厳重なのに潜入できるもんなの?
その言葉を皮切りに男性職員が唸り声をあげて恵慈さんに飛びかかってきた。
「がぁッ!!」
――ヒュウ――
男性職員が飛びかかってきたと同時に私の後ろから冷たい風が吹いてきた。それと同時に、一瞬で男性職員が氷漬けにされていた。
「はぁ……恵慈ぃ。お前は力はないくせになんでそんなに前に出たがるんだよ。」
女の人の声がした。
凍えるような寒気と共に現れた彼女はなんとなくわかる。雪女だ。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
恵慈さんの眼には侵入者が一目瞭然だったようです。
それに加えて、新キャラクターの参入です!
次回もう少し詳しく説明します!
お楽しみに!
次回は9/21朝にアップします!!




