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夜明けの陰陽師〜安倍晴明の子孫と伝説の妖怪がタッグを組んだら〜  作者: 太星
第六章〜今世の百鬼夜行・幹部編〜
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第百五十七話 〜酒呑童子戦:追憶〜

おはようございます!!

賀茂は酒呑童子との戦いに勝利しました!

最後に賀茂を助けたのはいつも一緒にいた契約妖怪達だった。

そして、賀茂姉に対する思い。

賀茂は土壇場で成長したようです!

今回もお楽しみください!!

俺は、酒呑童子に打ち勝ち、その拳を強く握った。

 鈴姉への思い、勝利への喜び、契約妖怪達への感謝。様々な意味を込めた。


「みんな……。ありがとう。」


 今回、土壇場で契約を交わした鬼神。最初は気に食わなかったが、やはり鬼神は俺といるのが性に合ってる気がする。


「……おいおい。勝手に終わらせんなよ……。」


 !?ビクッとした。もう、事切れていたかと思っていた酒呑童子が急に声をかけてきた。首だけの状態でだ。


「まだ生きてんのかよ……。」


 俺は悪態をついた。だが、酒呑童子にもはや敵意はないように感じる。どこか清々しい雰囲気を纏っている。


「まあ、そう言うなよ!お前は()に勝ったんだ!もっと誇っていい。最後なんだ。少しくらい俺の話に付き合えよ。」


 酒呑童子も自分の負けを認めている。俺が勝って、酒呑童子が負けた。その事実で、酒呑童子はそれ以上姑息なことはしてこないと確信した。少しくらい話に付き合ってやるのもいいか……。ちょっと嫌味も言うが。


「何言ってんだよ。お前は俺の姉を殺したんだぞ?今更、話せるかよ……。」


 俺は根に持っているように話した。やはり悲しみは癒えないが、もはや酒呑童子は消えゆくのみ。仇はうったのだ。これ以上ネチネチも言ってられない。


「ガッハッハっ!!強かだな!だが、俺もじき消えゆくのみ。少しくらい良いではないか!?情報もやろう!!」


 情報?まあ、それで貰える情報であれば貰っておいて損はないのか?


「仕方ねぇな。少し付き合ってやる。」


 俺は承諾した。それに満足したのか、酒呑童子はニカっと笑って切り出した。首だけなのが怖えぇ。


「ありがてぇ!まず、俺の刀があるだろう?あれはお前にくれてやる。」


 刀……。ああ、あの仕込み刀か。俺は横たわる酒呑童子の体から刀をもぎ取る。体は動けないらしい。


「その刀はお前の姉貴の魂が込められている。解放するでもなんでも好きにするがいい。……、昔な、俺を殺そうとしたやつがいたんだ。そりゃ、鬼だ。俺を殺したい奴なんてごまんといるが、唯一俺の命にまで届きそうなやつがいた。」


 刀はおまけとでも言わんばかりに、話を始めた。


「そいつはさっき俺の命を刈り取った刀のオリジナルの持ち主でな。名前は源頼光(みなもとのよりみつ)。俺はそいつと本当は仲がよかった……。頼光はいつも俺のところに来ては色々な話をしていた。他愛のない話から妻ができたとか子供ができたとか、何がしたいのかわからねぇくらいどうでもいい話だった。……だが、そんな話を聞いている時間は嫌いじゃなかった……。」


 ………………

 …………

 ……


「おい!!童子(どうじ)!!俺に子供ができたぞ!!これが可愛いんだぁ!!女の子だ!」


 平安の時代に似合わず、家族を思いやる奴だった。


「そんな話を鬼の俺にしてなんになる……?」


 俺は妖怪だ。孤高の存在だぞ?そんな話をしてなんになる……?


「いいじゃねぇか!!聞けよ!俺がただ話してぇだけだから!」


 相変わらず話はきかねぇし、自分勝手な野郎だ。だが、暇だし付き合ってやるか……。

 そうやって、いつも話をしに来てはただただ役にもたたねぇ無駄話をして帰っていった。

 ある日のことだ。血相を変えた頼光が俺のところへ来た。


「童子!!早いうちにこの地から去ってくれないか!?」


 何を言うかと思えば……。


「ああ!?どう言うことだ?それだけ言われて、はいそうですかと出ていくわけねぇだろ?」


 息も切れてはぁはぁと肩で息をしていた頼光は深呼吸をして言葉を続けた。


「……はぁ。あぁ、悪いな。……実は、童子、朝廷からお前に討伐令が出た。なんでかわからねぇが、生半可な規模じゃねぇ。今すぐにでも逃げたほうがいい。」


 別に自慢する気もねぇが、俺は人間を食ったことがない。基本的には森でひっそりと暮らすことに満足した一風変わった鬼だ。討伐令が出る理由がわからねぇ。


「おい。なんで俺だよ?信じねぇかもしれないが、俺は人間を襲う気もさらさらないし、襲ったこともねぇぞ?」


 素直にその理由を聞いてみた。頼光にはそれを聞けるくらいの仲であると俺は思っている。


「いや、お前が人喰ってねぇのは知ってるよ。話はちゃんと聞いたわけじゃねぇが、発端は女と遊びまくってた餓鬼だ。そいつは女と遊んじゃ持ち帰って喰っていたそうだ。騙される女も女だが、その餓鬼は許されるもんじゃねぇ。そんで、その餓鬼は陰陽師によって捕縛されたんだが、そこで童子も関係しているって言っているらしいんだ。」


 はあ!?何言ってやがる!?


「ここでなんで童子が出てきたかしらねぇが、お前はやってねぇんだろ?だから、ほとぼりが冷めるまでちょっと身を潜めとけってことだ。こっちでなんとかしてみる。」


 そうか、そういうことか。まあ、頼光は信じてもいいと俺は思っている。

 だが、それは聞けないな。


「いや、それはちげぇ。こっちの問題だ。その餓鬼に会わせろ。」


 こっちとは妖怪側の問題だと言う話だ。頼光を少し突き放した言葉だ。だが、重要なこと。俺は人を食わねぇし、平和を乱すつもりもねぇ。だが、俺の平和を乱そうとするやつは許しちゃおけねぇ。例え俺が狙われているとしてもだ。


「はぁ!!?何言ってんだよ!?」


 案の定、頼光は騒いだ。本当にいい奴だ……。だからこそ、俺との関係を絶ってやらなきゃならねぇ。

ここまで読んでいただきありがとうございます!!

今回から少し過去編に入りました。

酒呑童子の過去を少し掘り下げます!

敵にも過去がありますね。

次回は2/12朝アップします!

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