第百五十四話 〜崇徳上皇:雪の力〜
おはようございます!!
今回で崇徳上皇戦は終わりとなります!
お付き合いありがとうございました!!
色々能力が出てきて楽しいです!!
今回もお楽しみください!!
「……??」
崇徳上皇は呪いをかけようと呪文を唱えているが、何かがおかしいようで、思い通りにいっていないようだ。……、それもそうだろう。既に仕掛けておいたから。
「どうしたの?呪いかけないの?」
私はさらに煽る。
「……おかしい。妖力が流れてこない……?」
やっと気づいた。まあ、それもそうか。一応、今までは妖力なしで戦っていたわけだからな。妖力なしであれだけ強いのも正直驚きだけど。
「余に何をした!?!?」
ニヤニヤした私の顔が気に食わなかったのか、それとも私の仕業とわかったからなのか、私に状況説明を求めた。
「やっと気付いた?アンタの虫唾が走るような話を聞かされた後に冷気を浴びたの覚えてる?……、あれでアンタは詰んだの。」
崇徳上皇の長話の後、私が崇徳上皇とフローラに冷気を浴びせたが、それは意味があってのことだ。
「私も答え合わせするわね?フローラみたいに私も未来と契約して新たな力を得たの。雪女は冷気を操って凍らせるでしょ?私が得た力は、どんなモノでも凍結、停滞させることができるの。私はこの力で、フローラの中の呪いの力を停滞させて、フローラに解析の時間を作った。それに、アンタに浴びせた冷気は、アンタの中に流れる妖力を停滞させているの。だから、妖力が練れないのよ。まあ、あんまり頻繁に使えないのが難点だけど、今日はここが使いどきでしょう。」
私は答え合わせをした。わかってしまえばどうってことはない。それにしても、契約によってもたらされる力ってものの方が神秘な気がする。正直、これが悪用された時の事を考えるとゾッとする……。
「……な、な!?……、確かに余の妖力を練ることができない……。これでは、余が培ってきた今までの苦労が……!?」
崇徳上皇は妖力停滞に衝撃を受けている。今までの努力が水の泡となったのだ。それもそうだろう。だが、同情はできない。それだけいたいけな者達の犠牲の上にある努力の結果だからだ。
「……く、だが!余は妖力なしでも、そこらの妖怪とは比べ物にならんぞ!?」
と言って、襲いかかってこようとするが……。
「そんなのわかっているわ。何も考えてないと思っているの?」
崇徳上皇の手足と首、胴を赤い氷が締め付ける。身動きが取れなくなった崇徳上皇をさらに赤い氷が覆う。
「さようなら……。」
私はお別れの挨拶をしつつ、戦いの終了を悟った。氷の中には今にも飛び出してきそう程生き生きして、驚いた表情の崇徳上皇がいる。それと同時に、私は膝をつく。
「……はぁ!はぁ!……ふぅー。」
赤い氷を作るのは骨が折れる。妖力もめちゃくちゃ使うし、体力も持っていかれる。最終的な切り札だ。崇徳上皇はこの氷を使わないと勝てない相手ではあった。やっぱり強いなぁ……。もっと強くならないと……。
「雪様ー!!大丈夫ですー?」
フローラが駆け寄ってくる。ちょっと疲れたけど、まあ、支障はない。
「うん、少し休めば大丈夫。すぐに長老の手助けに行こうか。」
私のこの赤い氷は未来との契約によってもたらされた力の一部だ。凍結・停滞の力とは別に未来から契約妖怪みんなの力が受け渡されるようになった。未来を中心にみんなのパスが繋がった感じだろうか?みんながみんなそれぞれの力を行使できるはずなのだけれど、私だけがうまくみんなの力を使えるようになった。そのうちみんなも使えるようになるのだろうけど、今まで、みんなの力を中衛として指揮してきた経験が強いのだろうと思っている。
そして、みんなの力を合わせて練り合わせた氷がさっきの赤い氷だ。みんなから少しずつ特色のある力を借りていて、とても強力で強固な氷が精製できる。この氷なら山本だって足止めできると思っている。
ただ、みんなの力も使うから使いすぎには注意が必要だ。
兎にも角にも、崇徳上皇は倒した。他のみんなは大丈夫だろうか……。
――その時、大きは破壊音と共に何かが私のすぐ横を通り過ぎて、後ろの壁にめり込み、地面に落ちた。
「回復だ!!」
大きな声で、指示があった。鬼神の声だ。
フローラはすぐさまその何かに回復を行う。
今の今までのわからなかったが、飛んできた何かは賀茂忠志だった。あまりにも常軌を逸した飛ばされ方をしていた為気付けなかった。
「おいおい……、つまらねぇ事してんじゃねぇよ……。」
鬼神がいる方向を見ると、瓦礫を押し除けて酒呑童子がこちらにのしのしと歩いてくるのがわかる。酒呑童子も無傷ではない。だか、そこまで致命傷というわけでもない。
「これくらいいいだろう……?もっと楽しみたいだろう?」
鬼神は酒呑童子に一言つぶやいた。
「……ん??……ああ!確かにそうだ!!こんなんで終わってちゃよりつまらねぇ!!」
鬼神は酒呑童子の性格を分析して、言葉を紡いでいた。この言葉で救われたのは、賀茂だけではない。私とフローラも救われた。やっぱり鬼神のセンスはすごいな……。
「まあ、ちょっとだけ待ってやるよ。片腕のお前とやり合ってるとするか。」
酒呑童子と鬼神は旧知の仲なのだろうか?意外と親しげに話しているな……。
「ふん。片腕でもやれることはいくらでもあるわ。とりあえず、かかってこい。」
そう言って、鬼神は酒呑童子を挑発し、戦闘に入った。お互いに拮抗した強さだが、少しだけ片腕の鬼神が不利なような気がする。……、それより、鬼神が酒呑童子を惹きつけていてくれる間に賀茂をみないと!?
「賀茂!?大丈夫なの?ボロボロじゃない!?」
私はすぐ近くにいる賀茂に向かって意識があるか確認する目的も兼ねて、声をかけた。フローラは絶えず回復を行っている。
「……。ん、……、ガハッ……!、はぁ、はぁ……。」
!?意識は戻ったのかも!?
「賀茂!?」
私は少し大きな声で叫んだ。
「……んだよ、うるせぇな。」
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
崇徳上皇戦が終わり、これから賀茂、鬼神ペアでの酒呑童子戦が始まります!!
すでに満身創痍な賀茂だが、これから戦況はどう変化していくのか!?
次回は2/7朝アップします!!




