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夜明けの陰陽師〜安倍晴明の子孫と伝説の妖怪がタッグを組んだら〜  作者: 太星
第六章〜今世の百鬼夜行・幹部編〜
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第百六十八話 〜玉藻前戦:生きる〜

おはようございます!!

前回、未来とソラの融合を果たしたところでした。

今回は、その後のお話になります。

未来は未来であるのか!?

空亡はどうなるのか!?

玉藻前はどう感じるのか!?

お楽しみください!!

「あっはっはっはっ!!」


 玉藻前が私の首を持ちながら目の前で高笑いしている光景が見える。少し離れた場所で空亡は磔にされている。私は意識を失ってソラと魂を融合させた。今はその覚醒直前と言った感じだろうか。ふんわりと状況を俯瞰して見ている感じだ。胸には温かなソラの意志を常に感じている。


 ――私は1人じゃない。空亡、待ってて、今助けてあげる……!!――


 ………………

 …………

 ……

 ……

 …………

 ………………


 我はまた失ってしまうのか……?

 また、間に合わなかったのか?

 守りたいものはいつも我より先に逝く……。

 我は普通の幸せを望む事すらおこがましいということなのか……?

 確かに、幸せを望むべきものではないと思うが、大切な人の時間まで奪うことはないではないか……。

 これが、我、空亡に科せられた罪に対する罰なのだろうか……。

 ……未来……。お前だけはなんとしても守りたかった……。


 ―ガッ―


 我は悲観し、絶望していたが、その光景に驚愕した。さっき、弱々しい鼓動が止まり、完全に命を絶ったと思っていた未来の手が、自らの首を絞めている玉藻前の腕を掴んだ。

 確かに絶命していた。だが、今や、その心臓は強く鼓動を脈打ち、生気に満ち溢れていた。


『なんだ……?』


 我はその答えがわからず、虚空に向けて問いかけた。答えが欲しいわけではない。ただただ漏れ出てしまった。


「!?!?」


 玉藻前もこの状況に驚愕しているようだった。そして、未来が握る力が強いからなのか、未来の首を掴む玉藻前の手が次第に開き、未来は地面に着地する。そして、さらに驚く点がある。未来の容姿だ。まだうつむき加減のため、よくは見えないが。

 普段は少し茶色がかった髪と瞳、髪も肩くらいまでの長さだ。だが、今の未来は顔立ちは未来そのものだが、髪の色、瞳の色は金色に、髪の長さは腰くらいまでの長さへ伸びている。そして、感じる力の強さは今までの比ではない……。我をも凌駕するほどの力の波動を感じる……。

 この変化は一体……??!


「……クッ!?小娘ぇ!!どういうことでありんす!?確かに死んだはず!!」


 我と同じく疑問しかない玉藻前が焦って未来に聞いた。そこで、顔を上げて沈黙していた未来は両目から涙を流しながら玉藻前を睨んで声を発した。


「……許さないよ……。」


 ………………

 …………

 ……

 ……

 …………

 ………………


 私は俯瞰した視点から、自分の身体を認識し、呼吸を意識する。身体の感覚も戻ってくる。それに従い、首を絞められる感覚が戻ってきて苦しい。私はその玉藻前の手を無造作に掴み、力を入れる。

 今の私はもはや人間を超越いているのではないかと思うくらいに力が湧いてくる。これがソラの言っていた力……か。


「!?!?」


 玉藻前は驚いている。まあ、それはそうだろう。さっきまで死んでいた人間が思いもよらない力で自分の腕を掴んでいるのだ。玉藻前は次第に力が抜けて、私の首を離した。私はやっと取り入れられた酸素に満足しながらも、怒りのボルテージが上がっていく。地面に着地し、玉藻前を睨む。心の中で共にあるソラとの別れを経験させられ、相棒である空亡にこんな仕打ちをし、私の命も一度は奪った。そんな相手が目の前にいるのだ、怒らない方がおかしい。私はいろいろ思い出して、涙を流すが、それよりも今は私の気持ちを端的に伝えよう……。


「……許さないよ……。」


 私は玉藻前の腕を掴みながら言葉を発した。その言葉にすら私の力を込めているため、ビリビリと空気が揺れる。


「どういうことでありんす!?確かに死んだはず!?わっちが見間違えるはずはないでありんす!!」


 確かに私は一度死んでいたけど、ソラのおかげで蘇ることができた。ソラの犠牲はあったけど……。玉藻前も私の変化に慄いたようで、距離をとろうと腕を引き剥がそうとする。


「……逃すと思う……?」


 私は力一杯腕を掴み、絶対に逃さないと意思表示をする。それと同時に一つの術式を込める。私の言葉に玉藻前はビクッとする。


「……『痺れてろ』……。」


 私は言霊に乗せて術式を展開した。ソラと融合した私の霊力の特性は金元素。つまりは玉藻前の弱点だ。玉藻前は私はの攻撃に成す術なく痺れ続ける。


「……ぐが、、あ、わっ、ちが……。」


 私はこの隙に空亡を開放しにいく。


「空亡!?大丈夫!?」


 私は普段通りの様子で空亡を助けて、安否の確認をする。


『……ああ。大丈夫だ。ありがとう。……それは……?』


 まあ、空亡も気になるだろう。だけど、今はそれより優先すべきことがある。


「……これは後で話すね。まずは玉藻前を倒そう。」


 私は後で話すと約束して、目先の目標を先に片付けようと提案した。


『うむ。わかった。だが、これだけは確認させて欲しい。』


 空亡はまだ何か気になることがあるようだ。


「ん?なに?」


 まだ時間にも余裕はあるからとりあえず、聞き返す。


『お主は()()()()なのだな?』


 ああ。確かに、髪の毛もなんか長くなっているし、当然の質問だよな……。


「…もちろん!!私は未来だよ!」


 新しい力を手に入れたが、その代償は大きい。でも、生きて欲しいと心から願われ、身を犠牲にしてまでも生かしてくれたソラに報いるためにも私は生き続けなくちゃならない。


「絶対生きるよ!!」

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

新たな力に目覚めた未来は玉藻前にも勝てそうです!

犠牲の上に成り立つ力もあります。

ですが、それは同時に悲しいものでもあります。

これからを生きる未来達には強く生きていってほしいです。

次回は3/11朝アップします!!

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