表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/194

最終話 〜夜明けの陰陽師〜

おはようございます!!

とうとう最終話となります!!

ここまで長かったですが、締めくくりたいと思います!!

最後の物語もお楽しみください!!

友弥くんが言うには、まだ地上は乱戦が続いているらしい。友弥くんが山本(さんもと)の撃破に関しては陰陽省メンバーに情報が入っているが、相手の妖怪たちには聞こえていない。対峙している妖怪たちに伝えたところで山本のカリスマ性が高いのか、誰も信じようとしないらしい。何か決定的な証拠か圧倒的な強さが必要だと考えているらしい。


「そうだな……。未来ちゃん、空亡くん。君たちが行きなさい。」


 この場で1番権力があり、決定権がある人物である、長老から私と空亡にその役を担ってほしいと指示があった。


「……いや、でも、長老が行った方が説得力がありそうじゃ……?」


 私は一旦断る。正直大勢の前っていうのもあんまり得意じゃないし、そんな大役……。


「俺のこのザマを見てそれいうかぁ!?こんな姿説得力のかけらもねぇよ。敵さんに侮られてお終いだよ。……それに、これは山本を倒したよ未来ちゃんと空亡くんの責務でもある。」


 倒した私たちの責務……か。そういう考え方ってしたことないなぁ。でも、確かにそうなのかも。それに、色々あったけど、ことの始まりは私たちだ。


 始まりは……。


 私はどこにでもいるパン屋の従業員。違うところと言ったら幽霊とか常世(とこよ)の存在が見えていたこと。でも、それは偶然ではなく、必然だった。

 そして、空亡と出会い、私の世界は一変した。いろんな出会いと別れを繰り返した。成功もしたし絶望もした。まだ一年すら経っていないけど、ここ最近は私の人生で1番濃密で輝いている。

 

 最初に出会った空亡の目的は、「厄」の進行を食い止めること、ひいては山本五郎左衛門の撃破。そして、自分の出自を明らかにすること。

 私はこの目的に協力することにした。私は人々のためとか正直ピンときていない。でも、空亡の為になら私は頑張れることがわかった。きっと、気づいていなかったけど、結構初期の頃から空亡に恋をしていたのだと思う。

 妖怪だし、生きた年数も桁が違う。それでも、私たちはお互いに惹かれ合い、想いを遂げることができた。全部が全部、みんなのおかげであり、空亡のおかげであり、何より自分のおかげである。もちろん、みんなのおかげと言い切りたいところだけど、そんなに高尚な人間ではない。自分の頑張りも認めていきたい。

 そして、私たちは、空亡は自分たちの目標を最善の形で終結することができた。

 あとはことの発端である私たちがこの戦いに終止符をうつのだ!!


 ――地上へ――


「……ねぇ、未来……?」ボソッ


 外へ続く階段を登っている私たち一行。少し控えめに真琴が耳打ちしてきた。


「ん……?どうしたの??」


 私は純粋に気になったが、真琴が声を潜めているということは内密な話なのだろう。私も少し潜んだ声で答える。


山本五郎左衛門さんもとごろうざえもんは、どうなったの?」


 あ、そうか……。真琴からしたら、山本は救ってくれた相手だ。少なからず心配する気持ちがあるのだろう……。急に変わってしまったみたいだし……。私は、図録の見開きの1ページ真琴に見せた。


「正気……、戻ったよ。」


 真琴は図録に描かれている山本と玉藻前の絵を見て安心したようだった。


「……そっか。ありがとう。」


 真琴にとっては複雑な気持ちだろう。でも、真琴を(ないがし)ろにする者はもう居ない。いたとて絶対に許さない。


 私たちは地上へ駆ける……。


 ――地上――


 私たちは地上に出てまだ戦いがあちこちで継続中であることを確認した。近場で大きな音もしている。


「……まだ、終わってないね……。行こう!空亡!!」


 私は空亡と共に終わりを宣言しにきたのだ。


『ああ……。行こう。』


 空亡も短く答える。私たちが地上に出るとそこにはみずち、鵺、炎烏天がいた。私たちはみずちに手伝ってもらって空へと向かう。全員に聞こえるように、全員に見えるように。

 みずちはその特性上、伝えることには長けている。各地の川を通じて、私たちの声を全員に届けてもらう。


「「厄」の妖怪たち!!全員、聞いてほしい!!私は土御門未来!!今!!空亡と共に「厄」の党首である山本五郎左衛門さんもとごろうざえもんを討ち取った!!!あなた達の戦いは終わった!!全員速やかに戦闘をやめて欲しい!!!」


 私は妖怪たち全員に山本を討ち取ったことを伝えた。辺りはどよめいている。私のこの一言で戦いを止める者もいれば、まだ信じないと戦い続ける者もいた。


『我は空亡!!元「厄」幹部だ。山本はここにいる未来が討ち取った!!これは真実だ!!受け入れよ!!山本の失脚により、閻魔大王の拘束もじきに解かれるであろう!!さすれば、常世の秩序は保たれることになるだろう!!安心して欲しい……!!我らはこれ以上の戦いを望まない!!!』


 長い戦いも終わる……。妖怪たちはみんな戦いを中断し、こちらの声に注意している。そして、長い戦いと共に長い夜も終わる。


 東の空が白み、徐々明るくなってくる。


「私達の戦いは終わった!!もう、誰も傷つかない!傷つけさせない!!」


 空亡は平安の時の百鬼夜行を退けた。それは、百鬼夜行の終わりを告げる朝焼けの太陽から来ている。恐怖で染まった空を()くす希望の太陽。妖怪たちによる夜の時間に終わりをもたらす者。今世の百鬼夜行もその役割を果たした。太陽は徐々に上がっていく。


「もう一度言う!!戦いは終わった!!」


 前回と違うのは、空亡の隣には私がいること。戦いの終わりも殺伐としたものではないということ。私はこの終戦の光景を目に焼き付ける。今までの努力が、犠牲が、想いが実を結んだんだと信じている。

 私達の後ろには空を覆い尽くすほどの太陽とその光が溢れ、終戦とこれからの希望を示唆しているようだった。


『未来……。ありがとう……。』


 空亡は最後に私にお礼を言った。


「いいよ!……早く休みたいね!」


 ――――――


 その戦いは「百鬼厄行(ひゃっきやこう)」と呼ばれ、次世代の陰陽師の在り方を考える区切りの戦となった。

 その戦いは太陽の化身、和の象徴である伝説の妖怪「空亡(そらなき)」と歴代最強と言われた陰陽師、安倍晴明の子孫である「未来(みく)」の活躍により終戦した。

 そして、()()()()の最後、朝焼けと共に山本五郎左衛門さんもとごろうざえもんの討伐と戦の終戦を宣言した未来は、太陽の化身の相棒であり、皆を照らし、朝焼けのように希望をもたらす者という意味と敬意を込めて、こう呼ばれるようになった……。


()()()()()()()と……。」

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

最終話!おしまいです!!

最後に題名を持ってくる演出はしてみたかったです!笑

本編はこれで最後になります!!

次回、後日談をお送りします!

それを持って本当の最後となります!!

次回は5/3朝アップします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ