第百七十話 〜玉藻前戦を終えて〜
おはようございます!!
玉藻前を封印し、宿敵を倒し大金星をあげました。
ですが、それには大きな犠牲がありました。
新たな力は悲しい別れと共に手に入れました。
でずが、これから最後の戦いです。
どうなるでしょうか!?
お楽しみ!
ひとまず、玉藻前との戦闘は終了した。
――ガバッ――
私は戦闘の終わりに一息ついて落ち着いたところだった。いきなり、空亡が私を抱きしめた。
『……生きていて、よかった。ありがとう。すまなかった。』
空亡は心からの言葉を投げかけた。私が生きていたことに対する安堵と感謝、守れなかったことに対する謝罪だった。私もそれを素直を受け取る。
「ううん。ありがとう。……でも、やっぱりまだまだだった……。」
私はまだまだ弱かった。それのせいで、ソラを失った。私と融合して糧となってくれてはいるが、悲しいことには変わりない。それを感じ取って空亡も抱きしめる力が強くなった。
『我も…自惚れていた。』
空亡も自身の行いに反省の色をみせる。玉藻前の強さ、私たちに対する思い、その深さを思い違いしていた。玉藻前は私たちに勝つために、雪辱を果たすために、自身を神にまで昇華させた。
「ダメダメだね。私たち……。でも、立ち止まれない!もう、油断もしない!何も失いたくない!!」
私は玉藻前との戦闘はから得た教訓をしっかりと胸に秘めて次の戦闘に臨むとこころにきめた。空亡も強い意志を秘めた瞳となっていた。
『そうだな。もう失わない。……次は山本だ。玉藻前よりも強大な敵だ。今度こそ迷わない。』
空亡も次の戦闘に向けて意気込みを言う。
『して……?未来のその姿はどういうことなんだ?』
あ、忘れてた。私は空亡にソラとの出来事を伝えた。ソラのためにも私が立ち止まるわけにはいかない。
『…………そうだったのか……。』
空亡も悲しそうな表情で俯く。私もつられて落ち込みそうになるが、今は落ち込んでいる場合ではない。ソラのためにも、私は生きなくてはいけない!そして生きるためには山本を倒さなくてはいけない!
「そう。ソラは私の為に全てを犠牲にしてくれた。だから、私は生きなくちゃならない。空亡も私に協力してくれる?」
改めて、空亡の意志を確かめようと問いかける。
『……無論だ。我もソラとは長い付き合いだ。未来が好きでたまらないのだろう。そんな未来の一部となれたことはある意味幸せかも知れない。……未来の命はソラと共にある。……重いな。』
一人一人命の重さなんて変わらないけど、私の命には私とソラの2人分の命があると考えているのだろう。空亡の意志も強く固い。
「そうだね。だから、早いところ山本を倒して未来を切り開こう!!」
私たちは次の目標を定めた。
負けない。死なない。逃げない。
私たちは山本のところへ駆け出す。
『そういえば、玉藻前を封印した時だが、弱点妖怪ではなく、空白のページに封印していただろう?あれはどういうことだ?』
あ、確かに説明していなかった。
「あれはね、図録の原理を理解したからできたの。」
――――
私はソラと融合し、魂についてを理解した。それに合わせて、図録の本当の原理も理解できた。図録は本来、魂を封じる物だった。晴明さんがそれを理解して作ったのかどうかは定かではないけど、図録の本質は魂の封印だ。
今までは、
「漠然と弱点妖怪が描かれている隣の空ページに妖怪が封印される」
という程度だった。だが、魂を認識した時に、なぜ、そんなシステムなのか?どうやって弱点妖怪を保存しているのか?弱点妖怪とは何か?など、図録に関するいろいろなことが理解できた。理解できたというか、繋がったという感じだろうか。
まず、妖力や霊力というものは魂から生成される。図録を常世に置き、妖力を集めていたのは、妖怪の魂の一部を収集する為だった。
ただ、妖力を集めるだけではその妖怪を召喚することはできない。そこで登場するのが、図録だ。図録はその中に妖力を収集し、凝縮し、擬似的な魂を作り出す。その擬似魂は供給元の妖怪と本質は同じものになる。それを召喚という形で具現化している。
そして、なぜ弱点の妖怪が存在するかだが、これも魂に関係している。魂には形があるがそれは千差万別でそれぞれで違う。だけど、その種族によって特徴的な形もある。例えばお姉ちゃんの魂のある部分に特徴的な尖った部分がある。この尖った部分は全ての雪女に存在する。他の形は違えど、種族として同じ形を持っている。それに相反するような形、また、それを取り込めるような形を持った種族が弱点の妖怪となるのだ。それで、図録は種類で分けられている。
だが、空亡みたいに種族を持たない妖怪に対しては弱点妖怪がいない。
そこで、私は図録内で自身の霊力を練り上げ、玉藻前の魂を飲み込めるような形を意図的に創造して封印した。
以前の私はそんなことを考えもしなかったし、出来もしなかっただろうが、ソラのおかげで魂と図録について理解することができたから、玉藻前を封じることができた。
――――
「っと、まぁこんな感じかな??」
私は空亡に図録のことを説明した。空亡は私のいったことを信じているが、私の急激な成長に驚きを隠せない様子だ。
『……、素直にすごいな。』
まあ、驚きももっともだろう。私が1番驚いている!!
「なにもかもがソラのおかげだよ。」
私は心の底からソラに感謝を告げ、この戦いの終わりを憂いた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
図録について、解明されました。
今度の戦いでも活躍するのでしょうか!?
厄の当主である山本五郎左衛門と長老の戦いは!?
今後の展開もお楽しみください!!
次回は3/15朝アップします!!




