第百五十一話 〜崇徳上皇戦:ひねくれた性格〜
おはようございます!!
前回から崇徳上皇戦が始まっています。
お話好きの崇徳上皇はどんどんしゃべります。
今回も結構しゃべります。
その喋りから何か活路を見出せるでしょうか!?
今回もお楽しみ!!
崇徳上皇は私たち、特にフローラに向けて、妖精達を呪いの糧にしたと話した。呪いとは使い様によっては悪い事ばかりではない。現に陰陽省でも呪いの研究はされている。だが、あまり進捗はない。それはには大きな理由がある。
――被験者がいない――
研究段階のこの技術を下手に使って人身事故を起こしてしまったあかつきには、呪い自体の使用が禁じられる可能性もある。なので、思い切った実験ができないのだ。
しかし、崇徳上皇はそんなことはお構いなし、自分の呪いの技術を上げるためならば、何がどれほど犠牲になろうとかまわないという考えなのだろう。
「余が、人間を捨て、妖怪になってすぐのことだ。常世を彷徨っていると、何やら明るくて温かくて幸福に満ち溢れた雰囲気が立ち上る区域があることに気がついた。それが、妖精の集落だ。最初は妖精なんてものがいるなんて信じられなかった。……だが、自らが妖怪と化したのだ。妖精くらいいてもおかしくはないと思い返した。」
崇徳上皇はまた、話を始めた。本当に話が好きなのだろう。ただ、話から何か活路を開くこともできるかもしれない。今は警戒は怠らずに話を聞いてみよう。
「余は人間である時から呪いに心酔していた。余を蔑んできた奴等も全て呪い殺してやった。だが、それは感情に任せたもので、美しくはなかった……。余は美しいものも好きなのだ。呪いも美しくあってほしい!そのためには、余はより研鑽をしなければならない!より効果的で!効率的で!美しく!儚げに!唄のように流れるように!!……研鑽には犠牲はつきものだ。研鑽の過程までに美しさは求めない。最終的に美しければ良いのだ!
そんなことを感じていた時に、出会ったのが、妖精だ……。とても、美しかった。」
崇徳上皇は自分の美意識について言及した。そして、妖精を美しいといった。確かに妖精は美しいと思う。それを美しいと思える崇徳上皇は意外とちゃんとした思考の持ち主なのだろうか?
そして、崇徳上皇の顔を見ると驚いた。ニタァ〜っと笑いながら、次の言葉を紡いだ。
「あの散り行く様も美しかったなぁ……。美しいものは散り際も美しい……。あの、叫ぶ顔も、悲鳴も、逃げ惑う時の音も音楽を奏でているようで、全てが美しかった!」
……いや、やっぱりただの下衆だった。ふと、フローラの方を見ると声はあげないが、震えながら涙を流している。家族ではないにしろ、同族がそんな目にあったのだ。無理もないだろう。だが、ここで心が折れて倒れ込まないあたり、フローラはとても強い人だと改めて感じた。
私は最初から怒りが込み上げて表に出そうになるが、あえて隠して深いところに鎮めている。私はどうも、感情を力に変える性質を持っているらしい。私は崇徳上皇への怒りを全て力に変換しようと目論んでいる。崇徳上皇はまだ話を続ける。
「そして、そして!!妖精の本質は呪いとは真逆の存在と言える。呪いが相手に不幸を与えるものであれば、妖精は幸福を与えるものだ。その妖精に呪いをかけるには単なる呪いでは跳ね返されてしまう。余は妖精にまでも呪いをかけることができるまで研鑽を積んだ。そして、極めたのだ!!」
崇徳上皇は自身の呪いに関する力の強さを誇っている。確かに、崇徳上皇の呪いは遥かなる高みにあるのだろうと感じる。
「余はまさに呪いの到達者となったのだ。誰もなしえなかった呪いの頂点へ立つことができた……。」
私はゾクっとし、警戒を強める。
「……、これが到達点だ!!」
と言い、手を伸ばした。その手はフローラの方に向いている。崇徳上皇のその手からは不穏な空気が放たれる。気持ちが揺らいでいるフローラは避けることができずに、その攻撃をもろに受けてしまった。
「フローラっ!!?」
くそっ!呪いってこんなに素早いのか!?これを防ぐ術はあるのだろうか!?
「大丈夫ですー。なんともな……、キャッ!!?」
フローラはその攻撃を受けたが、最初はなんともなさそうだった。だが、少し遅れて悶える様に身体中が痛み出した様だった。
「……!?どうしたの!?」
私はフローラの様子を見ているが、どうすることもできない。術をかけた当人に聞くしかない。
「崇徳上皇!!フローラに何をした!?」
私の怒号にも特に気に留めず、しれっとしている。普段からこんなことは気にもとめていないのだろう。
「なに、これが呪いの到達点ですよと言ったじゃないですか?今そこの妖精にかけたのは呪いです。それも、妖精にも効果がある特別な呪いです。これを禁呪と言います。呪いには段階があります。呪い、呪術、呪詛、そして禁呪。余は禁呪にまで到達しました!!それも、妖精達の献身のお陰です!ありがとう!ありがとう!!妖精の貴女にはこの感謝を込めて、禁呪を差し上げましょう!!」
崇徳上皇は大粒の涙を流しながら妖精達に感謝を述べた。……だめだ、こいつは完全に呪いに関して純粋に心酔している。もう、何を言っても無駄だろう。
「貴女も、余の至高の禁呪で美しく終わらせてあげます!お仲間達と同じ様に!!」
フローラは悶え苦しんでいる。見た目には何も変わったことはない。どう言った呪いなのか……。
「雪女の貴女は、そこで立っているだけですか?お友達が大変な目に遭っていますよ??」
崇徳上皇は私を挑発してきた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
崇徳上皇は下衆でした。
まあ、現在の「厄」の幹部にいい奴なんていないでしょうけど。
崇徳上皇戦はもう少し続きます!
次回も楽しみに!!
次回は1/31朝アップします!!




